独断偏見妄言録 China's Threat

中国は人類の命運を左右する21世紀最大の不安定要因

米軍の韓国撤収が北朝鮮問題解決の第一歩

2017年04月15日 07時47分30秒 | 北朝鮮
米軍による北朝鮮の核施設への先制爆撃は、当面は、ないと予想する。過去にも何度か爆撃の検討がなされたが、100万人を超える犠牲者が予測されたため断念された。今回も、その点で特段の変化があるわけではない。
しかし、北朝鮮の核ミサイル技術は着実に進歩しており、数年後には米国本土を攻撃できるようになるだろう。米国として、この状況を放置することはできないはずだ。

ではどうすればいいのか。
拙ブログで先日書いたように、韓国駐留米軍を完全に撤収させればいいのである。

小説「第二次朝鮮動乱」
http://blog.goo.ne.jp/stopchina/e/53f95d3a68ffffaa83ab7bc3e5bc6e12

北朝鮮からすれば、米軍の脅威が弱まるから核開発に邁進する理由は消失する。それでもなお核開発を続けるのであれば、南への侵攻を誘い出して南北の全面戦争に持ち込み、韓国を助けるという大義名分のもとで、北の核施設を容赦なく破壊することができる。多数の死傷者が出ても、それは内戦の結果であり、米国の責任ということにはならない。
米軍による爆撃だけでは北の進撃を阻止することができず、朝鮮半島が北主導で統一される可能性がある。そうなったとしても、核を保有しない統一朝鮮が中国の言いなりにならないのであれば、米国にとっても、日本にとっても、特別な不都合は生じない。

ほぼ同様の考えが米国のネット新聞 foreignpolicy.com に掲載されたので紹介する。いうまでもないことだが、トランプ政権がこのような政策を採用するかどうかは不明である。

Argument
It’s Time for America to Cut South Korea Loose
アメリカは韓国を切り離すべきだ

The first step to solving the North Korean problem is removing U.S. troops from the middle of it.
米軍の撤収が北朝鮮問題解決の第一歩
April 13, 2017 By Doug Bandow
http://foreignpolicy.com/2017/04/13/its-time-for-america-to-cut-south-korea-loose-north-trump-nuclear-weapons/
(要旨)
冷戦が終結した今、朝鮮半島の地政学的な重要性、韓国の弱さ、および米国の関与の目的(ソ連による赤化の防止)は消失した。トランプ政権の外交政策には多くの批判があるが、大統領は米国の国益を守るための政策の必要性を正しく認識している。新たに核保有国になった無責任な地域である朝鮮半島は方向転換を開始するのにふさわしい場所である。
朝鮮半島の内戦は悲劇的であり、犠牲者はとてつもない数になるだろうが、米国の関与がなければ、戦争は半島内部に限定されるだろう。もし米軍のプレゼンスが継続するなら、戦火はほぼ間違いなく拡大するだろう。
韓国の防衛には、もはやワシントンのプレゼンスは必要ない。韓国経済は60年代には北朝鮮を上回った。80年代末には民主化が達成され、90年代には、北が飢餓に苦しんでいる時に、南の経済は繁栄した。両者の差異はすでに巨大であり、さらに拡大しつつある。南の軍事的ポテンシャルは高いものの、まだ実現していない。その理由の一部は、米国への依存が戦略的な方向性に影響していることにある。

それでは、なぜ米軍はまだそこにいるのか。

一つの意見は、「第2次大戦終結時に朝鮮半島が分割されたのは米国の無知によるものだった」とする道義的な理由である。ある朝鮮人は、分割の責任は米国にあると主張する。しかし、それは後知恵であって、大戦後の混乱状態において、米当局は半島からソ連を遠ざけることを望まなかったのである。別の選択肢は何もしないことだったが、そうすれば南が暗黒の金王国に併合される結果になっただろう。おそらく意図せずに、ワシントンは非常に良いことをしたのだ。それは褒められることではあっても、批判されることではないし、未来永劫に半島の警察官を務めねばならないという理由にはならない。

第二の意見はもっと現実的であり、南の防衛のために必要、というものだ。しかし、1950年とは違って、米軍が去ることにより適切に動機づけられるなら、南が自分自身を守ることができない理由はない。大きな経済力、大きな人口、高度な技術力および国際的な支援をもってすれば、ソウルが北を打ち負かすことができる軍事力を構築することができるはずだ。そうするには費用がかかり、真剣な努力が必要だが、だからどうだというのだ? 韓国政府の最も重要な任務は自国民を守ることではないのか。

もしも南が自分自身を守ることができないとしても、上記議論にはまだ問題が残る。米軍兵士があちこちに派遣されて世界の守護神として扱われるべきではない。米国が戦争するのは、最も重要な国益が危機に陥った時だけにすべきだ。

少なくとも安全保障上、韓国の繁栄はそのような重要な国益の一つではない。2つの朝鮮に限定された新たな紛争は恐るべきものになるだろうが、米国への影響は人道上のものと経済上のものであって、安全保障の問題ではない。損失は大きいだろうが、それはその地域に発生するだけである。それに対して、米国が第二次朝鮮戦争に直接関与する場合、損失はアフガニスタンやイラク紛争よりもはるかに高くつくだろう。アメリカは数千人の命と何兆ドルも失うことになるだろう。

もちろん、北の技術が進化して、いづれかの時点で運搬可能な核兵器を所持すれば、半島における力のバランスを崩すことになる。しかしながら、それにより半島における米軍の通常戦力の必要性が生じるわけではない。ワシントンは北のいかなる核兵器の使用に対しても強力な反撃をすることが可能であり、北の脅威に対する抑止力を提供することができるのである。

韓国における米軍の駐留は高価で危険な関与であって、米国はもはやそれに耐えられない。その上、駐留により韓国における米国の評価が高まるわけではなく、米軍は国粋主義者にとって苛立たしい存在なのである。韓国はもはや共産主義の亡霊からの保護が必要な貧困国ではなく、自分の二本の足で立つことができる国家なのである。



<2017年4月19日>

米国で出てきた「もう韓国を助けるな」の声
「北朝鮮の脅威は韓国に任せればよい」と保守派の論客
2017.4.19(水) 古森 義久
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49768?utm_source=ldr&utm_medium=feed&utm_campaign=link&utm_content=link
「米国が朝鮮半島の危険な情勢に関与する必要はもうない。韓国との同盟を解消して、在韓米軍も撤退すべきだ」――こんな過激な主張の論文が米国の大手外交雑誌に掲載された。ソ連の巨大な脅威が存在した東西冷戦時代ならば米国の朝鮮半島関与は意味があったが、今は北朝鮮の脅威は韓国に任せればよい、とする孤立主義に近い主張である。

 論文の筆者は長年ワシントンの外交政策論壇で活動する研究者だ。その主張はきわめて少数派と言えるが、米国の一部にこうした意見が存在することは認識しておく必要があるだろう。

中国の存在のほうが大きな問題

 米国の大手外交雑誌「フォーリン・ポリシー」4月号は「アメリカはもう韓国を解き放つ時だ」と題する論文を掲載した。筆者は異色の保守派論客であるダグ・バンドウ氏である。同氏は国際問題を専門とする研究者であり、レーガン政権で大統領補佐官を務めた経歴を持つ。現在はワシントンの老舗研究機関「ケイトー研究所」の上級研究員として活動している。

 バンドウ氏は論文で、まず北朝鮮が核兵器やICBM(大陸間弾道ミサイル)の開発を進めて緊迫する現在の情勢について「米国はなぜアジアの小さな貧しい北朝鮮という国だけに大きな関心を向け、米国人の血を流すことになる戦争を選択肢にしようとするのか」という疑問を提起する。「アジアには、もっと真剣に対処すべき中国のような大国が存在するではないか」とも述べる。

 バンドウ氏もケイトー研究所も基本的なスタンスは、個人の自由を最大限に求め、政府の役割を極端に小さくすることを主張する「リバタリアニズム」(自由至上主義)系の思想である。「小さな政府」を主唱するという点では、保守主流派と主張が重なっている。リバタリアニズムは、外国との同盟などを減らす孤立主義を説くことも多い。

韓国に米国の助けはいらない

 バンドウ氏は同論文で以下の諸点を主張していた。

・米国が朝鮮半島に介入し、韓国と同盟を結んで、北朝鮮と対峙した最大の理由は、東西冷戦中にソ連側陣営の共産主義の拡大を防ぐためだった。朝鮮戦争で共産側と戦って3万7000人もの米国人の命を失ったのも、北朝鮮の背後にいるソ連の勢力圏の膨張を阻止するためだった。

・だが、今や世界はまったく変わってしまった。米国にとって朝鮮半島は東西冷戦中の地政学的な意味を失い、朝鮮半島での「代理戦争」はもはや過去の遺物となった。韓国を防衛することも北朝鮮の核武装を阻止することも、米国の基本的な国益とは関わりがなくなった。

・いまの朝鮮半島で起きうる最悪の事態は、北朝鮮と韓国との戦争だろう。しかしこの戦争も国際情勢全体、あるいは米国の基本的な国益という観点からみれば、それほど重大な出来事ではない。米国が介入しなければこの戦争は朝鮮半島だけに限定されるので、かえって国際的な被害が少ない。

・在韓米軍は長らく不可欠な聖域のようにみなされてきた。だが、かつてカーター政権はその撤退を提唱している。

・現在、韓国には約2万8000人から成る米軍が配備されているが、もしも朝鮮戦争が起きた場合、米軍の被害は甚大となる。だが、いまの韓国の国力は北朝鮮を圧倒的に上回っている。韓国軍は米軍の力を借りなくても勝利を得られるはずだ。

・韓国にはときどき金大中政権のような北朝鮮との融和を求める政権が登場し、「太陽政策」の名の下に北に100億ドルもの援助を与えるような異常な出来事が起きる。援助を受けた北朝鮮は、その間に核兵器や弾道ミサイルの開発に励んでいた。韓国は「米国の保護がある」という安心感から、そんな行動をとるのだ。だから、米国は保護をやめたほうがよい。

・在韓米軍の存在は中国の膨張を防ぐためだとする議論もある。だが、中国が朝鮮半島に進出して北朝鮮を自国の支配下におく意図がないことは、すでに明白だ。台湾や南シナ海、東シナ海など、北朝鮮以外の地域での中国の攻勢を抑えるための在韓米軍の効用はほとんどない。

・韓国が核武装して北朝鮮の核兵器に対抗しても、米国にとって大きな不利益はない。また、在韓米軍を撤退させた後も、米国が核の拡大抑止、つまり北朝鮮に対する「核のカサ」を韓国に提供し続けることは可能である。

 バンドウ氏は、国が朝鮮半島への関与を減らすことで、韓国も北朝鮮も自立や自主性の意識を高め、責任のある外交や戦略を展開するようになるのではないかと総括していた。

 現実的には、米国が韓国から、さらには朝鮮半島から離脱する可能性はきわめて低いとはいえ、いまの米国内にはこんな主張があることも知っておくべきだろう。


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