<奈良氷室神社 ならひむろじんじゃ>
氷といいますと現在は、
「暑さをしのぐ食べ物」という認識が一般的ですが、
古代では、崩御された天皇などを葬る前に行われる
「殯(もがり)」という儀式に使用されていました。
もがりというのは、遺体を長期間安置する習わしのことで、
氷を使って遺体が腐らないようにしていたそうです。
また古くは、お正月の元旦に宮廷において、
氷様奏(ひのためしのそう)という行事が行われ、
前年の12月に作られた氷室の氷の厚みで、
その年の農作物の吉凶を占ったのだとか。
私たちが普段、何気なく接している「氷」は、
宗教的な役目を持つ「呪術具」でもあったのですね。