<石上神宮 いそのかみじんぐう>
アメノヒボコに関わる伝説の構図は、
俗に「日光感精神話」と呼ばれており、
「太陽の光により処女懐妊する」
という筋書きが特徴とされます。
さらに、「赤い玉(白い石)から人間が産まれた」
という内容の「卵生神話」も加わることから、
一般的には「日光感精型+卵生型」の神話などと分類され、
これらと似たような伝説は、
世界各地で伝えられているのだとか……。
ちなみに、「日光感精神話」は、
エジプトのあたりから伝播したという説があり、
もしこれが事実ならアメノヒボコの来日譚は、
古代イスラエルの人々によって
もたらされた可能性も出てくるのでしょう。
そんなアメノヒボコ伝承の中で、
個人的に気になったのは、
物語の途中で「牛」という動物が唐突に登場し、
牛を殺した(殺そうとしていると思い込んだ)相手を、
アメノヒボコが厳しく咎めているという部分でした。
その所業はあたかも、アメノヒボコ自身が、
何らかの形で「牛」を屠る祭祀に関わっていたという事実を、
それとなく暗示しているような気がしてならないのです。