降版時間だ!原稿を早goo!

新聞編集者の、見た、行った、聞いた。
「降版時間」は新聞社整理部の一番イヤな言葉。

★復刻版・朝日新聞を讀んだのだ❹

2014年09月03日 | 新聞/小説

つい最近(1990年代前半)まで、鉛活字と凸版、インクを使って組んでいた新聞の活版組み版。
僕たち新聞社整理部から見た、活字組み版からCTS(コンピューター組み版・編集)までを後世に書き遺しておこうかな、と。



【きのう9月2日付の続きです】
創刊されたばかりの
「激動の昭和史を読む/太平洋戦争の記憶」(創刊特別価格 190円。アシェット・コレクションズ・ジャパン発行)
の毎号コレクションズに付いていた復刻版新聞を、
当時の政治情勢や時勢、記事内容・紙面構成については考慮せず、
ただ単に
「昭和初期の、鉛活字・活版組み版新聞はどういう組み方・紙面構成だったんだろう?」
として眺めた。


❷ 73年前の朝日新聞(1941年12月9日付)編=その四

写真左は同日付3面。
組み方で気がついたことがふたつあった。
気がついたこと①=当時、全角三柱ケイは「畏し」ケイだったのだろうか?
3面右上5段ハコ組み
「けふ宣戰を御奉告/畏し宮中三殿に臨時大祭」
同日付フロント1面5段ハコ組み
「畏し陸海将兵に勅語」
いずれのハコも、全角三柱ケイ(*1)で巻いている。
うーむ、詳しくは分からないけど、
当時、朝日新聞の社内ルールだったのか、
あるいは業界の決まりごと(*2)だったのだろうか。

気がついたこと②=ニュース面で写真凸版マル切り抜きをしているじゃん(←だ・か・ら、大先輩に失礼だって!)
活版では、写真は金属板を腐食させてつくっていた。とても製作時間がかかるし、おカネもかかる(と聞いた。だからか、のちに樹脂版に切り替わった)。
3面左カタ4段5倍活字見出し
「夜の神前に祈る必勝」
(→しかし、時代が時代とはいえ、凄い見出しと言わざるを得ない。
記事の書き出しも
「八日夜の帝都は必勝の意氣にたぎりたつた、薄闇のなかに蒼い月光を通して........」
なんといふ名文なりや、ということはさておき)

(上)3段写真
(中)2段マル写真
(下)2段写真
絶妙のバランスで写真が配置されているが、注目なのは「2段マル写真」が切り抜き(切り込み、とも)でハメ込まれていること。
これ、ものすごく大変!
金属腐食板でやるの、ものすごく大変!
どう大変なのかは................長くなったので、続く。

(*1)全角三柱ケイ=ぜんかくさんちゅうけい
全角は1倍(88ミルス)のこと。
新聞社製作局活版部には全角ケイと二分ケイが用意してあり、
全角は2行どり、二分は1行どりでタテることが多かった。
各新聞社が同じケイをつくっていたわけではなく、
四柱ケイを用意していた社もあった(→僕は四柱ケイ、好きだった、笑)。

(*2)業界の決まりごと
二分の子持ちケイが訃報に使われたのは、整理部なら全員知っている約束ごと。
ほかに、
二分の二柱ケイなら社告ハコ巻き、
二分のブルケイならエトキ押さえ、
花柄ケイなら専用ハコ巻き、
など新聞社ごとの社内ルールがあった。