***** 子年の展望 No.60 *****
大神神社は「酒造り発祥地」としても知られており、
毎年11月には酒蔵や酒造メーカーの関係者が集い、
「醸造安全祈願祭(酒まつり)」を行うと聞きます。
何でも、大物主神が「大田田根子」を祭主に指名する際、
「酒を奉納しなさい」と告げたことが発端だそうで、
崇神天皇に命じられた高橋活日命
(たかはしいくひのみこと)という人物が、
一夜で酒造りを完成させ神に献上したのだとか……。
そのおかげで「疫病」は治まったと言いますから、
いわばお酒は「疫病に効く薬」だったのでしょう。
言うなれば、今盛んに推奨されている
「ウイルスにはアルコール消毒」という対策法を、
歴史が証明しているというわけですね。
ちなみに、大田田根子の子孫である三輪氏は、
須恵器づくりを得意とする氏族でして、
それまでの土師器と比べても
かなり完成度の高い酒器を作ったとのこと。
恐らく三輪氏は、「祭祀」という
目に見えない部分だけでなく、
「薬」という現実的な技術を駆使して、
「疫病」という難敵に立ち向かって
いたのかもしれません。