<佐支多神社 さきたじんじゃ>
「竹(笹)」は、稲作が日本に到来する遥か以前、
渡来系の人々が南九州に上陸した際に、
異文化とともに持ち込んだという説が有力です。
何でも、各地に存在する「竹林」は、
南九州を本拠地としたある部族が、
日本国土を北へと移住する過程において、
竹にちなむ文化を広めて行った名残なのだとか……。
今回、出雲一帯の神社を巡っている最中、
たくさんの竹林を見かけたため
不思議に思っていたのですが、
もしかすると出雲は、早い時期に渡来人が
定住を始めた土地だったのかもしれません。
また、島根県の出雲地方だけでなく、
全国の「イズモ」と呼ばれた場所には、
早期渡来人の移住地も多かったと思われます。
恐らく、竹・笹に助けられた金屋子神や
阿用の夫婦は、「竹」の暗示する部族に
匿われたという意味なのでしょう。
『金屋子神祭文』の中で金屋子神を助けた「藤」、
逆に安倍の犬に協力した「麻」「蔦」に加え、
新たに登場した「竹」という植物も、
古代氏族の暗示である可能性が大です。