降版時間だ!原稿を早goo!

新聞編集者の、見た、行った、聞いた。
「降版時間」は新聞社整理部の一番イヤな言葉。

★讀賣報知を初めて讀んだ・見た❷

2014年09月23日 | 新聞


つい最近(1990年代前半)まで、鉛活字と凸版、インクを使って活版で組んでいた「新聞」。
僕たち新聞社整理部から見た、活版鉛活字組み版から第1期CTS(コンピューター組み版・編集)までを後世に書き遺しておこうかな、と。


【きのう9月22日付の続きです。
お断り=当時の政治情勢や世情などは考慮せず、ただ単に
「昭和初期の、鉛活字組み活版新聞紙面はどーなっていたのだ?」
に注目しました。
紙面は「激動の昭和史を読む/太平洋戦争の記憶」(アシェット・コレクションズ・ジャパン発行)の毎号コレクションズから。
というわけで、復刻新聞紙面に驚いたぁ~シリーズ第15回】


【 讀賣報知新聞・昭和二十年二月十八日付篇② 】=写真
● 「反転」のよーな〝大本榮發表〟
リード(前文)の初めに、白抜き地紋
「大本榮發表」
がカブセてある。当時としては、かなり画期的ではないだろーか(→たぶん)。
いまのコンピューター組み版CTSでいうなら
「シロクロ逆版」「反転」
に当たる。
《入力は→2G/ファンクション白黒S(スタート)大本榮發表/ファンクション白黒E(指示エンド)/12U・十二U……》

この白抜き地紋は金属製の凸版。
カブセ7字分をクワタ(*1)にして金属製凸を上から乗せたのか、
かなり使用頻度が高そうだから、台ツキ(*2)にしたのかもしれない。
この白抜き凸カブセ方式を考えた(当時の)整理部員のかたは頭いいですねぇ(←大・大先輩に失礼な言い方だぞ⁈)。

● ベタ活字組みの途中から倍半が入るのは、流行りだったのだろーか⁈
讀賣報知だけでなく、昭和初期の朝日、夕刊國民、毎日(東京日日)など全紙で見られた
「ベタ活字組み途中から、倍半(1.5倍)組み」。

僕も鉛活字組みの頃、特集面や前組み面などでやってみたことがあった。
〝効果〟〝インパクト〟は確かにあるし、読みやすいのだけど、手間がかかるので途中で飽きちゃった(笑)。
CTSならとても簡単なんだけど、コレを活版でやると…………
長くなったので、続く。

(*1)クワタ
元巨人の桑田氏………とは全く関係なく、鉛活字でつくる〝アキ〟のこと。
1字分アキを全角クワタ、
半分アキを二分クワタ、
三分アキを〝ワリ〟
と呼んでいた。
なぜクワタというのか、整理部先輩や製作局大組み者に尋ねたことがあったけど………忘れちゃいました(笑)。

(*2)台ツキ
金属製凸版の場合、1回だけ使用するときと、図版カットなど何回も使うことがある。
この「大本榮發表」は毎日使うであろーから、たぶん凸の下に台(アシとも)
を付けていたのではないだろうか。
製版部から
「整理さん、同じ凸を何回も何個も使うんだったら、台ツキにしてよ。毎回つくんの面倒だしぃ」
と整理部に要請があったはず。
整理部は凸個数を書いた「台ツキ製版・製作依頼伝票」を製版部に出していた(→新聞社によって違いますけど)。