鼠喰いのひとりごと

DL系フリーゲームや本や映画などの感想を徒然に

アンと青春

2016-03-31 19:56:22 | 本(小説)
「アンと青春」 
坂木司 光文社 ハードカバー

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「和菓子のアン」に引き続き、和菓子屋さんに勤める杏子ちゃんのお話です。
「和菓子の~」が好きだったので、続編出てるの見てすぐ買っちゃったよ!
ハードカバーなのに!!(和菓子の、は文庫で買った)

…まあ、ハードカバーは装丁が美しいですからね…いいんですけど…
今回も、蛍光に近い明るいグリーンの表紙に、金箔混じりの白い紙のカバー。
その上にかかる帯はピンク、と。和服の襲を思わせるような綺麗な春カラー。
プリントされているのは内側に明るい緑の餡をくるんだ半透明の餅っぽいの。
上に梅の箔押しされていて、装丁と合わせてある感じ。オシャレだね~

こういう凝った装丁の本は、手に取るだけで嬉しいのだけどね。
いかんせん、重いし場所を取るからな…本好きならだれでも悩むよね。
いずれ床がヤバイって!


うん、とりあえず話を戻して。内容のほうにうつりましょう。
これはですね、主人公のアンちゃんが、すごく魅力的なんですね~
なんていうの…ほら、ちょっと前に巷で流行った、マシュマロ女子ですよ。

正直、太った女の子を主人公に据えた物語って、あんまり無いように思うのですが、
アンちゃんは、美味しいものが大好きで、でも一方で、自分の体形やら顔やらに
強いコンプレックスを持っていて、そのせいで何か自分のすべてに自信がない。

よほど自分の容姿に恵まれた子でない限り、女であれば、誰しもわかるんじゃないかなあ
実際、見た目ってやつは、すごくダイレクトに周囲の扱いを違えてくれます。
一緒の職場で仕事をするとか…長く付き合えば、中身を重視してくれるかもしれませんが、
一生の間に出会う人間の90%くらいは、そこまで深く付き合わないしね。

そんなアンちゃんがデパ地下の和菓子屋さんで、良い人たちに囲まれてバイトをしながら、
お客様たちのちょっとした謎を解く…みたいな。
そのついでに、自分の中のコンプレックスとも、
ちょっとづつ向き合って前向きになっていく…みたいな。

多分、女の子ならだれでも、手に汗握って応援したくなる子。それがアンちゃん。

毎回テーマになる、和菓子の歴史や知識も、一つのみどころです。
うちの近くには、個人の和菓子職人さんのお店があって、
季節の上生の美しいのをたまーに買ったりするんですが、
歴史とかは気にしたことなかったな。
そういうの知って食べると、何かすごく美味しく感じるかも。



…で、今回の続編は…アンちゃんに春の兆しがありまして、
読みつつ、ニヤニヤしてしまう一冊でした。
ただでさえ自分に自信がないもんだから、わかりやすく異性に矢印出されても、
全然理解の外なのが何か…笑える。

乙女ゲなんかでは、すごい可愛い子がやけに鈍感だったりして、
純粋どころか一周回って悪女っぽくなってる場合があるんだけど、
アンちゃんの場合は、そうなる理由が納得できるっていうか。
自分に自信がないと、もしかしたら好かれてるかも?って思っても
「そんなこと考える自分がおこがましい」とか「そんなこと考える自分が恥ずかしい」
になっちゃうんだよね。

今作のタイトルは「アンと青春」
もちろん、あの名作からタイトルをもじってつけているのですよね。
あれ、すっごい長いシリーズだったと記憶してますが!
この続きは…期待してもいいのかなあ?w



どちらかというとウジウジ型の乙女立花、この先は積極的になるのでしょうか…
店長と桜井さんに鍛えなおしてもらったほうがいいかもしれないw


クリノイディア~風の章

2016-03-31 17:00:53 | フリーゲーム(乙女)
「クリノイディア ~風の章~」
女性向け・ビジュアルノベル・連載中
製作者:Layla様sugary*sparkle



今のところまだ物語は序盤。
ですが、あまりにも画像がキレイで、個人的に気になっているノベルです。
恋愛関係が主軸の物語&イケメンがいっぱい&女性向けのシナリオなので、
ブログカテゴリは乙女にしてありますが…
今回「風の章」ということで、主人公は風の国のランダルと決まってますんで、
攻略対象選んだりはしない……と思う。

シムズで作ってらっしゃるんですよね。
私、シムズってウケ狙いの、気持ち悪い造作のものしか見たことがなかったので、
まさかこんな美しいビジュアルのものが作れるとは思いませんでした。
タイトル画像を見てもらってもわかるとおり、アップにも耐えられるイケメンです。
うちの画像だとちょっと解像度粗いのですが、作者さまのサイトに行けば、
それぞれのキャラの美しい画像が堪能できますよ!
クリノイディア各地の風景画像や、館のデザインもそれぞれ個性的かつ綺麗で、
撮影する際のカメラ回しも良く、センスの良い作者様だと思いますです。

そうそう、画像にはいませんが、ヒロインのイディスも、
金髪ウェーブロングで色白の、とても中世のお姫様らしいキャラデザインで、
中世のお姫様王子様系の話が好きな人にはたまらないかと!

内容も、神のお告げによる敵同士の家の結婚とか、
最初は愛のない関係から始まるカップル、横恋慕するもう一人の王子キャラ、など、
ちょっとハーレクインっぽい感じの展開で!
これまた好きな人には、より美味しい展開になっております。

最終的にはハッピーエンドなのだろう、とは思いますが、
そこに行くまで、どう事態が二転三転するのか、先が楽しみです~



エヴェレスト・神々の山嶺

2016-03-31 14:05:05 | 映画(邦画)
「エヴェレスト・神々の山嶺」
2016公開・岡田准一、阿部寛、尾野真千子 ほか
原作・夢枕獏 1997年 集英社

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「水分はどんなに摂っても摂り過ぎるということはない 」
の名文で有名?な、アレを劇場に見に行ってきました。

感想…うーん。
やはりあの密度の濃い小説を、二時間ぽっちに収めるのは、無理があったかなあ。
原作で深く感動した身にとって、映画はやっぱり別モノ感がぬぐえませんねえ。
羽生や、ネパールのお国事情のダークでアウトサイダーな部分も、キレイにカットされてるし。
お国事情についてはいろいろあるにしても、羽生はもっと泥臭くしても良かったな~
それに…そもそも、あんなに根性モノな話でしたかね…;

ああ、でも、活字からは想像のつかない部分…
両手ピッケルで氷壁を上る時の実際の様子や、小さなテントにごうごうと打ち付ける風の音、
一瞬で天候が変わっていく様などは、ああ、こういう感じかーというのがアリアリと伝わりました。
特に、吹雪の勢いが半端ない…!
標高の低い(w)私の住む地域ですら、本気で吹雪いたら、まともに呼吸できません。
特に川の近くとか、障害物のないところは超強風になるので、
口周りを腕で覆ってシェルター作って、ハフハフ言いながら急いで渡る。
なので、吹雪に巻かれる岡田君を見て、こっちまで息苦しくなってしまった。

あと、小説では、へーって気分で読んだけど、
数十キロの荷物付きの成人男性担いで崖登るとか、
実際に映像で見ると人間業じゃありませんわ。山男ってすげえな;


そんなわけで、脚本の短さはともかく、主演のお二人は好演でした。
実際にネパールで撮影したんでしたっけ?
まあ、ほんとのエベレストに登らせるわけにはいかないだろうし、
もっと安全なあたりで撮影してるんでしょうが、
低い場所でもバリバリ富士山越えてる場所でしょ?過酷だったでしょうね~

最後の阿部ちゃん…絶対人形だと思ったんですよ。
へえー、よくできてんな…最近の技術は凄いね、と思ってたら…本人ですと? 
あの「死んで光を失った目」って演技でできるものなの? 
プ…プロすぎる…;
この方、本当に仕事を選ばないし、どんな役でも手を抜きませんね。

岡田君は、良いおっさんになりました…いえ、決して貶してるわけではなく。
良い年の取り方をして、魅力的なおっさんになったなと。
いつまでも若々しいサイボーグみたいなアイドルよりも、
経験を顔に刻んで年を重ねたナイスミドルのほうが、人間らしくて魅力的だと思うんだ。


んで、なんとなく惜しいなあと思ったのは、エベレストそのものの映像について。

以前、地元の大きな山の麓の自然公園に行ったとき、目の前にそそり立つ山の頂の、
すごく大きな存在感、みたいなものに圧倒された記憶がある。
自分がすごく小さく思える、あの感じ。

あれがね、感じられなかったんだあ。
山嶺の美しい映像はたくさん出てきましたが、どれも、富士山の絵葉書みたいな印象で…
いま、その懐にいる、みたいな感覚がなかったの。
やっぱ、映画館のスクリーンを持ってきてもおさまらないくらい、
世界最高峰は、スケールが違うってことでしょうかね~


…羽生のジャケが赤でなかったことと、最後がなぜ第九なのかが、密かに気になる…