降版時間だ!原稿を早goo!

新聞編集者の、見た、行った、聞いた。
「降版時間」は新聞社整理部の一番イヤな言葉。

★讀賣報知を初めて讀んだ・見た❸

2014年09月24日 | 新聞


ついつい最近(1990年代前半)まで、鉛活字と凸版、インクを使って活版で組んでいた「新聞」。
僕たち新聞社整理部から見た、活版鉛活字組み版から第1期CTS(コンピューター組み版・編集)までを後世に書き遺しておこうかな、と。


【きのう9月23日付の続きです。
お断り=当時の政治情勢や世情などは考慮せず、ただ単に
「昭和初期の、鉛活字組み活版新聞紙面はどーなっていたのだ?」
に注目しました。
紙面は「激動の昭和史を読む/太平洋戦争の記憶」(アシェット・コレクションズ・ジャパン発行)の毎号コレクションズから。
というわけで、復刻新聞紙面に驚いたぁ~シリーズ第16回】


【 讀賣報知新聞・昭和二十年二月十八日付篇③ 】
● ベタ活字の途中から倍半を組むのはタイヘンなのだ。
讀賣報知だけでなく、朝日、東京日日などで見られた、ベタ活字(*1)の途中から、倍半(1.5倍)活字を組み込む手法(写真)は、当時の流行りだったのだろうか。

【いま】
コンピューター組み版CTSでは、超簡単だ。
T(テキスト)データの、12U(=倍半)にしたいところに、
「1.5M」あるいは「1.5G」
ファンクションを入れれば変換される(→指示エンドで基本文字サイズに戻すことを忘れないでね。僕は忘れてしまい、何回もとんでもない行数になってしまいました、笑)。

【ちょっと昔】
鉛活字を使っていた活版では、下記のように組んでいた。
さすがに、降版時間に余裕がないときは製作局からクレームが来るので倍半変換指定はしなかったけど、
わりと時間のあるときは短い行数(*2)で〝途中から倍半〟変換指定をした。

僕たち整理部がモニターに〝1.5G〟と赤サインペンで指定。指定モニターは製作局に流れる。

流れてきたモニターを見た製作局文選デスクは
「チッ、またアイツだなぁ。こんな手数のかかることやるのは……」
とタメ息をつくが、鋳植の大きな音で上階の僕には聞こえません(笑)。

整理発モニターを片手に、倍半活字棚から文字を拾い、モニターとゲラを植字工員に渡す。
「おい、コレまたアイツ(←僕のことらしい)だよ。悪いけど差し替えてよ。
1度、整理デスクに言わなきゃなんねーな。
新人整理のくせに(←僕のことらしい)、忙しいときに手数のかかるコトやるなって。なぁ!」
とブチブチ言ったが、鋳植の音で上階の僕には聞こえません(笑)。

ゲラを整える植字工員は、モニターを見ながら………

……長くなったので、続く。

(*1)ベタ活字
新聞社製作によって、あるいは人によって、意味合いが異なることがある。
15字組み時代の〝1倍88活字〟を指す人(←だいたい年配層ですね)と、
自紙記事で組んでいる〝基本文字〟を指す人がいるので、ちょっとだけ要注意。

(*2)時間のあるときは短い行数
コンピューター組み版CTSならともかく、人力で鉛活字を差し替える活版では、やはり気くばりが大事だと思う(笑)。
数十行も差し替え指定しては、活字さし間違いやコボシなどの事故のもと。
だから僕は、倍半変換指定は5行ぐらいにしておいた。
1段15倍組み時代なら、
5行=倍半10字 × 5=50字
だから大したことない?