<月夜見宮 つきよみのみや>
昨日遷宮が執り行われた月夜見宮は、
伊勢神宮の別宮でありながら、
他のお宮とは違う独特の雰囲気があります。
伊勢の中心地に鎮座するという立地条件や、
参道が住宅地の中を通るという景観以外に、
大きな理由として考えられるのが、
本殿脇にあるお稲荷さんの存在でしょう。
外宮がある山田の地では、
古くから民間信仰が盛んで、
周辺には多くの稲荷系神社が見られます。
もともと月夜見宮のあたりも、
高河原(たかがわら)と呼ばれ、
農耕に深い関わりがある土地だったそう。
つまり、神宮の管轄に入る前の月夜見宮は、
民間信仰の聖域でもあったわけですね。
通常、神宮が管理するお宮の中に、
別の信仰形態が混ざることはありません。
ただ、月夜見宮のあるこの場所が、
地元の人たちにとって、
「重要な聖域」だと知っていたからこそ、
神宮側も異系統の信仰の場を、
黙認しているのでしょう。