降版時間だ!原稿を早goo!

新聞編集者の、見た、行った、聞いた。
「降版時間」は新聞社整理部の一番イヤな言葉。

★西行詠める寺にて、どすえ=京都祇園祭編❸止

2014年07月19日 | 新聞

京都・祇園甲部の愛人(→だからぁ、1度言ってみたかっただけ)が、
「蓮の花が咲いている、と京都新聞地域版に出ていました」
というので、法金剛院(ほうこんごういん=京都市右京区)に足をのばした。

JR嵯峨野線花園駅から、歩いて3分ほどの侘び寂びの寺(入苑料=一般500円)。
交通量の多い丸太町通に面しているけど、苑内に入ると、あ~ら不思議。
風の通り抜ける音、滝のしぶきしか聞こえなかったのどすえ(←超ニセ京ことば、堪忍しておくれやす・笑)。

関西花の寺第十三番霊場の同寺は
「蓮の寺」
とも言われ、世界中の蓮が苑池や鉢に植えられていた。
丹精込めた、桃色、白色の蓮花が、清楚に華麗に咲いている=写真
極楽に咲くと言われる蓮の花が、あんなに大きいとは知らなかった。初めて見た。

..........秋は、紅葉も良さそうどすえ。

紅葉みて君が袂やしぐるらむ
昔の秋の色をしたひて


思慕していた待賢門院がお亡くなりになり、西行がこの寺で詠んだ歌。
初秋のころ、再び訪れたいどすえ (^O^)/

( 関係ないけど、
JR東日本のSuica一枚あれば、JR西日本、阪急京都線、京都市営地下鉄にピッピッと乗れ、売店でも新聞などが買えたのでビックリ。便利になりました )。

★やっぱり長刀鉾どすなぁ=京都祇園祭編❷

2014年07月18日 | 新聞

第151回直木賞は、黒川博行さん(65)。
やったぁ~、予想(半分)的中(→7月12日付みてね)!
............ということは、さておき。

京都に来た。
祇園祭前祭(さきまつり)の山鉾巡行を、上七軒の愛人(←1度言ってみたかっただけ)と観ようと思ったが、午前中から蒸し暑ぅ~て蒸し暑ぅ~て、よう外に出られまへんな。
せやから、前半は京都テレビの生中継で観賞おすえ(←ニセ京言葉、堪忍しておくれやす)。

京都テレビ「祇園祭山鉾巡行・前祭/豪華動く美術館23基が都大路を華麗に進む!」のゲストは、
映画「舞妓はレディ」(東宝系9月公開)監督の周防正行さん(57)と主演・上白石萌音さん(16)。
朝8時30分から汗だく大変どすなぁ。

全33基の山鉾(前祭23基+後祭10基)。
僕は、やっぱりくじ取らず鉾の長刀鉾(高さ24メートル、重量11トン=写真)が一番美しいと思う。
スラリとした8頭身的姿に、洗練されたスマートさを感じる。
京都生まれの知人は、
「長刀鉾さんの、四条河原町交差点での辻回しが毎年、時間がかかっていくのは、引き手の世代交代やから仕方あらしまへんなぁ」
と言ぅてはりました。
というわけで、粽(*1)を買うて土産にしたのおすえ。

(*1)粽=ちまき
邪気を払い疫病や災難除け。翌年の祇園祭まで門口に吊るしておく。
東京生まれの僕は、中に何か入っているかと思っていた(笑)が、
「中には何も入っておりまへん。有効期間1年の家の御守りです」(京都生まれの女性)
と言っていた。


★妖し宵山の夜どすえ=京都祇園祭編❶

2014年07月17日 | 新聞


京都に来た。
祇園の愛人(←1度言ってみたかっただけ)と、コンチキチンの祇園囃子が流れる前祭祇園祭宵山をそぞろ歩いた=写真
ことし2014年から49年ぶりに、本来の
前祭(さきまつり=17日23基巡行)
後祭(あとまつり=24日10基巡行)
に戻った。
大船鉾が150年ぶりに復活し、祇園祭クラシックスどすえ(←ニセ京言葉、えらい堪忍しておくれやす、笑)。

烏丸通の一部、四条通は車両通行止め(午後11時まで)で、ずらり夜店が並んでいる。
人込みを歩く、うちわを持った浴衣姿の女のコが妖しくかわいい。
中には、地べたに座り込みスマホ片手にタコ焼きを頬張っているコもいたけど、見ないよーにして、と。

いつもは、あまり観光客が歩かない室町通。
巡行準備、屏風祭で賑わっている。
山鉾が室町界隈に集中しているのは、室町衆の財力なのだろう、と往時の町衆のパワーを感じた。
多少、風があるものの盆地の京都らしい蒸し暑さに包まれ、駒形提灯が妖し祇園祭宵山どすえ。


★『紙つなげ!』グッと来た❸止

2014年07月15日 | 新聞


【きのう7月14日付の続きです。
写真左の角川文庫の本文用紙も、角川オレンジと呼ばれる日本製紙石巻工場製なのです】

佐々涼子さん(46)の新刊ノンフィクション『紙つなげ!彼らが本の紙を造っている/再生・日本製紙石巻工場』(早川書房、本体1,500円=写真右)を読んだ。
〝一等地〟で平積みされている書店が多いから、実際売れているようだし、出版・書店も力を入れているのではないだろうか。

【きっかけは早川書房の副社長だった】

SFとミステリーの早川書房が、なぜノンフィクションの佐々さんを起用したのだろう.......と思いながら読んでいた。
『紙つなげ!』は2012年、同社副社長・早川惇さん(30)が、日本製紙石巻工場に見学に行ったことがきっかけだったという。
早川副社長は、工場の従業員たちが連れていってくれた、石巻や女川の凄まじい街の様子を見て、
「頑張ってください、でもなく、ありがとうでもない」
と、圧倒的な自然災害の前に、言葉の無力さを思い知った。
「しかし、いつかこの工場を、記録として残さねば」
と痛感(←出版人らしいね!)。
翌2013年、一人の同社編集者が佐々さんに声をかけた。
佐々さんは記している。
この本を生み出したのは、あの日早川が言葉にできなかった、彼の製紙工場と石巻に対する想いである。

【多崎つくるも永遠の0も8号抄紙機製】

僕たち読者は、本の用紙(*1)に注意を払わないけど、プロは「ウチ製か他社製か分かる」という。
ほぉ~~~。
社運をかけて再稼働させた8号抄紙機、通称〝8マシン〟リーダー・佐藤憲昭さん(46)は、
「うちのはクセがあるからね。本屋に並んでいても見りゃわかりますよ」
その『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(村上春樹さん、文藝春秋2013年)が発売7日目で100万部に到達すると、日本製紙は相次ぐ増刷に嬉しい悲鳴を上げたという。
佐々さんは記している。
「どれぐらい積むんだ?」彼らは紙を抄(す)き、売ることができる喜びに沸いた。
(中略)
石巻工場の主力マシン、「N6(エヌロク)マシン」は現在フル生産の状態である。そして石巻工場は、昼夜止まることなく紙を生産し続けている。

...............グッと来た。
お涙頂戴、人情噺的ノンフィクションに終始していないのが、とてもいい。


(*1)本の用紙=ほんのようし
新聞社の編集者も、新聞用紙を(両目をつぶりながら)見て&触れば、どの新聞なのかは分かる(はず)。
例えば、
「むっ、パリパリしているから、この紙は日経だな」
「むっ、やや漂白してあるから、この紙は朝日だな」
「むっ、めくりがやわらかいから、この紙は毎日だね」
さらに、組んである地紋・活字フォントを見れば、正解度は上がる(と思う、笑)。

★『紙つなげ!』泣けた泣けた❷

2014年07月14日 | 新聞/小説


【きのう7月13日付の続きです】
佐々涼子さん(46)の新刊ノンフィクション『紙つなげ!彼らが本の紙を造っている/再生・日本製紙石巻工場』(早川書房、本体1,500円=写真)を読んだ。
とてもいいカバーデザインだな、と思ったら、売れっ子の
「装幀=鈴木成一デザイン室」
だった。

【「日本製紙(にっぽんせいし)石巻工場」データ】
▽敷地面積は約33万坪(東京ドーム23個分)で、年間生産量は100万㌧。
▽2011年3月11日、貨物線の石巻港駅、石巻湾、旧北上川の三方から最大7.7㍍の巨大津波に襲われた。
当日の勤務者は本社員・協力会社員を含め1,306人。
奇跡的に全員無事も、非番・OBには犠牲者が出た。
▽日本製紙は、日本の出版用紙の4割を生産し、同社石巻工場はその主力工場。
当日は、8号抄紙機(しょうしき)で角川文庫用紙を生産していた。
▽石巻工場の前身は1936年、昭和恐慌や昭和三陸大津波により疲弊した東北地方を救済するために設立された「東北興行株式会社」。
つまり、石巻工場自体が津波で被災した東北の地を経済支援するために造られたものだった................。

【抑えた描写だからこそ胸あつく】
この石巻工場であった復興ドラマは、被災地で数限りなくあった事実の一つに過ぎないとは分かっているけど、
佐々さんの抑えた描写だからこそ、胸に迫るものがあった。
涙で活字が滲んで読みすすむことがなかなかできなかった
(以下、本文から引用しました)。

その頃村上(僕注=石巻工場総務課主任、48歳)は南光寮脇で救助にあたっており、当時の様子をこう述べている。
「とにかくにおいがすごかった。震災のにおいっていうんですか。本やビニールや人が燃えている。
当日と翌日
(僕注=2011年3月12日)までに50人は助けました。そして、その倍の人を見殺しにした。助けられなかったんです。そのことは一生忘れないでしょう。」(後略)

僕の両親の実家跡は、宮城・仙台の海側。
津波で一帯が全滅した。
震災後、同じ話を「生き残った」土地の人に聞いた。

................続く。

★『紙つなげ!』で思い出した❶

2014年07月13日 | 新聞/小説

『エンジェルフライト/国際霊柩送還士』で2012年第10回集英社・開高健ノンフィクション賞を受賞した、佐々涼子さん(46)の最新刊を読んでいる。

『紙つなげ!彼らが本の紙を造っている/再生・日本製紙(にっぽんせいし)石巻工場』(早川書房、本体1,500円)=写真
2011年3月11日。
三方から大津波にのまれ、瓦礫の山と化した同石巻工場。
誰もが再稼働不能と見たが、わずか半年で奇跡の復興を遂げた同工場の、3.11以後を追ったノンフィクション。
悪夢の大震災後、被災地ではたくさんあった事実の一つなんだろうけれど、
ページをめくるごとに................活字が滲んだ、泣けた。
ちなみに、同書で使用されている本文用紙は、日本製紙石巻工場でつくられたものだから、感動も一入なのだ。


........と、佐々さんの新刊を買い、タイトルで思い出した。
「紙つなげ!」という言葉に、僕は、ある記憶があるのだ。
(以下、佐々さんの本とはまったく関係ありませーん)。
僕が、活版時代の新聞社地下印刷工場の凸輪転機で見たこと、です。

とある新聞社、とある夜。
整理部の僕は大ゲラを持ち、編集局から地下の輪転に走っていた。
「どぁ~、えらいこっちゃでぇ~、えらいこっちゃでぇ~」(←関西人じゃないけど、笑)
「なんで、校閲さん、気づかねーんだあ~、シリ切れ(*1)じゃん!」(←人のせいにしちゃいけませんねぇ)

ハァハァ言いながら分厚い金属製遮音ドアをあけた僕は、輪転の当夜デスクを探した。
だだっ広い地下の凸輪転機印刷工場。
当時は横置き型で(現在は縦・垂直型)、印刷を始めようと唸りをあげている。
ウオ~ン、ウオ~ン、ウオ~ン、ウオ~ン(爆音)。
僕に気づいた輪転機の当夜デスクが声をあげている。
「!.......どーしたぁ.........?」
僕は、輪転機の爆音に負けず
「◯版は.............もう、刷りはじ...........めて、ま、す、かぁ?」
輪転機デスク
「!................まだ、だぁ!」
僕は大ゲラを見せ、大声を張り上げながら
「ケズって(*2)..........ケズってください!」

この時、突然、ウオ~ンウオ~ンゥォ~ンヒュゥーン...............と輪転機の回転が小さくなった。
「◯号機、か、紙切れです!」
と若い工員が叫んだ。
当時、でっかいトイレットペーパーのような新聞用紙の巨大巻取(ジャンボリール)は、なぜか途中で「切れる」ことがたびたびあって、印刷時間ロス・用紙ロスが社全体で問題になっていた。

慌てた輪転デスクは、僕のことはほっといて(←まだ刷りはじめていないし、ケズリだし)紙庫に走りだし
「◯号機の紙をつなげ!紙をつないでおけ!」
と叫んだ。

................ということを、佐々さんの新刊タイトルを見て思い出してしまった
(←長々と書いたオチが、以上でございます....... m(__)mスミマセン )。

話は戻る。
日本製紙石巻工場は、日本の出版用紙の約4割を生産している。
もし再稼働できていなかったら、今ごろ
................長くなったので、続く。

(*1)シリ切れ=しりきれ
大組み中、整理部面担が記事の途中段落で切ったままにしていること。
例えば、
「全体の残高は約1兆8000億円と横ばい圏が続いている。過去
に発行したCBが満期となり償還されたり
.........」
の「圏が続いている。」で整理部が記事を止めて、「過去」以下を〝預かり〟にすること。
大組み者は事故を防ぐ意味から、記事を切った箇所をゲタ(■■)にしなくてはならなかったが。

(*2)ケズって=けずって
降版してしまった後の、紙型どりした鉛版を先の尖った金属棒状でチョイチョイと
〝ひっかいて=削って〟
誤字・間違い部分を見えなくしてしまうこと。
*1の場合では、「過去」2文字を削った。

★直木賞はコノ人だ。

2014年07月12日 | 新聞/小説

勝手に、第151回直木賞選考。
芥川賞は関心がないので、おいといて、と.......。

僕は
「あぁ、家族(人間)って素晴らしいわ!」
「どーして、周りは私を分かってくれないのかしら.......あぁ、私って可哀想だわ!」
的小説は好きではない。
だから、
今回はドーンとそれらの人間讃歌的&人間再生&自分探し的小説に背をむけた、
うりゃあー!おりゃー!何か文句あっか的アウトローど迫力ミステリー『破門』を推したい。
ゴールドじゃらじゃら・黒地に金豹トレーナー姿の典型的大阪ミナミ小説家・黒川博行さん(65)の受賞写真も見たいし。

第151回直木賞候補作は下記6作。
勝手に、
◎=僕的最有力、
◯=僕的有力、
▲=僕的圏内、
…=食指うごかず。読んでいません。

....『ミッドナイト・バス』伊吹有喜さん(45)文藝春秋刊、同1,800円
「白鳥さんのバスに乗ると、いいことがある」と、中高年期にさしかかった男女の恋愛話。
もう数作、様子見ではないだろーか。
僕の苦手系だったので、飛ばし読み。ただ、文藝春秋の本だから意外とねぇ……。

◎『破門』黒川博行さん(65)KADOKAWA・角川書店刊、本体1,700円=写真
北朝鮮にも出張った、あの疫病神2人組(桑原・二宮)が再結成し詐欺師を追う最新オラオラ作品。
とても面白いのだけど、たぶん北方謙三、高村薫両選考委員が推さないのではないだろーか........。

◎『男ともだち』千早茜さん(35)文藝春秋刊、同1,550円=写真
たぶん、千早さんが圧倒的多数で受賞すると思う。うまいもん。当確。
僕の好きな京都を舞台に、三十路手前の神名葵(イラストレーター29歳。同棲5年の彼氏あり)と、大学時代の男ともだち・ハセオ(外資系医療会社営業マン。自称・富山の薬売り)との再会を描く。
伊集院静、桐野夏生選考委員が推す系。

◯『私に似た人』貫井徳郎さん(46)朝日新聞出版刊、同1,800円
候補常連なので、功労賞的受賞かも。
『乱反射』(朝日文庫)も長編だったけど、とにかく長ーい。だから分厚ーい。
小さなテロが頻発する近未来の日本が舞台。謎解きに、なんとなく解せないところも(←読解力不足だろ?)。
東野圭吾選考委員が、どう見るか(東野後継者と言われただけに、ねぇ)。

…『本屋さんのダイアナ』柚木麻子さん(32)新潮社刊、同1,300円
現代版・赤毛のアンとか……かなり苦手系。読んでいません。

▲『満願』米沢穂信さん(36)新潮社刊、同1,600円
非日常ミステリー連作集。満願成就なるか(→見出しつけやすい)。
5月に第27回山本周五郎賞を取ったばかりなので、どー響くか(両賞受賞もあるのだけど)。宮部みゆき委員が推す系。


第151回芥川・直木賞(日本文学振興会主催)選考会は17日夕、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、同夜に結果発表される。
直木賞選考委員=浅田次郎、伊集院静、北方謙三、桐野夏生、高村薫、林真理子、東野圭吾、宮城谷昌光、宮部みゆき(敬称略)

★「思い出のマーニー」は◯◯だった❷止

2014年07月11日 | エンターテインメント

ジブリ最新作、米林宏昌(40)第2回監督作品「思い出のマーニー」(7月19日公開、ジョーン・G・ロビンソン原作、美術監督=種田陽平、脚本=丹羽圭子・安藤雅司・米林宏昌、103分)試写を観た。
(米林監督の《企画意図》、あらすじは8日付をみてね)

「『風立ちぬ』『かぐや姫の物語』の両巨匠の後に、もう一度、子どもたちのためのスタジオジブリ作品を作りたい」(企画意図から)
「自信? 大丈夫だと思います」(日経インタビューから)
と言っていた米林監督。
僕は、興行的にはムニャムニャなような気が少ししないわけでもないけど(←遠回しな言い方)、
作品の完成度は「◎」だと思う。


ここが良かった❸光・水・風を感じる画なのだ!
アニメーター出身の米林監督だからこその、丁寧な自然描写がいいね!
雲間から射す陽光、風の動きが見える入り江の波、嵐の森のおどろおどろしさが、今でも思い出される。
ジブリおなじみの、やわらかな蛍光カラー配色がポイントになっている。

ここが良かった❹エンド・ロールの「協力」に、あの人がいた!(「ここが良かった」ではないけど.......)
作画協力に「タツノコプロ」とか、僕は最後の「製作スタッフずら~り一覧」まで見ているのだけど、
「協力」に、あの直木賞作家名があったので〝えっ⁈〟だった。
「うーむ、どこのシーンで、ナニを協力したのかしらん」
席を立たずに、ラストまで観ていることをお勧めします。

★「思い出のマーニー」は◯◯◯だった❶

2014年07月09日 | エンターテインメント

スタジオジブリ最新作、米林宏昌(40)監督作品「思い出のマーニー」(7月19日公開、ジョーン・G・ロビンソン原作、美術監督=種田陽平、作画監督=安藤雅司、103分)試写を観た。
(安藤作画監督は、元ジブリの人ではなかったかしらん)
前作長編「借りぐらしのアリエッティ」(2010年度日本映画観客動員数第1位!)、画も(音楽も)良かった米林監督だから、今作も期待大なのだった。

マーニーの《企画意図》で、米林監督は書いている。
「今から2年前、鈴木(敏夫)さんから一冊の本を手渡されました。
『思い出のマーニー』
宮崎(駿)さんも推薦しているイギリス児童文学の古典的名作です。
鈴木さんはこれを映画にしてみないかと言いました。

(中略)
物語の舞台は北海道です。
12才の小さな身体に大きな苦しみを抱えて生きる杏奈。
その杏奈の前に現れる、悲しみを抱えた謎の少女マーニー。
大人の社会のことばかりが取り沙汰される現代で、置き去りにされた少女たちの魂を救える映画を作れるか。

(中略)
僕は宮崎さんのように、この映画一本で世界を変えようなんて思ってはいません。
(中略)
もう一度、子どものためのスタジオジブリ作品を作りたい。
(後略)」

第2作マーニーを観て、その意気や良し。この企画意図は成功したよね、と感じた。

ここが良かった❶=繊細で優美な米林ワールドなのだ
舞台は、夏の北海道に置き換えている。
杏奈とマーニーが出逢う入り江の湿地(映画では「しめっち」)屋敷が実にきれい。ジブリらしい画。
さらに、日本の典型的夏祭り風景、典雅な舞踏会、入り江のボート、告白の森........。
背景は種田美術監督の力が大きいのだろうけど、米林監督が描く2人の少女の愛くるしさが光る。
東京・池袋(豊島区)西武別館で原画展があるから、見にいきたい。

ここが良かった❷=時空を超えた「ア・ガール・ミーツ・ア・ガール」ストーリーなのだ
時系列が複雑なので、展開がやや難しい。
心に深い傷を負い、自分を「外側にいる」と思っている少女・杏奈(声=高月彩良さん)が、入り江の洋館で謎の少女・マーニー(声=有村架純さん)と出逢う。
「私と出逢ったことは秘密よ」
「うん、秘密。絶対に言わない」
杏奈に笑顔が戻りつつあったが、心許せる友だちだったマーニーは、実はムニャムニャだった(←言えません)。
伏線をよーく覚えていないと、「ん?」なのだった。
..............長くなったので、続く。

★「完結篇」が完結。お疲れ様でした (^O^)/

2014年07月08日 | 新聞/小説

あれれぇ~⁈
突然、連載が終わってしまったよーな気がする。
五木寛之さん(81)の新聞連載小説「親鸞・完結篇」=写真は東京新聞(中日新聞東京本社発行)。休刊日前の、7月6日付で「最終回」。

(以下、小さな声)
普通、数週間ぐらい前に
「次の連載小説=◯◯◯◯氏の連載小説は◯日付で終了します。
◯日付から△△△△氏(挿画・▽▽▽▽氏)の小説が始まります。読んでねっ」
的な社告が掲載されるんだけど、見落としたかしらん……(きょう付で「連載を終えて」を掲載)。
『親鸞・完結篇』なんとなく積み残し・書き残し部分がありそうな気がしないでもないのだけど、
きっと刊行予定の講談社版で加筆修正なのでしょうか。
(………以上、小さな声終わり)

それにしても81歳・五木さん、今月も刊行ラッシュなのだ。
▽発売中『かもめのジョナサン完成版』
新潮社、本体1,300円=写真
▽あす7月9日『流されゆく日々4(1978.1~1978.7)』
双葉文庫、本体 620円
▽同7月9日『隠された日本/加賀、大和一向一揆共和国まほろばの闇』
ちくま文庫、本体 780円
▽7月10日『ゆるやかな生き方』
実業之日本社=単行本未掲載のエッセイ集

そして毎日毎日毎日毎日毎日、週5日、日刊ゲンダイに「流されゆく日々」を連載(手書き入稿ですよ!)。
さらに週刊新潮、小説現代誌にも連載、
さらにさらに単行本手直しに加え、インタビュー、講演もこなされている。
……あらためて、僕はスゴイ作家だと思う。