<宍粟市・たたらの里学習館>
タタラ場に行く途中、「犬」たちに襲われた村下は、
麻紐に足を取られ命を落としてしまいました。
すると、金屋子神は弟子たちに
「村下の遺骸を高殿にくくりつけ、鉄を吹け」と命じます。
神の言われるままに、遺骸を高殿にくくりつけると、
これまでにない上質な鉄ができたそうです。
また、近隣の集落の伝承の中には、
金屋子神の突然の死に戸惑う弟子たちが、
金屋子神に救いを求めて祈ったところ、
「四柱に死体を立て掛けよ」
あるいは「村下の骨を四柱に括り付けよ」
などの神託が下ったという話もあります。
それ以外にも、村に死人が出た際には、
1.葬列がタタラ炉の周囲をぐるぐる廻った……、
2.たたら場の中で棺桶を作った……、
3.棺桶の木を使うと炉が上手く稼働した……、
4.ドクロの色の変化で鉄の出来を占った……等々、
物々しい俗信がいくつも伝えられているのだとか。
いずれにせよ、金屋子神という存在は、
「死のケガレ」を避けるどころか、
逆に利用しようとしていた節が見られるのですね。