アメリカのトランプ大統領夫妻が新型コロナウイルスに感染した。最側近で女性のヒックス大統領顧問からうつされた模様だが、どうやらホワイトハウスでクラスターを起こしているようだ。
安倍晋三首相は、さっそくSNSでお見舞いをしたようだ。はからずも、安倍氏は持病が悪化して任期途中の辞職、トランプ氏は、多寡を括っていた流行病に罹って無念の大統領選挙運動一時休止。
つい最近までシンゾウ、ドナルドと呼び合ったという両者が共に病気で「相憐れむ」事態になった。
その安倍政権を引き継いだ菅義偉首相が、日本学術会議の会員6名の任命を拒否した。
学術会議の梶田隆章会長はもとより、各方面から任命を渋った理由を問われても、当の菅首相や、加藤勝信官房長官は答える必要は無いとノーコメントを貫いている。
学術会議側から示された会員の承認ついて、首相が拒否することは、憲法や日本学術会議法違反、さらにはかつて中曽根康弘首相時代に首相の承認は形式的という政府の見解が示されていることを無視した前代未聞の暴挙だ。
6名を任命しなかったのは、かつて彼らが「共謀罪法」や「安全保障法」に異論をとなえたことに対する報復であることは明白だ。従って、理由については絶対に言わないだろう。いや言えないだろう。
学術会議会員の任命については、2016年、安倍首相が会員の定年退任者の補充をする際、学術会議側から出された3名中2名の任命を拒否したという経緯があるようだ。3名については補充しないでそのままになっているようだ。
安倍首相が拒否した理由は、政府が大学での「軍事的安全保障研究」を督励したことに対し、学術会議から異論があったことに対する意趣返しと見られる。
「軍事的安全保障研究」問題自体は大きく取り上げられたが、学術会議会員の任命については余り表ざたにならなかった。今回の6名の拒否はその延長戦上にあるものと見られる。
従って、今回の任命拒否は安部前首相と菅首相の共同作業とも言えるし、申し送り事項になっていたようなものだ。
戦争の苦い経験から、学者の独立性を尊び、政権に迎合しない頭脳集団としての日本学術会議を尊重しない安倍、菅政権では、日本の科学の発展は望めない。
科学の発展の無いところに明日はない。菅首相は、梶田会長からの任命しなかった理由に真摯に答え、直ちに6名の任命を行うべきだ。「関連:10月3日」