日本学術会議が推薦した会員候補105名のうち6名が任命されなかった問題で、菅義偉首相がこの6人の名前と選考から漏れた事実を事前に把握していたことが分かった。
菅氏は9日のインタビューで、会議側が提出した105名の推薦リストを「見ていない」と発言。99名のリストを見ただけだとして6名の排除に具体的に関与しなかったかのような説明をした。
しかし、12日、関係者の話によれば、除外の判断に杉田和博官房副長官が関与していたことが判明した。
関係者によると、菅首相が今回の人事を決裁した9月28日、政府の事務方トップである杉田副長官が首相の決裁前に推薦リストから外す6名を選別。報告を受けた首相も名前を確認した。首相は105名の一覧表そのものは見ていないものの、排除に対する「首相の考えは固かった」という。
一方、この問題について、加藤勝信官房長官は、首相が105名の推薦リストを「見ていない」で99名を任命したことは学術会議法違反だとする意見に対し、首相は99名の名簿を参考資料として見ていると述べた。
しかし、名簿はあくまでも首相に任命を求める「提案書」であり、参考資料として扱うこと自体が腑に落ちない。
このように、菅首相は、何とかウソでごまかそうとし、加藤官房長官が不備を繕うとしたものの、関係者の証言で一気に真実が明らかになった。
首相が6名の除外を前もって知っていたプロセスが明らかになったことで、さらなる説明責任が求められるが、若しかしたら、排除された6名については、安倍晋三前首相と、前官房長官だった菅首相の間で以前からマークしていたのではないかとも考えられる。
立憲民主、共産両党などは12日、合同ヒアリングを東京都内で開催。首相発言について「明確に法律違反だ」と批判した。臨時国会で徹底的な解明が望まれる。「関連:10月11日」