たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

真の丈夫

2018-10-23 09:11:26 |  出雲の神話

<倉吉・倭文神社 しどりじんじゃ>

 

出雲大社の社家に伝わる『出雲国造神賀詞』には、

「国譲りは経津主神(フツヌシ)によって行われ、

建御雷神(タケミカヅチ)は無関係だった」

とも受け取れるような記述があるそうです。

また、出雲地方の言い伝えを記した

『出雲国風土記』に登場する神名や、

出雲近辺の神社のご祭神などを見ても、

タケミカヅチのよりもフツヌシのほうが

圧倒的に目立っていることがわかります。

 

これらの内容を踏まえると、

大国主神に国譲りを迫ったのは、

「タケミカヅチではなくフツヌシだった」

という可能性がより信憑性を帯びてきますね。

少なくとも出雲の人々にとって、

天上界から派遣されてきたのは「フツヌシ」であり、

タケミカヅチではなかったということなのでしょう。

 

フツヌシの別名である斎主神とは、

「神に仕える者」を意味しますが、

物部氏の所有する十握剣(布都御魂)を、

フツヌシと呼ばれる斎主がお祀りしていたと想像すると、

布都御魂をめぐる諸々の駆け引きが脳裏に浮かびます。

もしかすると、布都御魂を管理した斎主氏族こそが、

「最後の使者」であり、タケミカヅチの陰に潜む

真の丈夫(ますらお)だったのでしょうか……。

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