<青森県立美術館>
直感力や危機管理能力というのは、
ぼんやりと心をオープンにしているだけで、
天から降りてくるような代物ではなく、
あくまでも「想定」「思考」「対策」をした上での、
「何となく」だと個人的には考えております。
詳細な情報ツールを持たない縄文時代の人々が、
なぜ目の前の危機や迫りくる災害を
避けることができたのか……。恐らくは、普段から
狩猟・採取などを通じて周囲の変化に気を配り、
土器・土偶の制作を通じて自分の内側と向き合い、
そして見えない世界を通じて
自然に感謝を捧げていたからなのでしょう。
そこには、「自分の身は自分で守る」
「決して人任せにはしない」という、
現代の防災意識にもつながる
重要な教訓が潜んでいるのだと思います。
しかし、それらの縄文的スキルは、
弥生時代に入り「自らの利益」を
最優先し始めた結果、時代を経るごとに衰退し、
現在では「眠れる遺伝子」として、
私たちの身体の奥へと追いやられてしまったのです。