鼠喰いのひとりごと

DL系フリーゲームや本や映画などの感想を徒然に

狂骨

2017-04-27 11:46:10 | フリーゲーム(ホラー)
「狂骨」
探索謎解きゲー・京極リスペクト
制作者:ドスバギイ様(凍土博覧会

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懐かしいところから一本、再プレイしてみました。
内容は完全にオリジナルなのですが、雰囲気が非常に京極していて嬉しいゲームです。
キャラの名前や雰囲気、ちょっとした部分で「ニヤッ」としてしまう部分が多いので、ぜひとも京極好きな方にはプレイをおすすめしますよん。


帝都で探偵事務所を営む川島のもとに、ある日、一つの依頼が舞い込む。
それは、とある学園で行方不明になってしまった女生徒を探してほしい、というものだった。
その学園では他にもいなくなった生徒が二名おり、どこからともなく、いなくなった生徒は「狂骨」という妖怪にさらわれた、という噂がたっているという。
行方不明になった少女…伊佐間茅の従兄であるという依頼者・加藤の必死な様子に、川島は依頼を受けることに決め、まずは加藤自身へ、助手の辰宮縁とともに学校周辺の聞き込みをするよう命ずる。


冒頭では「学園」が舞台のように見えますが、主要な探索場所は、隣接する博物館内部になります。
この博物館マップが、スゴイ!陳列物が、ほぼ全て調べられるという、恐ろしく緻密な作りで、本当に博物館を見ている感覚でプレイできます。
立ち並ぶホルマリン漬けの壜や動物たちの頭骨。虫ピンで留められた標本。
そうして、乾いた骨やたちこめる防腐剤の匂いさえ感じられそうなマップを調べていくうちに、プレイヤーはどんどん話に引き込まれていくという罠。
随所に挟まれる演出も見事で、いい味出してます。

全体の作りとしては、博物館の主・初代学長と妻子の人生をベースに、行方不明事件の犯人、その目撃者、伊佐間茅を探す加藤、依頼を受けた川島と助手の縁がそれぞれ行動しているって感じ。
それらをいろんな意味で結んでいくのが、妖怪「狂骨」です。

やや赤みがかったセピアな画面も、レトロな雰囲気が出ていていい感じ。
ストーリーは、やや難解。何人もの登場人物が絡み合い、それぞれを象徴するような暗喩や妖怪たちが現れますが…「こういうことです」というピシっとした答えは最後まで出てきません。
なのでプレイヤーはわかるようなわからないような…モヤっと感が残る仕様になってます。

…キの神。
初代学長はいったいあれをどこで手に入れ、何を思ってあそこに安置したのか。
キに関する物語は出てきますが、内容が…今回出てくる、誰にも該当しない気がするので落ち着かない。
…まあ、骨、ってところは共通項? そのあたりの解説が欲しくなりますねぇ…
あとわからないのは、元凶のあの人と、この博物館を繋ぐ線。
博物館の持ち主や関係者は、あの地下の存在を知っていたんじゃないかと思うんですが…元凶の彼は、学長の一族とは無関係な人ですよね?偶然入り口を見つけたんでしょうか?
(あ…もしかして。彼のお母さんが初代学長の娘だったり…するのかな?)

元凶の動機は…普通だったら少々無理がある設定…(いくらなんでも、あの年までなんの知識も上書きされないなんてことは…?)しかし『京極リスペクトならば十分有り』な展開だったと思います。

ちなみに、作中、よくわからない位置づけで出てくるジュンヨウさん。
冒頭で川島が「岩」とか言ってるのは、たぶん彼のことですね。
彼は…結局役に立ったんだか立ってないんだか…;お守りの意味あった?


謎解きはちょっと難しめ。というか…マップがやたら広いんですよね…
本館倉庫研究棟とひたすらウロウロ歩き回らされるので、鍵を見つけても「あれ?この部屋どこにあったっけな?」としばらく悩んでしまう。
あと、謎解きの手掛かりが、微妙に離れたところにあったりするんで…あそこだ!と気がついてかーらーのー、一度戻って確かめて~が何気に時間食いますねぇ。
ファンタジーなら各建屋にワープポイントも設置できるんでしょうが、このゲームの時代背景は大日本帝国・明治時代。さすがに設定的に無理なので、ひたすら徒歩しかありませぬ…
プレイ時間の半分くらいは移動時間じゃないかなぁ。

あ、そうそう。作中で、絵を4つ集めるイベントがありますが、絵を取ってしまってもその後絵を調べられたりするのは…たぶんバグ…なのかな。
炎の罠のある部屋では特に注意してください。
ここ、炎の罠を回避すると部屋が明るくなって、右側のスイッチへの道が出てくるんですが。
ここで正面の絵をもう一度調べたりしてしまうと、一気に暗闇に戻ってしまって、詰みます。
余計なことをせずに、まっしぐらにスイッチに向かうように!

唯一のアクションパートと言っていい「風の神」の仕掛けは、道を覚えて逃げるしかありません。
初回は何が起きてるんだかわからなくて呆然としますが、どうやらカマイタチみたいな殺傷力抜群の仕掛けがあるモヨウです(博物館に何故そんな?と聞いてはいけない。仕様です。仕様なのです)
1F入口の右側まで逃げて、照明をつければ回避できますんで、とにかく頑張れ!

パスワード関係は年月日をもとにしているものが多いので、重要っぽい年月日はスクショを撮っておくといいかもです。最後のほうの骨関係の本もね!

ちなみに、ここの複雑な謎解きは、①から⑧までの骨の名前を順に並べて書き抜いて、キの神が持っている6つの部位のみ「何番目か」のアルファベットを抜き出して、⑧から①の順に読む。
読めば「ああーこれか」と思う6文字の単語なので、勘のいい人なら一発解除も可能かも。

…てか、初代学長、反省してるフリして未練タラタラじゃねーかよ。と思ってしまいましたワタシ。


話題作でしたので、すでにプレイ済みの方も多いと思いますが…
良いゲームは何度やっても面白い。
明治のレトロな世界観が好きな方、また、京極作品の好きな方におすすめします。





…最後にチラチラしてる、天才宇田川の発見って何でしょうね…?
一瞬出てくる新聞記事をスクショしてみたけど、何も詳しく書いてない。
もしかしてこれ、次回作への伏線だったり…する?