<粒坐天照神社 いいぼにますあまてらすじんじゃ>
粒坐天照神社の境内を探索している最中、
何気なく背後の裏山を見上げると、
本殿の脇から山腹に向けて、
急な階段が設置されていることに気が付きました。
その意味深な配置に、ただならぬ気配を感じ取り、
すぐさま小高い丘の上へと登り始めた直後、
森の中からザザっと落ち葉を踏みしめる音が聞こえ、
目の前に突然、野生の鹿が現れたのです。
近年、こうした住宅地の近辺でも、
「鹿」「猿」などの野生動物に遭遇する場面がよくあり、
境内を取り囲むようにして、獣除けの電気柵が
張り巡らされている神社なども時折見かけます。
参拝する側としては、若干の戸惑いを覚えてしまうものの、
氏子や近隣の人々にとって、
獣害対策というのは本当に厄介な問題なのでしょう。
そんなことをつらつらと考えつつ、
鹿に刺激を与えないよう、忍び足で石段を登り切りると、
丘の上に小さな古い社が鎮座していました。
瑜伽神社(ゆうがじんじゃ)と呼ばれるその社のご祭神は、
手置帆負命(たおきほおいのみこと)。
一説に、神話の天岩戸の件において、
紀伊忌部の祖である彦狭知命とともに、
天御量や瑞殿を作ったとされるこの神は、
讃岐忌部の祖としても知られた存在でした。