「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

朋あり、遠方より来る、また楽しからずや。

2015-07-18 23:49:03 | DIG
毎月第3土曜日は、富士市DIGセミナーの日。
大学近くの総合運動公園で野球とサッカーの大会があり、渋滞が予想されるというので、
今日は会場を変更、富士市社会福祉協議会のある建物群「富士市フィランセ」大ホールで9時半から16時半まで。
加えて終了後、いつもの「丸天」へと場所を変えての意見交換会、という一日であった。

午前中と午後と、それぞれ、素晴らしいゲストが顔を出して下さり、
大変幸せな気持ちで、セミナーを進めることが出来た。

午前中のゲストは、8月14日実施予定の土砂災害理解教育DIGのプロジェクトでもお世話になっている、
「一般社団法人防災ジオラマ推進ネットワーク」のグループのお三方。
http://bosai-diorama.or.jp/

段ボールを使った防災ジオラマ(立体地図模型)を作ることで、地域理解教育なり防災教育に活かせないか、とご活躍中。
時間の関係で、午前中のみしかおいでいただけなかったが、
DIGの雰囲気なり、地域防災への思いなり、持ち帰っていただけたならば何より、と思っている。

お三方それぞれに、地域防災への思いをぶつけてもらいたかったのだが、
代表して、石巻からわざわざおいでになったKさんに、ショートスピーチをお願いした

石巻では、ご自身も工場も被災されたのだが、その話は時間の制約もあり、さらっと触れたのみだった。
だが、被災されつつも、Kさんとそのお仲間は、本業である強化段ボールの製造業というノウハウを活かし、
強化段ボールを使った学校への備品提供でご活躍された。

被害を受けた学校は、別の学校の空き教室や体育館・武道館等を間借りして、仮の教育を再開させた。
その際、下駄箱やロッカー、パーテーション等々も、可能な限り揃えたい、と思うのは当然のこと。
強化段ボールは、そのような期待に十分応えられるだけの強度を持ち、
何より、現場採寸から納品まで1日とか2日という、ごくごく短時間で対応してきた、とのこと。

一般の方には少し縁遠い話だったかもしれないが、同席して下さった市の防災危機管理課のSさんなり、
Sさんの同期入庁組の皆さんには、「これは良い話を聞いた!」ということになったのでは、と思う。

今日のセミナーは、市内在住在勤の地域防災指導員の方々など約40名が参加してくれた。
拡大小村ゼミからは2名が助っ人として参加。他に旧知の三島のSさんも。
基本的にはいつものパターンなるも、新ネタを2つ盛り込んでのセミナーを展開させてもらった。

参加者の中で特筆すべきは、市内の建築士会の方が4名ご参加下さったこと。
10月には、「富士市DIGセミナー」の一環として、建築士の方々向けのDIGセミナーも実施予定。
今回の参加は、それに向けた下調べ、ということだったのだが、1日お付き合いいただけたこと、本当に嬉しく思う。
地域の人的資源の掘り起しは、防災を考える上で必要不可欠なこと。次の展開が大変楽しみである!

午後は、こちらは文字通りのサプライズだったのだが、
(facebookにメッセージをいただいていたのだが、当方が確認していなかったのが問題だったのだが)、
災害医療・救急医療・危機管理に情熱をもって取り組んで下さっているA先生が顔を出して下さった。

最初は、「市の方が情報提供してくれたから顔を出してくれたメディアの人なのだろうが、
それにしても良く似ているなぁ」という、何とも間の抜けた反応だったのだが、
近づいてよくよく見れば、A先生ご本人。これは本当に嬉しかった。

地域防災はいかにあるべきか。「旅の坊主」流のメッセージについて、何かしら、感じてくれたならば、
学会帰りに途中下車して下さったとのことだが、その価値もあったもの、と思う。

参加された方々には、4つの「正しく」を追求したい、とのテーマ設定をお伝えした。

・揺れのイメージを「正しく」伝えたい
・被害の全体像を「正しく」伝えたい
・被害の見積もり方を「正しく」伝えたい
・対策の方向性を「正しく」伝えたい

いずれも、もう少し整理することが必要、とは思っているが、大きな修正は必要ないだろう。
いずれのテーマも「覚悟しておくべき、巨大災害の姿を思い浮べつつ」というのは共通。

そして、対策の方向性については、試行的ではあるが、
「予防」「対応」「復旧・復興」の3つに分け、3つのメッセージとしてまとめてもらえないか、
との課題も投げてみた。

まだまだ、洗練しなくてはならない点は多いが、こちらも、多分この線で大きな間違いはない、とは思っている。

午後の部には、富士市防災危機管理課から内閣府に出向中(単身赴任中)のOさんも、
三連休ということもあって富士に戻って来ており、DIGセミナーに顔を出して下さった。

で、こういう方々と一緒に、いつもの丸天で飲み交わしつつ、
終了後のクーリングダウンも兼ねて議論できる、というのが、嬉しい。

富士市の防災人の素晴らしいところは、
市の担当者も災害ボランティアも、地域防災指導員も普通の市民も社協職員も、もちろん大学教員も学生も、
「一杯やろうよ!」で集まれること。
もちろんそのような人間関係は、一朝一夕にして出来たこと、ではない。
でも、こういう方々と一緒に活動が出来ているからこそ、まだまだがんばらないと、という気になろうというもの。

A先生も懇親会に参加して下さり、富士市の防災人との議論に混じって下さった。有り難い話。
大きな課題も見つかった。「がんばれ、は、自分に言い聞かせる言葉。」改めてかみしめる。

A先生を新富士駅まで送り、学生2人をそれぞれ自宅まで送った後は、さすがに疲れた。
というので、レポート添削があることは十分認識しつつも、かなり早い時間にベッドへ。