<たつの市龍野町>
兵庫県周辺の「鉄の神々」を巡りながら感じたのは、
やはり「鉄は血の匂いがする」ということでした。
伊和大神、金屋子神、アメノヒボコをはじめ、
この地の「鉄神」たちには、多かれ少なかれ
「生臭い匂い」が付き纏うことを改めて実感いたします。
恐らく、播磨国一帯の「鉄資源」を目当てに、
多くの渡来人が出入りする中で、
様々な信仰や習俗が持ち込まれた結果、
縄文由来の民間祭祀だけでなく、
天皇家の祭祀にまで影響が及び、
日本古来の精神性が脅かされるような
状況だったのかもしれません。
ちなみに、超古代の日本人には、
「死」に対する穢れの意識はほぼなく、
またその後の時代も、「」による死は
穢れとされたものの、「自然死」に関しては、
穢れとはみなされなかったという話も聞きます。
ある意味、それらの寛容な価値観が、
渡来系の「生贄」や「動物供犠」
という文化を受け入れる土壌となり、
タタラ民の風習として定着した側面もあるのでしょう。
渡来系の製鉄技術を吸収し、
「武器」を量産する手段を得た日本人は、
以降、怒涛のように争いの時代へと突入し、
「鉄」を求めるべく注がれた血が、
さらなる大量の血を呼ぶ結末となったのでした。