<国立歴史民俗博物館>
縄文時代が終わりを迎えた理由……、
それは縄文と弥生の混在期に姿を消した
「土偶」がキーになるのではないかと
個人的には考えております。
縄文各時代の土偶を考察する中で感じたのは、
土偶という「形代」が時間を経るごとに、
「偶像」へと変化して行った様子でした。
もともと「リアルな人型」を厳禁とし、
「使い捨て」のために造られた土偶でしたが、
いつの頃からか人体にごく近い形象を取り、
祈りを捧げる崇拝物へと昇格しました。
さらには、本格的に弥生時代が始まると、
「形代」よりも実践力のある
「贄」の文化が広まったことで、
「身代わり」あるいは「崇拝の対象」
として造られていた土偶は、
密かにその役目を終えたのでしょう。
恐らく、縄文時代を通じて人々は、
「生き物の犠牲」を最小限に抑えるべく、
人間か精霊かもわからない人型土偶や、
儀式の供物とするための動物土偶などを
考案したものの、その「ギリギリの均衡」
が崩れたことで、縄文時代は終焉を迎える
ことになったとも想像できるのですね。