降版時間だ!原稿を早goo!

新聞編集者の、見た、行った、聞いた。
「降版時間」は新聞社整理部の一番イヤな言葉。

★新聞社小説もCTSなのだ=冬の京都編❹止

2016年01月05日 | 新聞

( きのう1月4日付の続きです。写真は本文と直接関係ありません )

京阪三条駅のブックオフで
「新春セール!書籍全品20%オフ!」
だったので行った(4日まで)。
京都には小説好きが多いのかしらん、売り場はかなり込んでいた。

毎日新聞大阪本社にいらっしゃった長井彬さん(1924~2002年)の『原子炉の蟹』(第27回江戸川乱歩賞受賞作、1981年)講談社文庫新装版が86円だったので買った。
86円ですよ!たったの86円!
同ミステリーの謎とき役は、前整理部長。
時代設定は、活版組み版時代の新聞社で、当時の編集局や出稿状況が詳細に描かれている。
( 作品中、整理部長の見出しのつけ方もあるから、新人整理マンは必読……かも )

ということは、さておき。
ここ10年に発表された、新聞社を舞台にしたミステリーをみると、編集システムがコンピューター組み版・編集(CTS)に移行し、デジタル化が完了したのが分かる。
CTSは、
▽1979年の日経新聞東京本社(初期システム名=アネックス)
▽1980年の朝日新聞東京本社(同=ネルソン)
がスタートだったから、1990年代が活版→デジタル化の境目になる。
だから、90年代以後の新聞社はデジタル化されているのだ。
斯界をリードしているのは、デビュー15年で著作100冊を突破した、驚異の量産作家・堂場瞬一さん(52)。

▽堂場瞬一さん=読売新聞出身。
最新刊『蛮政の秋』(集英社)は著作 101冊目。
▽本城雅人さん(50)=産経新聞→サンケイスポーツ出身。
『ミッドナイト・ジャーナル』(講談社2016年2月刊行予定)ほか。
▽仙川環さん(47)=日経新聞出身。
『記者はつらいよ・中央新聞坂巻班』(角川春樹事務所・ハルキ文庫)ほか。
▽増田俊也さん(50)=北海タイムス→中日スポーツ出身。
『北海タイムス物語』(小説新潮)連載中。
▽相場英雄さん(48)=時事通信出身。
『不発弾』(小説新潮連載中)ほか。
▽横山秀夫さん(58)=上毛新聞出身。
『クライマーズ・ハイ』(文春文庫)ほか。
*他にいらっしゃるかもしれないけど、教えてくださいね。

共通点は、
❶記事を書く出稿部記者出身(→整理部経験者はいますね)。
❷小説の舞台はCTS完了後の新聞社。
鉛活字で組んでいた活版組み版時代のアナログ新聞社は、ミステリーの舞台から完全に消えたのが分かる。