福井県教委は5月21日、福井農林高校の男性実習助手(41)が2014〜18年度の5年間にわたり、敷地内の農場で育てた野菜や苗などの販売数を過少に報告し、売り上げの一部約370万円を着服したとして同日付で懲戒免職としたと発表した。今後、県警福井署と相談し刑事告訴するかどうかを検討する。
 
 県教委によると、助手は05年度に職業系高校の実習助手として採用され、09年度から同校で勤務。14年度からは生徒が実習で使う農場や農作物の管理、実習の事前準備などに当たっていた。
 
 同校では生徒が野菜作りや販売を体験する科目があり、実習の一環としてトマトやキュウリ、大根、白菜などの野菜や苗を栽培している。育てたものは、生徒が複数で定期的に実習販売するほか、助手が農場で地域住民らに現金で個別販売したり、企業に納品したりしていた。
 
 助手は、地域住民らに野菜や苗を個別販売する業務も担当。購入者には品目や金額が書かれた伝票の複写を渡し、定期的に売上額(入金額)をまとめた書類「生産製作品処分明細書」と一緒に売り上げを県に入金していた。
 
 2019年2月ごろ、同校の教員が生産量に対する売上額の少なさを不審に思い、18年度の伝票と明細書を照らし合わせたところ差額が生じて発覚。伝票が破棄された年度分の着服額は、生産量から推定した。助手は着服を認め、理由について「借金があり生活が苦しかった。非常に反省している」と話し、全額弁済する意思を示しているという。
 
 県教委はほかに、14〜18年度に同校の教頭を務めていた2人を文書訓告の処分とした。定年退職した当時の校長2人には戒告相当と伝えた。
 
 21日の会見で、県教委の松田健志教育振興監は「生徒や保護者、県民の期待と信頼を著しく損なう事態となり、誠に遺憾に思う。深くおわび申し上げる」と陳謝。高橋秀幸校長は福井新聞の取材に対し「生徒の信頼を裏切ってしまった。教員は生徒の模範であるべきで非常に遺憾に思う」と述べた。生徒には22日に説明する。
 
 県教委は同日に県立学校の管理職らを県庁に集め、生産物や公金・学校徴収金の管理の徹底を呼び掛ける。』