<風宮 かぜのみや>
神社の祭典の中で、
お社の扉の開閉をしたり、
御神体をお運びしたり、
神様をお呼びしたりする際に、
「おー」という母音を長く発声します。
これを警蹕(けいひつ)といい、
警蹕が発声されている間は、
神職も参列者も頭を下げて敬礼するのが、
神道の祭典における習わしです。
警蹕の「警」は警戒する、
「蹕」は行く人を止めるという意味を持ち、
神霊や天皇などの貴人に対し、
人々が不敬な行為をしないよう、
畏みと警戒を促す先払いとしての役目があるそう。
遷御の儀はもちろん、
他の式年遷宮のお祭りにおいても、
参進の列が通り過ぎるときなどに、
おーという警蹕をよく耳にしました。
なぜ警蹕に「お」という音を
用いるのかはわかりませんが、
やはり日本語の秘儀である
「母音」を長く伸ばすことで、
祓いの効果が高まり、
神様が寄り代に宿りやすくなるのでしょう。
神道の儀式を見ておりますと、
私たちが普段接している日本の文化や伝統が、
いかに神様との親和性が深いかに気づきます。