<安来市広瀬町>
出雲神話を代表する物語のひとつ
「ヤマタノオロチ退治」の一件は、
「砂鉄をめぐる部族間の争い」を
描いた話ではないかという説があります。
何でも、奥出雲の「タタラの民」を、
高志から来た異国人の集団が襲った一件を、
ヤマタノオロチの物語として描いたのだとか。
ときに、「鉄」の伝承や「鉱物」の遺産の類は、
古代史を読み解く有効な手段として引き合いに出されます。
神社の由来やご祭神などに関する資料は、
時代に応じて変更されているものも多く、
史実とは真逆の解釈をもたらす場合もあるゆえ、
鉄を調べることにより、確固たる「歴史的事実」
が浮かび上がってくるのも確かでしょう。
ただし、「渡来人=製鉄」
「鬼=タタラの民」などの話を聞くたびに、
個人的にはどうも物足りなさを感じるもの。
タタラ仕事に従事していた土着の民が鬼なのか、
はたまた製鉄文化をもたらした渡来人を鬼と呼ぶのか、
論ずる人々によって意見は千差万別ですし、
また、すべての古代部族間の争いを、
「鉄の奪い合い」に結びつける風潮にも、
違和感を覚えるのが正直なところです。