***** 大嘗祭 No.23 *****
「能登の神社」に関する記事の中で
ご紹介した「アエノコト」という行事は、
「大嘗祭」の大元の形を残すとされる民間伝承です。
アエノコトの「アエ」とは「饗」の意味であり、
田の神(稲魂)を迎えてもてなし、
家族と共に食事をするという、
「ニイナメ」の古風なしきたりを
今に伝える伝統でもあります。
「大嘗祭(だいじょうさい)」の中心的儀式
「大嘗宮の儀(だいじょうきゅうのぎ)」の中で、
天皇陛下が多くの時間を割かれたのも、
「神への供物を取り分け自らも食する」
という所作でした。言うなればこの「アエ」こそが、
近代の大嘗祭における中心的儀式とも言えるわけですね。
ちなみに、各家庭の神棚にお供え物を上げる
風習を「宅神祭」と呼びますが、
考えてみますと、これらも「稲魂」を
お祭りする「ニイナメ」の行事ですから、
大嘗祭が始まるはるか以前には、
すでに日本人にとって「ニイナメ」
という概念は当たり前のものだったのでしょう。
大嘗祭の大枠を作った祭祀氏族は、
「アエノコト」「宅神祭」など
「縄文の祭り」を参考にしつつ、
その概要を固めて行ったのかもしれません。