降版時間だ!原稿を早goo!

新聞編集者の、見た、行った、聞いた。
「降版時間」は新聞社整理部の一番イヤな言葉。

★讀賣報知を初めて讀んだ・見た❶

2014年09月22日 | 新聞


つい最近(1990年代前半)まで、鉛活字と凸版、インクを使って活版で組んでいた「新聞」。
僕たち新聞社整理部から見た、活版鉛活字組み版から第1期CTS(コンピューター組み版・編集)までを後世に書き遺しておこうかな、と。



【9月16日付の続きです。
お断り=当時の政治情勢や世情などは考慮せず、ただ単に
「昭和初期の、鉛活字組み活版新聞紙面はどーなっていたのだ?」
に注目しました。
紙面は「激動の昭和史を読む/太平洋戦争の記憶」(アシェット・コレクションズ・ジャパン発行)の毎号コレクションズから。
というわけで、復刻新聞紙面に驚いたぁ~シリーズ第14回】


【 讀賣報知新聞・昭和二十年二月十八日付篇① 】
● 何回数えても1ページ16段編成なのだ。
以前、整理部大・大先輩に
「戦前は13段組みの、少し天地が小さい新聞もあったのだよ」
と聞いたが、この「讀賣報知」は何回数えても16段編成なのだ。
うーむ………どうして?なのだ。

讀賣報知(よみうりほうち)=1943年8月5日、新聞統制により讀賣新聞社が報知新聞社を吸収合併して「讀賣報知」に改題して誕生。
同紙の編集・発行は讀賣新聞社が手掛けた。

● 1段15字組みなので、どこで大きくなっているのだろう?
やや偏平体の、現在の1倍フォント(*1)に近い鉛活字が15本入っている。でも、15倍ではないのだろーか。
僕は当初
「1段14字組みで、1段分稼いで16段にしたのだろうか」
なんて安直に思ったが、どーも違うみたいだし。
現在の倍半(*2)活字が10本入っているので、やはり1段15倍なのだろーか。
…………16段編成のナゾ、分かりません(復刻版なので印刷サイズを修正してあるのかも、と考えたけど、どーも違うみたいだし)。

● 横組み活字見出しも〝右→左読み〟なのだね←当たり前か(笑)
最上段の凸版地紋見出し
「退撃敵の寇來島黄硫」
は〝右→左読み〟は分かるとして、横組み活字見出し
「へ戰血出大を力全」
「る到秋の軍進總億一」(←この場合の〝秋〟は〝とき〟と読むのかしらん)
も同じであった(初め何が何だか分からなかった、笑)。
当時の文選工員は、整理部出稿見出し伝票(*3)を逆から拾って植字したのだろうか。
うーむ。
………長くなったので、「讀賣報知」編つづく。

(*1)現在の1倍フォント
新聞社によって呼び方は異なるが、現在も人事面・欄などに使われている小さな文字。
天地88ミルス、左右110ミルス。この88ミルスが「1倍」で、新聞編集の基本サイズだった(コンピューター組み版CTSでは11ミルスを1U=ユニットとしているから、88ミルス=8U)。

(*2)倍半=ばいはん
1倍88ミルスの1.5倍サイズ。偏平ではなく、天地132ミルス・左右132ミルスの正体(せいたい)文字。
CTSでは12U。

(*3)整理部出稿見出し伝票
信じられないかもしれないけど、鉛活字組み活版時代、ほとんどの新聞社は、わら半紙が〝出稿伝票〟だった(←もちろん、きちんとした伝票用紙をお作りになった社もあると思うけど)。
B5判の半分に、
版数・面数・段数・見出し・文字サイズ(何倍の明朝体かゴチック体か)
をグニャグニャ書き込めば、ちゃんと文選課が拾って植字で見出し体裁になっていたから、今から思うと
「超すげえ~」
なのだ。