「クリスマス・カロル」
ディケンズ 作 村岡花子 訳
新潮文庫 1952年初版発行
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たまには純文で行こうかと思って(笑)
というか、やっぱり私の紹介する話ですからね(笑)
純文とはいえ、もちろん「GHOST」が出てくる話なのですが。
しかし、さすが名作。私が持っている文庫はなんと版数、92刷めですよ…
初版が1952年。そのわりには、訳がそれほど古く感じないのは…
途中で、いろいろ改定されているのかな?
この話は有名ですし、「三人のゴースト」という映画にもなっていますから、
きっと大抵の人は、「あれ?この話どこかで…?」と思うんじゃないかなぁ。
とりあえず、毎年、この時期になると読みたくなる本なのです。
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けちで業突く張りで、他人のためには何一つ…それこそ、舌すら出さないほど冷酷な老人、スクルージ。
ある年のクリスマス前夜、彼は、かつて長年一緒に商売をしていたマーレイの幽霊と出会い、
その有様に仰天する。
長い鎖を身体に巻きつけ、永遠に彷徨うその姿。
しかし、マーレイは、この鎖は、自分が生前犯した罪そのものだと言い、
スクルージ自身もそれ以上の長く重い鎖を巻いており、いつか死んだあとには自分と同じように、
永遠に彷徨い続けなければならないのだと諭す。
それを防ぐ方法はただひとつ。明日から三晩に渡って現れる三人の幽霊に会うことだと。
恐れながらも、マーレイの言うがままに承諾するスクルージ。
しかし、翌晩現れたのは、スクルージが思っていたのとは全く違う姿の存在だった。
「私は過去のクリスマスの幽霊だ」そう言った、輝かしい姿の幽霊は、
スクルージに様々な光景を見せ始める。
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子供のころから、私はやたら「幽霊」だの「お化け」だの「妖怪」だのの出てくる本が好きでした(笑)
だから、最初にこの本を読んだのも「三人の幽霊」とか「クリスマスの幽霊」とかいう感じの、
子供向けの本だったんじゃないかな。
その後、かなり大きくなってから「クリスマス・カロル」を読んで、ああこれはあの話だって…。
かなり判りやすい、道徳的なストーリーではあるのですが、なんか爽やかで好きな話です。
多分、スクルージ以外の登場人物が、みんなやたらいい人なせいもあるかもしれない。
普通、こんな爺さんが近くにいたら、みんな避けて近寄らないとか、
「何だよあのジジィ!」くらい影で言ってそうですが、この物語の中ではそんなことないんだよね。
作中でスクルージが、子供のころの自分を見て、そのころの気持ちを思い出すシーンがあります。
そこを読むと、ついでに自分の子供のころのことも、一緒に考えてしまいます。
本当に、どうして子供の頃の気持ちって忘れてしまうのでしょうね~。
ある日、大人になって振り返ってみても、そのころの子供の自分から今の自分へと続く、
軌跡のようなものが見えなくて、すごく不思議に思うことがあります。
あの自分が、どうして今、こんなんなってるのかなっていう(笑)
そういえば、似たような話で、ブルースウィリスの「キッド」という映画があるのですが、
そちらは子供の頃の自分と直接出会うことで、過去に持っていた夢や希望を取り戻す話でした。
子供の自分が、大人の自分に聞くんですよね。
「大人になったら、犬を飼うって決めてたんだ。今、おじさんは犬を飼ってる?」
思えば、子供の頃に持っていたはずの夢や希望は、どこに行ってしまうんだろうなぁ。
昔、こうしたいと思っていたはずのことが、今は全然魅力的に思えなかったりね。
とりあえず、私は自宅を動物王国にするのが夢だったはずなのですが(笑)
いや、半分は叶ってるかな。子鬼のせいで、夏は昆虫王国でしたからね!(笑)
恋人と一緒に聖夜を過ごすのも素敵ですが、たまにはちょっと、
静かに読書なクリスマスというのも良いのでは♪
薄くてすぐに読み終われます。おすすめ。
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ていうか、最近、子鬼用の本を図書館に借りに行く都合で、児童図書に目がいってるんですよね。
昔自分が読んだ本とか見つけると、嬉しくなります。