「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

国連安保理の非常任理事国が取るべき対応がこれか???

2016-01-06 23:03:12 | 安全保障・安保法制・外交軍事
本学では今日1月6日水曜日が仕事始め。

2限に1年ゼミ、3限に2年ゼミ、4限は月イチの学部教授会。
その後、研究仲間との新年会のため、東京にピストン。
(今宵は研究室で夜更かしモードになる見込み……。)

さて……。

NKさん(注:防衛研究所時代から筆者は北朝鮮をNKと表記していた)が、
「自称」水爆実験に成功したらしい。
気象庁で地震波を観測したのだから、何かが爆発したことは間違いないのだろうが、
日本としては大騒ぎをするほどのことではあるまいに、というのが、率直なところ。
(以下に述べるように、正しくは、騒いではいけないだろうに、と思うのだ……。)

マクロ経済的に見ても技術水準的に見ても、
NKさんがLDCレベル(下手をするとLLDCレベル)であることは、
多少なりとも国際関係を学んだ者であれば常識のはず。

軍事アナリストとして著名なある方曰く、
「日本は痩せても枯れても関脇か小結かだが、北朝鮮は『褌(ふんどし)担ぎ』のレベル。」

爆発したのが原爆か水爆かは知らないが、
子供が火遊びをして「かまって下さい!」と言っているのに同じこと。

1945年7月16日、アメリカ・ニューメキシコ州ロス・アラモスのトリニティーサイトで
最初の原爆実験が成功した。
ということで、原爆は70年前の技術。

1952年11月1日、中部太平洋・マーシャル諸島のエニウェトク環礁で最初の水爆実験が成功した。
ということで、水爆も63年前の技術。

ミサイルの弾頭に詰めるくらいに小型化に成功した、というのであればともかく、
地上か浅い地下かは知らないが(地震の震源の深さは0キロと聞く)、
爆発のためのメカニズムはどれほど重くても何ら問題ない、という状況であろう。

ということは……。

「○○年遅れですが世界水準に達したのですね。」と、冷ややかな目で見るならばともかく、
安保理非常任理事国が大騒ぎするほどの中身ではないはず。

NPT体制の脅威になるようなものであれば、NKさんの領袖による年頭あいさつの数年前に、
五大国が対応を取っていたはず。
(そして残念ながら、そのような場に我が国は立ち入ることを許されていないのだが。)

「子どもは火遊びをしてはいけないよ。」
「花火を扱うのは、もう少し大人になってからにしようね。」

我が国としては、そういうコメントをすべきだったと思うのだ。

騒いではいけないものに騒ぐとどうなるか。
我が国にとってもNKさんにとっても、そして世界にとっても、プラスにはなるまい。

日本の指導者層に戦略眼がないことを、
なんで、わざわざ、公言する必要があるのかなぁ……。