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絵画指導 菅野公夫のブログ

大好きな絵とともに生きてます

本格的に絵を学ぶ 7

2010-03-26 | 絵画指導
縦絵と横絵

絵を描く場合、縦絵にするか横絵にするかという問題があります。
大抵は、横絵が多いように思います。しかし、描くものによっては縦がいいかなと言う場合があります。

縦絵になるケースが多いのは、人物画ですね。
人物を一人だけ描く場合は、ほとんど縦絵になるでしょう。しかし、複数の人数を描くとなると、横絵になるケースが増えてくるのではないでしょうか。

一般的には、縦に見るべきものがいろいろある場合は、縦絵にして、そうでない場合は横絵が多いという傾向にあると思います。

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私は、逆に横絵にするなら横に流れるポイントを作る。
縦絵にするなら、縦に流れるポイントを作ると話します。発想が逆です。

静物画などは、どちらでも作れますから、そのモデル組において、一つの流れを作るのです。横絵にふさわしい構図にする、縦絵にふさわしい構図にするという考えです。

もちろん、描くものによって、縦長のものを全て描くなら、縦絵にする必要がでてきますし、それを横に倒すなら横絵にすることになります。
例えば、ギターを描くと思えばわかりやすいでしょう。もちろんギターを一つだけ描いたのでは、ほとんど絵になりません。他の物との組み合わせで、構図を組み立てて行きます。

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しかし、展覧会などを見ていると、なんとそのことがいいかげんな絵が多いことかと驚きます。この絵は横絵だろうと思うものを縦に描いている絵がとても多いです。

私のデッサン会でも、人物クロッキーは大抵は縦絵ですが、時々これは横に描いた方が良かったですねということがあります。人物が寝ポーズの時はもろにそうですが、座りポーズでも椅子に足を上げて座り込んだ時などは、横の方がよい場合があります。
見る角度によって、その判断はいろいろです。

このことは、大学でも教えてくれなかったなあと思います。そんなことは当たり前だからでしょうか、特にそのような話は話題にも上りませんでした。

だから、構図の話で、縦絵の流れ、横絵の流れなどということを公式のように法則にしたのは、私が初めてでしょうか?

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もう一歩踏み込んでお話しすると、私は絵を見るときに、目立つポイントがどのように置かれているかという点をよく見ますが、その目立ち方の順番で辿っていくと、視点の移動の仕方によって、バランスがいいとか、リズムがいいとかが決まると思います。

それを、勝手に「視覚力学」と名付けました。

それによって、構図が良いとか悪いとかが決まるという考え方です。

大抵は、主役になるものが一番目立ちます。そういう絵が良い絵です。何が主役だかわからない絵は良い絵とは言えません。まずどこを見たらいいのか分からずに、目が彷徨うことがあります。そういう絵は気持ちが悪くなりますね。

だから、まずは主役に目が行きます。その主役とは割と中央にあることが多いです。そして、次に二番目に目立つものに目が行きます。それは、脇役です。その次に三番目、四番目という具合に脇役のいろいろなものに目が移って行きます。その移り方がある方向ばかりに偏ると、バランスが悪いと感じるのだと思います。やはり、左右、上下とバランス良く移る方が良い構図なのでしょう。

また、その移っている最中に泊まる時間があります。ぱっと見て分かって直ぐに目が移動する場合と、少し留まってから次に移る場合との違いがあるでしょう。
リアルに細かく表現されている場合には、止まる時間が長くなるでしょう。その止まる時間が長すぎるとやはり、これはいやみだなと感じる場合があります。

それは、描きすぎていると感じます。描きすぎていると頭が痛くなる場合もあります。
こんなに描く必要はないと思ってしまうのです。

また、一通り全体に目が行きわたって、少ししてから、あれ??と気づくような工夫がしてある絵もあります。それに気がついたときは、気がついたことで、面白いなと感じた時は、なかなかいい絵だなと感じます。気が付いてしまったら、嫌だなと感じた時は、ダメだなと思います。

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色々言いましたが、その視点の移動の仕方が、縦に動くときは縦絵がいいです。横に動くときは横絵が良いと思います。

逆に言えば、縦絵にするときは、その視点の移動が縦に動くようにするのです。
横絵にするときは、横に動くようにするのです。

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もう一歩踏み込むと、主な流れを作り、それを第一の流れとすると、もう一つ第二の流れというものを組み合わせると、また複雑で良い作品になるのではないかと思います。それは、現在研究中です。

縦絵と横絵の考え方について、お話しました。




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本格的に絵を学ぶ 6

2010-03-26 | 絵画指導
素人がプロと戦うには、テーマと構図選びが大切だとお話しました。

そのため、私が教えている人は、気持ちの良い絵ハガキみたいな風景などは描かせていません。そのような風景でプロと戦うには、10年はかかるでしょう。
学んでいる人は、女性が多いのですが、旦那さんが、「そんな汚いものばかり描いていないで、もっと綺麗なものを描けよ」とおっしゃるそうです。

綺麗なお花とか、気持ちの良い風景などのことだと思います。

しかし、私は早く入選するようなレベルの絵を描かせたいので、そういう絵は描かせないのです。また、特選を狙う場合でも、それは同じことが言えるでしょう。

何か人が気付かないようなものに目をつけることが、今までにない新たな美を生み出すということです。こんなところにも造形的な美しさがあるぞと示すことです。

だから、「もっと綺麗なものを描け」というアドバイスでは、永遠に新たな美は生み出せないでしょう。むしろ写真の方がよっぽど綺麗に見せてくれますからね。

また、素人はいきなり人物画で勝負しないほうが良いとお話しました。
それは、描けないことがわかってしまうからです。人物を描くにはかなりのデッサン力が必要です。その力を付けない内に描くと、完全に見破られてしまいます。

人物の場合、もう一つ気をつけることは、美人コンテストで優勝するようなモデルを避けた方がよいと思います。綺麗で整っているということは、返ってつまらないものになる可能性があります。それは、きれいな風景を描かないほうが良いということと似ています。
下手をすると、お人形さんのような絵になってしまうのです。

顔で勝負ができれば、かなり成功ですが、それだけでは足りないと感じた場合は、ポーズに工夫を加えて、顔だけでなく、見るべきポイントを作ると良いと思います。手や足に魅力を持たせるとか、何か物を持たせることも良い工夫です。

画家は、平凡を嫌うので、わざと皺の多い老人をモデルにするとか、おもいっきり痩せた人を使うとか、ピカソなどは片目がおかしい人を使ったりしました。

なにか普通でないものを考えないと、平凡という言葉で片付けられてしまいます。

そのようなことを考えて、私は初心者にアドバイスをしています。



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