水産北海道ブログ

北の漁業と漁協がわかる情報満載です

公明党道本部政策懇談会で水産業界が要望 資源増大、経営安定、漁港漁場、栽培漁業などへの支援を

2018-11-21 11:11:07 | ニュース

 道漁連ら在札系統5団体と道水産会は11月17日午前、札幌ガーデンパレスホテルで開かれた公明党道本部の政策懇談会に出席し、資源回復・増大、漁業経営安定対策、環境保全対策、胆振東部地震の復旧・防災対策、漁場漁港整備、増養殖事業、新規漁業就業者支援の予算確保などを要望した。

 公明党は、横山信一(参議、法務委員長)、佐藤英道(衆議、農林水産部会会長)道本部代表代行ら国会議員、森成之道本部幹事長ら道議、市議が陳情を受けた。

 佐藤道本部代表代行が「国会では漁業法改正の審議が衆議院で始まったが、皆さんからの声を聞き、政令や省令に北海道独自の意見を反映させていきたい」挨拶したあと、本間靖敏道漁連常務と伊吹勇晴道水産会常務が重点項目をあげ、予算確保を要請した。

 意見交換では、密漁防止の予算要望、入管法改正による外国人就労の規制緩和、水産加工対策、新規漁業就業の支援内容、栽培漁業の見直し、漁場整備予算の確保などについて質疑を交わした。

 最後に横山道本部代表代行が「本日の要望はしっかり受け止め、予算配分したい。自然災害の多発に対応する国土強靱化に向け、重要インフラの緊急点検を行い、安倍総理が来年から対策に取り組むと明言している。この中には漁港、漁村の周辺施設、沿岸部の魚礁なども見直しの対象に入る。どの部分に手を入れるべきか、漁村漁業を守るために明確にしたい」とまとめ、閉会した。


平成30年度漁協経営推進会議を全道で開催 漁協人材の育成・確保、浜プラン基本に振興・成長化

2018-11-21 11:07:34 | ニュース

水産政策、働き方改革など各種法制度改正への対応を

 道漁連は、次年度事業計画の樹立に向けて各種の資料や情報を提供する「漁協経営推進会議」を11月2日から全道7地区で開催した。この会議は漁協経営を取り巻く諸情勢と課題への基本認識を深め、健全な漁協経営に資することを目的に毎年開かれており、常勤理事や参事など漁協の実務責任者が出席して道漁連の指導教育部、漁政部から説明を聞いた。今回は政府が進める「水産政策の改革」「働き方改革」など各種法制度改正への対応が重視され、漁協組織への結束力、経営基盤の確立が求められた。

 最終日の11月13日は、午後1時30分から札幌市水産ビルで小樽・留萌地区の合同会議が開かれ、30人が出席した。本間靖敏道漁連常務が「本道漁業は2年連続で100万㌧割れに直面し、今年も秋サケは6万㌧が難しい情勢にある。漁業法の改正が臨時国会で審議されるが、今後の政省令を注視しながら自ら改革を進め、浜に混乱のないよう対応したい。また、12月中の概算決定で大型水産予算が期待される。事業計画の樹立は、厳しい水揚げ状況の中で苦労が多いと思うが、お役に立てるよう情報提供に努める」と挨拶した。

 道漁連指導教育部の吉野雄三次長が経済・社会情勢と漁協の現況、税制改正、労働法の改正、給与水準、事業計画の樹立などの資料を説明した。「平成31年度事業計画樹立にあたって」によると、今年から来年にかけ景気の回復基調は続くが、消費増税の駆け込み需要の反動と労働力不足で、景気の後退が懸念される。

 漁業情勢では秋サケ、ホタテ、サンマ、イカなどの主要魚種がコンブを除き価格の下方修正で推移している

 販売取扱高は、2013年度以降3千億円台を維持しているが、数量は84万㌧と資源状況の悪化が危惧される。収支は全道71組合中、当期欠損が9(前年度4)、未処分損失金保有が11(同7)といずれも増加している。

 次年度事業計画樹立の留意点として①更なる協同組合啓発活動を積極的に推進し、組合への結束力向上に取り組むとともに、役職員育成をはじめとする「漁協人材の育成、確保」に向けて具体的な実践に取り組む②浜プランを基本として施設整備や資源増大等の漁業振興策について、中期計画の策定と実行に取り組む中、総合的な地域振興と漁業の成長産業化を図る。計画策定組合は実績検証による見直しにより、確実に計画を達成するとをあげている。

 漁協経営に関しては、北山健太郎部長代理が働き方改革関連労働法規の改正、民法改正の概要、漁協役所員研修計画(31〜33年)案、漁協職員育成のための具体的実践について説明した。

 漁政関係では、北悟司漁政部次長が31年度国費概算要求に盛り込まれた主要な事業の内容、水産政策の改革関連として漁業法改正、水協法改正の動向も明らかにされた。


第33回全道「JF共済」推進・専務参事協議会 チョコー純新規10月末で年間計画の7割、改正効果で伸長

2018-11-21 11:01:23 | ニュース

全戸訪問、各研修会で制度内容を周知徹底、全道キャンペーン展開

 道JF共済推進本部(福原正純本部長)は11月16日午後1時から札幌市第2水産ビル8階第会議室で、第33回全道「JF共済」推進・専務参事協議会を開催し、全道の専務参事ら100名が出席した。協議会では、平成30年度10月末実績、今後の取り組み、31年度事業計画の骨子のほか、JF共済の現況(全国の概況)などについて詳しく説明を受けた。

 開会にあたり、福原本部長が「10月末のチョコー純新規は156億円と年間計画の71%に達し、制度改正効果により計画を大幅に上回っている。医療共済の新規も同様に好調に推移している。くらしも189億円と昨年の制度改正、自然災害ニーズにより1計画を大幅に上回った。一方で保有はチョコーの漸減傾向、くらしの伸長が続いている。9月の台風で、地震では68件、地震で115件の事故が報告され、迅速な共済金の支払いに努める。下半期は全戸訪問や推進委員会、女性部・青年部の研修会で、チョコーの制度内容の周知徹底と全道キャンペーンによるPRを展開したい」と挨拶した。

 次いで、来賓の杉西紀元道水産林務部水産経営課長が「胆振東部地震においては全道でブラックアウトが発生し、ライフランが寸断され、漁業者の水揚げができないなど、これまで経験したことのない大きな被害を受けた。今年の本道漁業は秋サケ漁が伸び悩み、生産の停滞が続き、燃油価格の高止まりなど厳しい経営が続いている。JF共済は組合員、家族の生命や財産の保障の万全を期すとともに、漁協の経営にも大きく貢献している。制度改正による普及推進が着実に進み、浜から大きな期待がかけられている」、深瀬茂哉共水連本所常務が「今年の上半期は台風、地震と自然災害が多発しており、エルニーニョ現象が発生するなど、冬に向けても気を抜くことができない」と挨拶した。

 その後、推進本部の吉田克哉常務が30度10月末実績および今後の取り組み、浜島清剛専務が31年度事業計画案、深瀬常務が全国の現況などについて説明した。その中で、吉田常務は「チョコー純新規は7月の改正以来、大きく伸び、釧路地区が年度目標を達成した。くらしも例年以上に順調で、小樽、稚内地区で計画を達成している」と概況を説明。今後は「100型保障の新設」「がん入院の無制限化」など改正チョコーの内容を周知徹底し、全道キャンペーンでは「こども共済」、「特別共済」、女性疾病入院特約「りぼん」の取り組みによって純新規の重視、女性の加入率向上を図るとした。

 浜島専務は、31年度の基本方針、重点活動項目、具体的活動項目を説明し、制度改正されたチョコー、くらしの普及拡大を図るほか、生命保険証券分析システム(ASシステム)を活用した他社生保等からの呼び戻しに努める。協同会社の体制強化では営業推進車両の継続配備を行い、31年度は30台の入替を計画。引き続き社会貢献としてAED、ライフジャケットの助成を行う。種目別では、チョコー純新規220億円、くらし新規230億円を目標とし「付加収入10億円をめざすので、来年度事業計画に反映させてほしい」と呼びかけた。

 深瀬常務は、多発する自然災害への対応、カサイ・くらし事故共済金の推移、支払余力・ソルベンシーマージン比率の推移、再保険の対応、総資産・チョコー実績の推移を説明した。それによると、30年度の自然災害によるカサイ・くらしの事故は約3,500件で、21億円の支払いを見込んでいる。この10年間で132億円の準備金を積み上げ、支払余力は553億円・1460%を確保した。東日本大震災の時には240億円の共済金を支払ったが、南海トラフでは429億円の支払いが想定される。これらは海外への再保険によってリスクを分散している。

 共水連の総資産は、8割方がチョコーの実績で積み立てたもので、現在は保有・新規ともにピークに比べ大きく下がっているが、全国の10月末実績を踏まえて、目標の達成に向けて全力と尽くすと強調した。

 最後に、時田清一副本部長が「漁家台帳の整備、全戸訪問を最重要施策に、漁協経営に寄与できるよう役職員一同が全力で取り組む。改正チョコーを武器に浜の保障の充実に努めたい」と挨拶し閉会した。


水産庁が第5管理期間のクロマグロ配分案 北海道は小型魚11.3㌧、大型魚291.3㌧

2018-11-18 22:25:26 | ニュース

 水産庁は、来シーズンのクロマグロTACの配分案を公表し、12月15日までパブリックコメントを募集している。第5管理期間は、知事管理の沿岸漁業が4月1日から翌年3月末までとし、大臣管理の沖合漁業が1月1日から12月末まで。北海道の配分は、現行の第4管理期間に比べ、小型魚が3㌧増の11.3㌧、大型魚が82.9㌧増の291.3㌧となっている。第5管理期間の配分見直しは、水政審資源管理分科会のくろまぐろ部会で検討が終わり、その取りまとめ結果が反映された。第4管理期間の超過量の差し引きで漁獲枠がゼロになった指定漁業、都道府県に混獲枠を一定数量配分するとしている。


北日本漁業経済学会の50周年記念大会 本道漁業50年振り返り、課題や方向考える

2018-11-18 22:17:05 | ニュース

団体、行政、試験研究の関係者ら80人が参加

  創立50周年を迎えた北日本漁業経済学会(二平章会長)の第47回大会が11月9日、ホテル札幌ガーデンパレスで開催され、「北日本漁業の歩みと展望」をテーマに特別講演や系統・水産団体、試験研究、道行政による話題提供を聞き、北日本漁業の半世紀の歴史、現状と課題に認識を深めた。会場には会員をはじめ、関係者ら80人が参加し、創立50周年を祝うレセプションを通じて交流を深めた。

 開会に当たり、二平会長が「水産改革法案が国会に提出され、これまでと全く考え方の異なる制度によって沿岸漁業、漁協が縮小されかねない問題をはらんでいる。そうした大きな節目に50周年の記念大会を開く。当学会を創設した研究者が考えた漁業の方向性とは真逆の改革となっており、改革の意味を皆さんと考える意義深い大会になることを期待したい」と挨拶し、会員の拡大に向けての協力を呼びかけた。

 さっそく「北日本漁業の歩みと展望」をテーマに特別講演に入り、佐野雅昭鹿児島大学教授が「成長戦略政策の検証」、片山知史東北大学大学院教授が「水産資源の出口管理強化の問題点」を講演し、現政権が進める水産政策改革の方針を批判した。佐野氏は、安部政権の「成長戦略」を分析した上で、水産業の成長戦略の内実を問い、あるべき成長戦略は投資拡大による新規参入企業の所得拡大と従業者の増大ではなく、定住漁業者の所得向上と後継者の確保であり、そのためには「価格を重視した需要拡大政策が中核にあるべき」と提案した。

 片山氏は、新しい資源管理でめざすTAC拡大、IQ導入のベースとなるMSY(最大持続生産量)の考え方を否定。「ほとんどの魚種系群では再生産(親子)関係が不明で、環境変動によって加入量が変動している。加入乱獲(産卵親魚)を避ける個別割当を通じて出口規制を徹底しても資源は増大しない。成長乱獲(未成魚)を避ける入口管理が有効」と指摘した。

 話題提供に移り、宮澤晴彦北大大学院教授が「北日本漁業経済学会50年の歩みと課題」を報告。宮澤氏は昭和43年(1968)に発足した学会の設立趣意書にある「研究者・漁業者・関係団体・行政が地域漁業の方向を議論する」との理念を紹介し、シンポジウムのテーマの変遷、会員の動向、学会の直面する課題などを述べ「漁村の再生にとって担い手の確保・育成が必要であり、学会も若手の会員拡大と牽引力が求められる」と協同を呼びかけた。

 このあと、本間靖敏道漁連常務が「北海道漁業の今後の政策展望」、大口圭一道信漁連副会長が「北海道の漁協の信用事業」、津田要道漁業共済組合専務が「ぎょさい・積立ぷらすの現状」、柳川延之道機船連専務が「北海道沖合底びき網漁船の200海里時代以降の歩み」、木村稔道総研中央水試副場長が「本道水産業をめぐるこれまでの諸問題とそれに対応してきた水産試験研究の歩みと今度の課題・展望」、幡宮輝雄道水産水林務部長が「本道漁業の課題と水産政策の推移」を報告し、本道漁業の歴史と現状を様々な角度から照射した。その中で、幡宮部長は「これまでも海と資源の変化に漁業は対応してきた。今は転換期であり、失敗を恐れず変わる勇気、漁業を支える覚悟と仕組みが大切」と語った。