たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

阿波遅神社

2019-04-16 09:33:38 | 鉄の神々1

<中臣印達神社 なかとみいたてじんじゃ>

 

たつの市にある中臣印達神社は、

「中臣」という名を冠することからもわかるように、

中臣氏との関与が噂されている場所です。

ただし、神社に伝わる資料の中には、

中臣氏の関与を示す手掛かりはなく、

鎮座地の中臣(ナカジン)という地名を元に、

名付けられたのではないかという説もあるのだとか……。

 

個人的に気になるのは、もともと別の場所にあったはずの

阿波遅神社(あわちじんじゃ)と呼ばれる社が、

こちらの本殿に合祀されていることなのですね。

仮に、阿波遅神社の阿波遅(あわち)が、

阿波国や淡路国との結びつきを暗示しているとすれば、

この神社には「中臣」と「忌部」というライバル氏族同士が、

何らかの形で関わっていた可能性も出てくるのでしょう。

 

現在のところ、阿波遅神社と忌部氏との

明確なつながりはわからないものの、

中臣氏が忌部氏の氏神を自らの社に引き入れたと仮定すると、

否が応でもこの地を巡って繰り広げられた

「二大祭祀氏族」の因縁を想像してしまいます。

 

阿波遅神社の社は中世以前は存在したとされますが、

今は中臣印達神社の名称とともに刻まれた

「式内 阿波庭(遅)神社」の石標だけが、

それらの歴史を伝える唯一の証として、

参道わきにひっそりと建てられていました。

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