水産北海道ブログ

北の漁業と漁協がわかる情報満載です

水産庁が第5管理期間のクロマグロ配分案 北海道は小型魚11.3㌧、大型魚291.3㌧

2018-11-18 22:25:26 | ニュース

 水産庁は、来シーズンのクロマグロTACの配分案を公表し、12月15日までパブリックコメントを募集している。第5管理期間は、知事管理の沿岸漁業が4月1日から翌年3月末までとし、大臣管理の沖合漁業が1月1日から12月末まで。北海道の配分は、現行の第4管理期間に比べ、小型魚が3㌧増の11.3㌧、大型魚が82.9㌧増の291.3㌧となっている。第5管理期間の配分見直しは、水政審資源管理分科会のくろまぐろ部会で検討が終わり、その取りまとめ結果が反映された。第4管理期間の超過量の差し引きで漁獲枠がゼロになった指定漁業、都道府県に混獲枠を一定数量配分するとしている。


北日本漁業経済学会の50周年記念大会 本道漁業50年振り返り、課題や方向考える

2018-11-18 22:17:05 | ニュース

団体、行政、試験研究の関係者ら80人が参加

  創立50周年を迎えた北日本漁業経済学会(二平章会長)の第47回大会が11月9日、ホテル札幌ガーデンパレスで開催され、「北日本漁業の歩みと展望」をテーマに特別講演や系統・水産団体、試験研究、道行政による話題提供を聞き、北日本漁業の半世紀の歴史、現状と課題に認識を深めた。会場には会員をはじめ、関係者ら80人が参加し、創立50周年を祝うレセプションを通じて交流を深めた。

 開会に当たり、二平会長が「水産改革法案が国会に提出され、これまでと全く考え方の異なる制度によって沿岸漁業、漁協が縮小されかねない問題をはらんでいる。そうした大きな節目に50周年の記念大会を開く。当学会を創設した研究者が考えた漁業の方向性とは真逆の改革となっており、改革の意味を皆さんと考える意義深い大会になることを期待したい」と挨拶し、会員の拡大に向けての協力を呼びかけた。

 さっそく「北日本漁業の歩みと展望」をテーマに特別講演に入り、佐野雅昭鹿児島大学教授が「成長戦略政策の検証」、片山知史東北大学大学院教授が「水産資源の出口管理強化の問題点」を講演し、現政権が進める水産政策改革の方針を批判した。佐野氏は、安部政権の「成長戦略」を分析した上で、水産業の成長戦略の内実を問い、あるべき成長戦略は投資拡大による新規参入企業の所得拡大と従業者の増大ではなく、定住漁業者の所得向上と後継者の確保であり、そのためには「価格を重視した需要拡大政策が中核にあるべき」と提案した。

 片山氏は、新しい資源管理でめざすTAC拡大、IQ導入のベースとなるMSY(最大持続生産量)の考え方を否定。「ほとんどの魚種系群では再生産(親子)関係が不明で、環境変動によって加入量が変動している。加入乱獲(産卵親魚)を避ける個別割当を通じて出口規制を徹底しても資源は増大しない。成長乱獲(未成魚)を避ける入口管理が有効」と指摘した。

 話題提供に移り、宮澤晴彦北大大学院教授が「北日本漁業経済学会50年の歩みと課題」を報告。宮澤氏は昭和43年(1968)に発足した学会の設立趣意書にある「研究者・漁業者・関係団体・行政が地域漁業の方向を議論する」との理念を紹介し、シンポジウムのテーマの変遷、会員の動向、学会の直面する課題などを述べ「漁村の再生にとって担い手の確保・育成が必要であり、学会も若手の会員拡大と牽引力が求められる」と協同を呼びかけた。

 このあと、本間靖敏道漁連常務が「北海道漁業の今後の政策展望」、大口圭一道信漁連副会長が「北海道の漁協の信用事業」、津田要道漁業共済組合専務が「ぎょさい・積立ぷらすの現状」、柳川延之道機船連専務が「北海道沖合底びき網漁船の200海里時代以降の歩み」、木村稔道総研中央水試副場長が「本道水産業をめぐるこれまでの諸問題とそれに対応してきた水産試験研究の歩みと今度の課題・展望」、幡宮輝雄道水産水林務部長が「本道漁業の課題と水産政策の推移」を報告し、本道漁業の歴史と現状を様々な角度から照射した。その中で、幡宮部長は「これまでも海と資源の変化に漁業は対応してきた。今は転換期であり、失敗を恐れず変わる勇気、漁業を支える覚悟と仕組みが大切」と語った。