たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

混とんとした背景

2020-06-18 09:31:50 | 古代の出雲

<阿太加夜神社 あだかやじんじゃ>

 

松江市・阿太加夜神社のご祭神である

「阿太加夜奴志多岐喜比賣命

(あだかやぬしたききひめ)」は、

もともと出雲西部で奉斎されていた神であり、

出雲市多伎町に鎮座する多伎神社から

勧請したとの話があります。

 

『出雲国風土記』に登場する神々を、

すべて精査したわけではないのでわかりませんが、

こちらの「阿太加夜奴志多岐喜比賣命」しかり、

「国引き神話」の主人公である

「八束水臣津野命」しかり、

出雲西部(杵築)出身の神様を、

出雲東部(意宇)に引き入れるような

動きが起きていた可能性は否定できず、

古代の出雲国が決して「一枚岩」

ではなかった様子が伺えるのですね。

 

恐らくは、六所神社と朝山神社の

「神有祭」に関する由緒の件、

六所神社と阿太加夜神社の

「二重亀甲に有」の神紋の件など、

隣接する地域や同地域内の神社においても、

諸々の摩擦があったのでしょう。

出雲の混とんとした歴史の背景は読み取るには、

国津神と天津神という視点だけでなく、

杵築と意宇、あるいは同じ郷内の力関係も

同時に俯瞰する必要があるのかもしれません。

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