臨時国会は昨日3日目となり、衆議院本会議で各党の代表質問が行われ、菅義偉首相が初めての答弁に立った。
代表質問は、自民党の野田聖子氏、立憲民主党の枝野幸男代表、泉健太政調会長の3氏が壇上に上がり、26日の菅首相の初の所信表明演説内容を中心に質問した。
これに対し、菅首相は、ほとんど答弁書を棒読みして淡々と答弁した。白熱したのは、やはり所信表明演説になかった日本学術会議会員の任命拒否問題で、首相の答弁に会場は騒然とした。
菅首相は、「総合的、俯瞰的な理由」に加えて、先のNHKで述べた「大学、若手、性別に偏らない多様性を重視した」と6名排除の理由とは言わず、任命する場合の考え方について答弁した。
しかし、この説明は、「なぜ6名について任命しなかったのか」という質問に直接答えていないため、野党の猛烈な不満のやじの嵐になった。
しかも、日本学術会議の説明によれば、菅氏の言う「大学、若手、性別など偏り」については、徐々に改善してきているとのことで、任命拒否の理由にはならないとしている。
今回の任命拒否は、大きな問題に発展しているが、実は、安倍晋三政権時の2014年以後、任命問題で毎回、政府と学術会議とでぎくしゃくしていて、2回ほど任命されなかったため欠員状態になっているようだ。
学術会議側が表ざたにしなかったことも問題だが、今回、その経緯が明らかになったことにより、学術会議会員に政府が口出ししていたのは、安倍前首相と菅前官房長官の共演であることが分かり、今回、菅氏が首相になった勢いで懸案事項に決着をつけた形となった。
政府は、日本学術会議には10億円の予算をつけていて、学術会議の会員は特別職の国家公務員だから、首相に任命権があるのは当然だというが、学術会議会員と、一般の国家公務員と人事で同一の扱いをすること自体に無理がある。
1983年(昭和58)当時の中曽根康弘首相は「日本学術会議の独立性を重んじる」と答弁、会員の任命は「「形だけの任命をしていく」と明言している。
この問題については、来週から衆参予算委員会で野党がさらに追及していくとしているので、菅首相との一問一答の質疑により、国民が納得できる結論になることを切望する。「関連:10月27日」