<内宮 ないくう>
各地の神社で行われる重要なお祭りの多くは、
決まって夜の闇(浄闇)の中で進行されます。
式年遷宮のクライマックスである遷御の儀も、
神様が古いお宮から出御される直前、
神域内のすべての明かりが消され、
松明の炎のみが足元を照らす中、
渡御の御列が新宮へと進みました。
伊勢の内宮などは、
太陽の神である天照太御神がご祭神ですから、
日光が照らす昼間にご神事が行われても
決して不思議ではないのですが、
真夜中の儀式の様子を写真や映像等で拝見したり、
夜明け前の薄暗い神宮の境内を散策したりしますと、
暗闇の中で行われる理由が何となくわかるもの。
暗い神域の中に身を置くことで、
神様と自分との一対一の関係が作られ、
また周囲の景色がはっきりと見えない分、
他の感覚がいつも以上に敏感になります。
視覚から入ってくる雑念や思い込みを排除し、
精妙な神様の気配(神気)を感じるには、
やはり暗闇という条件が必要なのでしょう。