<北山村>
行政上は和歌山県に籍を置いているにも関わらず、
和歌山県のどの市町村とも隣接しない北山村は、
地理的には「奈良県」に属するような場所です。
ただし、古くから盛んだった林業の関係で、
川下に位置する新宮市との
つながりのほうが深かったため、
和歌山県に編入されることが決まったと聞きます。
法令によって定められた事務的な線引きよりも、
「川筋の力」のほうが勝ったのかもしれません。
現在は、日本全国に張り巡らされた道路のおかげで、
一般人も簡単に山の奥地を訪れることができますが、
昔は「川」こそが命の綱である唯一の道でした。
下流で暮らす人々や、熊野灘へと着いた渡来人は、
川を遡りながら「新しい何か」を
山の民に伝えて行ったのでしょう。
悠々と流れる北山川の流れを眺めていますと、
古くから「川」が果たしてきた
役目の大きさが伝わってくるようです。