<上一宮大粟神社 かみいちのみやおおあわじんじゃ>
阿波という土地を俯瞰しながら歩いていますと、
「女性性」に「男性性」が上乗せされたような、
何とも奇妙な感覚にとらわれます。
女神を祀る神社が多いにも関わらず、
その場所を訪れるとまず目に触れるのが、
男性器を象ったであろう不思議な石の数々。
言うなれば、女性を意味する大地に、
男性を意味する石棒を突き刺すことで、
何かを封じ込めたようにも感じられるのです。
一般的に、大地に石を突き立てる形態は、
「豊饒」や「子孫繁栄」を願う神事とされますが、
阿波国で見られるそれらの光景からは、
この地で何らかの「強制的な切り替え」が
行われた形跡を感じさせるもの。
もしかすると、これらの儀式は、
大宜都比売命という阿波の地母神が、
誰かの意図によって隠された歴史を
示唆しているのでしょうか……。