独断偏見妄言録 China's Threat

中国は人類の命運を左右する21世紀最大の不安定要因

ウクライナ戦争:プーチンついにルビコン川を渡る

2022年02月22日 10時40分44秒 | ロシア
Putin orders Russian "peacekeeping operations" in eastern Ukraine
2022/2/22
AXIOS

Putin chairs his Security Council in Moscow today
プーチンと閣僚の間隔は独裁を象徴?
それとも、コロナへの配慮?

Russian President Vladimir Putin announced in a combative, hourlong address on Monday that he will recognize two breakaway "republics" in eastern Ukraine as independent.

The latest: In a decree recognizing the independence of the Donetsk People's Republic (DNR) and the Luhansk People's Republic (LNR), Putin ordered the Russian military to conduct "peacekeeping operations" in the occupied Ukrainian territories.

The big picture: The separatists don't hold all of the territory they claim so recognition could swiftly evolve into war unless Russia limits its operations to the separatist-held areas.



Putin orders Russian troops to Ukraine after recognising breakaway regions
2022/2/22
reuters
* Ukraine and West on alert for Russia creating pretext to invade
* White House says summit possible only if Russia does not invade
* Witness sees columns of military hardware entering Donetsk
* Kyiv calls Russian allegation 'fake news'
* Rouble slides beyond 80 vs dollar as Putin addresses nation


これまでの経緯はこちら:
ウクライナ危機:米国はプーチンを追い詰めるな! 2022年02月02日

さて、いよいよウクライナ戦争が始まった。
ロシアへの経済制裁は確実に実施されるだろうが、
物理戦争はどのように展開するのだろう。

<今後の3つのシナリオ>
(1)ウクライナ東部だけの局地戦により、親ロ地域がロシアに併合されて終わる。
(2)ウクライナ全土がロシアに占領され、親EU派が追放されて終わる。ウクライナは独立国として存続する。
(3)NATOの反撃により第三次世界大戦に発展する。


私の予想では、(2)の可能性が最も高い。ウクライナのNATO加盟を完全に封じなければプーチンの勝利とは言えないからだ。
(2)までなら、西側の被害はほとんどないのだから、第三次世界大戦の危険を冒すほどNATOが愚かだとは思えない。


<2022年2月24日>

Russia invades Ukraine
2022/2/24 5:37 PM GMT+9
reuters
KYIV/OUTSIDE MAIUPOL, Ukraine, Feb 24 (Reuters) - Russian forces invaded Ukraine by land, air and sea on Thursday, confirming the worst fears of the West with the biggest attack by one state against another in Europe since World War Two.



ロシア ウクライナ攻撃
2022/2/24
読売新聞



ダマされてはいけない。
悪いのはプーチン大統領ではなく、バイデンである。
バイデンによるNATO拡大がなければ戦争にはならなかった。
戦争を望んだからこそNATOの拡大を強行しようとしたとも言える。
ウクライナ国内に限定された戦争は、米国の軍産複合体にとって好都合な環境をもたらす。
武器が売れ、石油が高騰するだろう。
それにより軍産複合体は大儲けできる。

やがてウクライナはロシアに占領され、親EU派が追放されて戦争は終わる。
ウクライナは親ロ独立国家として存続すると予想する。

米国やEU諸国は直接的な軍事介入を避け、経済制裁を強化することになる。
ロシアは追い込まれて、中国との関係を強化せざるを得なくなる。
こうして、西側は中国とロシアという二つの軍事大国との二正面作戦を強いられる。
バイデンの近視眼的なNATO拡大策は、やがて人類に巨大な悲劇をもたらすはずだ。



ロシアは多方面からウクライナに侵攻した 



<2022年2月25日>

首都キエフ、ロシア軍の攻撃で数時間内に陥落も-西側情報当局
2022年2月25日 5:34 JST
Bloomberg
ウクライナの首都キエフは数時間以内に陥落してロシア軍に掌握される可能性があると、西側情報当局の高官が述べた。ウクライナの防空能力は事実上、無力化されたという。

  同高官によれば、ロシア軍の部隊はドニエプル川の両岸からキエフ制圧に向かっている。既に数カ所の飛行場が同軍の手に落ち、さらなる部隊の派遣に利用可能だ。
同高官はロシアの軍事行動について、これまでのところウクライナの東部と南部、中央部に集中しているものの、プーチン大統領は全土掌握を目指していると考えられると指摘。最終的には現政権の転覆とかいらい政権樹立を狙っているとみられる。



<2022年2月27日>

ウクライナがアフガン化するかも
2022年2月27日   田中 宇
https://tanakanews.com/220227russia.htm
(抜粋) ウクライナには以前から、ロシア敵視のウクライナ系ナショナリスト勢力(極右ネオナチ)から、ロシア系などの親ロシア勢力までの諸勢力がいる。極右は米英諜報界に支援されてウクライナの諜報機関を握ってきた。ゼレンスキー大統領も極右の側近たちに囲まれている。
ロシアは、ゼレンスキー大統領が今の混乱の中で極右(ネオナチ)の側近たちを排除して個人で権力を握り、その上でゼレンスキーが「ウクライナは対露非武装の親ロシア国家になった」と宣言することを望んでいる。これが、ロシアの求める「非武装、非ナチ化」である。
すでに極右民兵は、首都キエフなどの住宅街の中にトラックに積んだ地対空砲を持ち込み、住民を「人間の盾」として使いつつ、上空の露軍機を攻撃したりしている。露軍機が極右に反撃すると「露軍機がキエフの住宅街を空爆した」という話になり、欧米日のマスコミがロシア敵視を喧伝する。ウクライナ極右が住民を人間の盾として使う非道なテロリストの戦法をしていることは無視される。
ウクライナは、極右に乗っ取られたままだと「アフガン化」しかねない。欧米のNATO諸国は、ウクライナに大量の武器弾薬を送り込むと言っている。ドイツはスティンガー(携帯式地対空誘導ミサイル)を500発と、携帯式の対戦車砲を1000発をウクライナに供与する。
これらの携帯用の兵器は、政府軍などの正規軍が使うというより、ゲリラや民兵団など非正規軍が使うものだ。スティンガーなどが活躍するのは非正規戦争の戦場だ。今後のウクライナでロシア軍と戦う主な勢力は、政府軍でなく、非正規軍である極右の民兵団だ。彼らは市街地に立てこもり、住民を「人間の盾」として使いつつ、アパートのバルコニーや屋上の影や、公園の木立の間から、ロシア軍の飛行機や戦車を狙って撃ってくる。その時に、ドイツやベルギーなどが供給したスティンガーなどの携帯用兵器が使われる。
この住宅地に立てこもる極右民兵団にロシア軍が反撃すると、アパートが破壊され、住民が死傷する。美しいキエフやその他のウクライナの街が、カブールやベイルートやアレッポみたいな廃墟になっていく。何万人かのウクライナ市民が死に、その何10倍かの市民が家を壊されて難民になる。ウクライナは非正規戦争になり、アフガン化する。


アフガン化こそ米国の軍産複合体(ディープステート)の望むところでしょう。
こうしてロシアを追い込めば、プーチンは中国に接近せざるを得なくなります。日米欧は中国とロシアとの二正面作戦を余儀なくされ、極めて憂慮すべき状況になります。
ロシアと中国の分断こそ今後の最重要の戦略課題です。そのためには、早急にロシアとウクライナの停戦を成立させなければなりません。ロシアへの経済制裁を撤廃し、NATOの不拡大を確約すべきです。



<2022年2月28日>

ドイツ、軍備増強へ13兆円 対ロ防衛で大転換、NATO目標超え
2022年02月27日
jiji.com
ドイツのショルツ首相は27日、連邦議会(下院)の特別会議で演説し、ウクライナに軍事侵攻したロシアのプーチン大統領の脅威に対抗するため、独連邦軍の増強に今年1000億ユーロ(約13兆円)を投じる方針を表明した。


すばらしい決断だ。
我が国も見習うべきだが、優柔不断なアホ総理・岸田文雄に同様の決断を期待しても無駄であることは明らか。情けない。


習近平氏、米欧制裁巡り「ロシア支援」指示…軍事侵攻には態度表明せず
2022/02/28
読売新聞
習政権は、中長期的に続く米国との対立をにらみ、対露連携を維持するためにロシア寄りの姿勢を強めている。



<2022年3月1日>

Biden's dilemma: How to give Putin an off-ramp
March 1, 2022
AXIOS

Vladimir Putin chairs a meeting on economic issues at the Kremlin yesterday.

With Ukraine holding Russia off longer than many U.S. officials had expected, President Biden now faces a great unanswered question — how to give Vladimir Putin an off-ramp to avoid even greater calamity.
Why it matters: A cornered, humiliated Putin could unleash untold pain on the world, from cyberattacks to nuclear threats. After enacting brutal sanctions, the White House now must consider how the invasion can end without a new catastrophe.


この記事によれば、プーチンの敗北はほぼ確定した。これ以上追い詰めると核戦争などに突入しかねないので、どう幕引きをはかるかという難しい問題にバイデンは直面している、という。

プーチンに誤算があったのは確かだろうが、今の段階では、敗北とまでは言えない。
首都キエフの攻防はこれから本格化する。
ただ、上記写真から読み取れるのは、閣僚との驚くほどの距離感に象徴されるプーチンの孤独だ。
孤独ゆえに正確な情報が入らなかったことは想像できる。


<2022年3月9日>

Putin's military failures force bitter Russian reckoning
2022/3/9
axios

A charred Russian tank is seen Monday in Ukraine's Sumy region.

Vladimir Putin's plan to seize Ukraine's capital in the first two days of Russia's invasion has been a complete failure, thrown off course by a fierce Ukrainian resistance, poor planning and a series of profound miscalculations.

Why it matters: An isolated and angry Putin is expected to double down on his brutality as the war in Ukraine drags on for weeks, months or even years, according to top U.S. intelligence officials. It could be his undoing

Even if Russia eventually captures Kyiv, the U.S. intelligence community does not see a way that a pro-Russian puppet regime can stay in power given the Ukrainian people's absolute refusal to capitulate.
The U.S. estimates that between 2,000 and 4,000 Russian troops have already been killed, "far in excess" of what Putin anticipated or has admitted, Burns said.
Putin was ready for sanctions, but not the speed and unity with which the Western world brought the hammer down — especially private companies like McDonald's, Starbucks and Coca-Cola, which all halted Russian sales Tuesday.



ウクライナ危機:米国はプーチンを追い詰めるな!

2022年02月02日 22時31分36秒 | ロシア
ロシアのウクライナ侵攻はあるか?
あるとすれば、何時か?


世界は今、固唾を飲んでプーチンの動きを見つめている。

だが、悪いのはプーチンではない。
窮鼠猫を噛むという図式なのである。
プーチンはネズミ、米国が猫なのだ。
ネズミが追い詰められて猫を噛もうとしていると見るべきだ。

米国の軍産複合体が戦争を企んでいると見るのが正しいのではないか。ウクライナのNATO加盟を推進することでプーチンの神経を逆なでして戦争に持ち込むという戦略を描いていると見られる。
プーチンの要求ははっきりしている。
「NATOのウクライナへの拡大をやめろ!!!」
ウクライナがNATO加盟をあきらめれば戦争を回避できるはずだが、軍産複合体の代理人であるバイデンはそれを断固として拒否している。

この緊迫した状況の中にあって、米国での新たな動きが報じられた。
ウクライナへの肩入れは中国への対抗力を弱めるという意見が表面化したのだ。

Exclusive: Hawley calls on Biden to drop support for Ukraine membership in NATO
2022/2/1
AXIOS
Sen. Josh Hawley (R-Mo.) is calling on the Biden administration to drop longstanding U.S. support for Ukraine's eventual membership in NATO, arguing that a binding commitment to defend the country would undermine efforts to counter China.


私はこの上院議員の意見に賛成だ。
NATO のウクライナへの拡大とクリミア併合をきっかけとする経済制裁により、プーチンは追い詰められて、中国への接近を余儀なくされている。
今、世界が直面している最大の脅威は中国の台頭である。中国は建国100年の2049年までに世界の覇権を確立することを目指しているという説が有力だ。
China 2049
中国に支配されるという恐ろしい未来を望まないのであれば、中国を打ち破らなければならない。
そのためには、米国は中露の接近を阻止するという世界戦略を描くべきなのに、現実は逆方向の動きを強めている。愚かなことだ。
そして、上記報道にあるように、ようやく正しい主張が表面化したのだ。


一方、同日付で次のような報道がある。

Putin moves closer to war
2022/2/1
AXIOS
Each new move Russian President Vladimir Putin makes has left U.S. officials more fearful he's preparing for a very real war.

Why it matters: A month of diplomatic talks has achieved nothing. Russia's alarming military buildup keeps growing. And in his first public comments about the spiraling tensions in over a month, Putin on Tuesday accused the West of goading Russia into a conflict over Ukraine.

Driving the news: Between 100,000 and 130,000 Russian troops are now estimated to be stationed on the border with Ukraine, a presence that continues to grow.

⬤ 5,000 Russian troops have been deployed in Belarus — potentially giving Putin a direct route to the Ukrainian capital, Kyiv, which lies just 140 miles from the Belarus border on a freshly paved highway.
⬤ At a heated meeting of the UN Security Council on Monday, U.S. Ambassador Linda Thomas-Greenfield said there's evidence Russia intends to expand its Belarus presence to 30,000 troops by early February.
⬤ U.S. officials say Russia has also recently moved supplies of blood and other medical materials near the Ukrainian border, adding to fears that an invasion could be imminent, Reuters first reported.

The big picture: There are increasingly few signs on the ground that would distinguish a bluff from legitimate preparations for an attack. The West isn't taking any chances.

⬤ The Pentagon has placed 8,500 U.S. troops on "heightened preparedness to deploy" to NATO countries in eastern Europe, which President Biden said will happen "in the near term."
⬤ Ukraine received its sixth shipment of arms on Tuesday from a $200 million batch of military aid authorized by Biden in December, totaling 500 tons of defensive equipment so far.
⬤ The U.K., Poland, the Baltic states and other NATO allies have also transferred weaponry and training forces to Ukraine, warning that a Russian invasion would have massive ripple effects across Europe.

What they're saying: "This is not going to be a war of Ukraine and Russia. This is going to be a European war, a fully fledged war," Ukrainian President Volodymyr Zelensky said at a press conference on Tuesday.
(後略)

上述のように、ウクライナにおける米露対立の裏には、戦争ビジネスにより大儲けをたくらむ米国の軍産複合体がある。しかし、そのさらに裏には中国がいると見るべきだろう。
中国とロシアは相互に信頼しあう強固な同盟関係にあるわけではない。
米露が戦争すれば、双方とも傷つき、疲弊する。
それは中国にとってまことに好都合である。
中国の独り勝ちなのである。
 
 
<2022年2月4日>

中ロ首脳、NATO拡大反対で一致 対米共闘誇示―ミサイル計画放棄も要求
2022年02月04日
jiji
中国の習近平国家主席は4日、北京冬季五輪の開会式に先立ち、訪中したロシアのプーチン大統領と北京の釣魚台迎賓館で会談した。中ロ両政府は会談に合わせて発表した共同声明で、北大西洋条約機構(NATO)拡大に反対の立場を表明。ロシアがNATO加盟を目指す隣国ウクライナに軍事圧力をかけて情勢が緊迫する中、対米共闘姿勢を誇示した。



China lifts restrictions on imports of Russian wheat, barley
February 4, 2022
yahoo
China will allow imports of wheat and barley from all regions of Russia, the Russian state agricultural watchdog said on Friday, a new grain export success for Russia that could lead to greater competition for other suppliers like France.



Psaki accuses Josh Hawley of 'parroting' Russian propaganda after the GOP senator called on Biden to halt support for Ukraine joining NATO
February 3, 2022
Yahoo



ウクライナに近いロシアの都市ブリャンスク近郊で撮影された戦車などの鉄道輸送
(画像クリックで動画)

雪が少ないことに驚く。
雪が多くて戦争などやってられない、ということはなさそう。


<2022年2月6日>

Russian forces at 70% of level needed for full Ukraine invasion, U.S. officials say
February 6, 2022
reuters

ロシアとベラルーシの合同軍事演習
2月3日、ベラルーシの射撃場にて
(訳注) 雪が少なく、凍結しているため、軍事車両の活動に好都合と見られる

Russia has in place about 70% of the combat power it believes it would need for a full-scale invasion of Ukraine and is sending more battalion tactical groups to the border with its neighbor, two U.S. officials said on Saturday.

In the last two weeks, the number of battalion tactical groups in the border region has risen to 83 from 60 as of Friday and 14 more are in transit, the officials told Reuters on condition of anonymity due to the sensitivity of the information.

As to the timing of an invasion, the ground is expected to reach peak freeze around Feb. 15, the officials said, allowing for off-road mechanized transit by Russian military units. Such conditions would continue until the end of March.


この記事によると、ロシア軍によるフルスケールの軍事侵攻があり得ること、および、侵攻のタイミングについては、地上が凍結のピークに達する2月15日頃から3月末まで、と米当局者は予想しているという。

ロシアの第三世代戦車 2015年03月31日
https://blog.goo.ne.jp/stopchina/e/ecfcc57e5cf84e4bc9ab729bdbf9aaba


<2022年2月7日>

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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
  令和四年(2022)2月7日(月曜日)弐
     通巻7210号 
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 二月中旬、ロシア15万人兵士、ウクライナ侵攻へ準備完了になる
  原潜部隊も英国沿岸から米国沿岸へ、カムチヤツカの原潜は太平洋へ

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 準備完了、開戦は時間の問題となったのか。
米軍高官は「もしロシア軍のウクライナ侵攻があれば、軍民あわせて5万人、ロシア側も1万人が死に、キエフは二日で占領されるだろう」と不気味な予測をなした。
これに加えてNYタイムズ(2月5日)は、500万人の難民が発生する、と暗い予測を報じた。

 サリバン大統領補佐官は「いつでもウクライナ侵攻は起こりうる」と戦闘の可能性が極めて高いことを示唆し、また別の軍事専門家は、「侵攻が近くなるとロシアのサイバー攻撃が本格化し、ウクライナ国内でも騒擾など攪乱行為が親露派の工作員によってなされるだろう。ゼレンスキー大統領暗殺を含むクーデター計画もある」とする。

 ロシアはウクライナのNATO加盟がないと確約するなら撤兵の用意があるとしているが、ウクライナ国民の戦意は高い。ゼレンスキー大統領も「西側の反応は大袈裟、かえってロシアを刺激する」と米軍高官らの脅威的な発言に注意を喚起している。
 バイデン政権は武器弾薬、新型砲など、およそ2億ドルの武器援助を決め、キエフへ緊急輸送した。キエフでは戦闘軍事訓練が日夜行われている。

 しかし西側はロシア空爆に踏み切るだろうか?
 ロシア全土には16270ケ所に防空壕、とくに特殊仕様の地下シェルターはモスクワに250ケ所。サンクトペテルブルグは駅のとなりにシェルターを新設中だ。
 モスクワには強靱な地下要塞スターリン・バンカー、メトロ2などのほか、ラメンチ43など2500の防空壕がソ連時代に構築されている。これらがいつでもシェルターに転用可能という。政府建物、官僚街を中心に西側の空爆、ミサイル攻撃に備える。

なかには1500名を収用できるシェルターもある。
まさに「備えあれば憂いなし」。

 また陸上ではウクライナの四周を現在(2月7日)、10万人の兵力で囲んだが、二月中旬には15万人となりフルスケールの侵攻作戦が可能となる。米国は制裁をかけるとプーチンを牽制している。
マクロン(仏)大統領は今週、モスクワとキエフを訪問し、戦争回避の仲裁を続ける。

 米軍は82空挺団から1700名がポーランドのウクライナ国境に近い基地に到着、300名がドイツへ。そして在独NATOの米兵1000名がルーマニアに移動した。ポーランド南部はウクライナと、北部はベラルーシは国境を隣接し、ルーマニアはウクライナ西側のオデッサと至近距離だ。


 ▼習近平が囁いた。「北京五輪が終わるまで攻撃はひかえてくれまいか」

 呼応してロシアの潜水艦部隊が動きはじめた。
 英国海峡周辺を遊弋していたロシア原潜が英国沿岸を離れた。米国沿岸には多くのロシア原潜が出没しはじめ、16隻の原潜が確認されているという。
それぞれ10発の多弾頭ミサイルを装備しているので、160ケ所をミサイル攻撃できるうえ、原潜基地をキューバとベネズエラとする動きがある。
 カムチヤツカ半島のビルユチンスキー基地などからもロシア原潜955A、949Aなどが出港し、太平洋に向かった。

 北京五輪開会式にプーチンは特別機で駆けつけ、貴賓席でぼつねんと居眠りをしたとか。だが、2月5日に中露首脳会談が開催され、「共同声明」が発表された。
 注目点は第一に「中露両国の友好関係は無限だ」としたこと(無限は日本語では夢幻だが)、第二に「西側の考え方は冷戦メンタリティであって、時代錯誤。アーカス(AUKUS)は太平洋の平和を乱し持続可能な安定に障害となる」などと、脅威の裏返しが文言となっていること。
 第三がもっとも重要で「新パイプラインを増設し、向こう三十年間、毎年100億トンのガスを中国へ輸出する契約に署名した」としていることだ。

 英誌『エコノミストl』(1月29日電子版)が報じた。
「習近平が囁いた。『北京五輪が終わるまで攻撃はひかえてくれまいか』と」

 NATOがウクライナ参戦に踏み切れないのは、生命線のガスがロシアから供給されていることであり、ドイツがもっとも弱腰である。なにしろシュレーダー元独首相はロシアからのガス海底パイプラインを運営する「ガスプロム」の社外重役に指名されているうえ、ロシア最大の「ロフネフチ」会長を兼ねる。

 米軍は近隣諸国に軍を配置し、武器をウクライナに供給したが、実際の戦闘が起きても参戦はしないだろう。プーチンは明らかに、そのことを読んで、ぎりぎりのチキンレースを展開していると見て良いのではないか。



<2022年2月8日>

少し古いが、良い論評を見つけた。

ドイツ海軍トップの「不適切発言」で可視化された、ウクライナ危機の残念な背景
だからドイツはロシアに強く出られない

2022.01.28 川口 マーン 惠美
gendai.ismedia
(結び) EUに、中国を世界平和の真の危機と見ている政治家はあまりいない。そんな中、シェーンバッハ氏の脱線と脱落は、世界の力学を微妙に変えてしまうかもしれない。もちろん、日本にとっては不幸な方向に。

一番の懸念は、氏が恐れていたロシアと中国の結託だ。私たちは今、ものすごく危うく、きな臭い歴史の曲がり角にいるのかもしれない。日本は無駄な感染対策や、蜃気楼のように実態のない論争ばかりしていないで、自国を守る算段に本気で取り掛かるべきではないか。



マトモな意見がここにもある。
筆者のマイケル・レーガン氏はレーガン元大統領の養子。共和党寄りの評論家。78歳。

Russia is not our worst enemy
Feb.7, 2022 Michael Reagan
New Jersey Herald
China should worry everyone on the planet, but it’s the Russians we’re supposed to fear? Like so much of the Biden administration’s foreign policy “thinking,” it makes no sense.

So don’t worry about Russia starting World War III over Ukraine, folks.

WWIII started decades ago. It’s us against China, not Russia — and we’re losing.



<2022年2月10日>

マクロンの仲介は失敗したようだ。
戦争は不可避か。

'No betrayal' during Macron visit, Ukraine says
February 10, 2022
reuters
French President Emmanuel Macron did not try to deny Ukraine's pro-Western aspirations and visited Kyiv this week offering opinions and not proposals, Ukrainian Foreign Minister Dmytro Kuleba told a briefing on Wednesday.
Kuleba said Ukraine would not accept any ultimatums to defuse tensions with Russia.



UK's Johnson says next few days 'most dangerous moment' in Ukraine crisis
February 10, 2022
reuters
he believed Moscow had not yet decided whether to invade Ukraine.



<2022年2月11日>

Russia holds drills in Belarus as West warns of 'dangerous moment'
February 11, 2022
reuters




<2022年2月12日>

<まとめ>
プーチン大統領がこの時期を選んだ理由は、主として天候にあると思います。米国側は、ウクライナの土地が凍結のピークに達する2月15日から3月末までに武力侵攻がある可能性が高いと見ているようです。凍結により、戦車などが道なき道を走り回るのに好適な環境になります。

バイデンは武力侵攻すれば経済制裁を強化すると脅していますが、あまり効果はないと思われます。理由は、ロシアの主要輸出品である原油が高値であること、中国との経済関係が強化されていること、ロシアのドル離れが進んでいること、などです。
クリミア侵攻後にロシア経済が落ち込みましたが、これは経済制裁が効いたというより、原油価格が下落した影響のほうが大きと思われます。

武力侵攻の規模ですが、多分フルスケールになると思います。ウクライナ全土がロシアに占領され、親EU派が放逐されると予想します。西側にとって、もともとウクライナはソ連の一部でしたから、取り返されただけのことであり、人道的な問題を除けば、利害関係は大きくありません。ロシアとの全面戦争、すなわち第三次世界大戦、に持ち込む理由がありません。

そういうわけで、ウクライナは親ロシアになり、一件落着になると予想します。
我が国としては、遠くの出来事ですから、静観を決め込めばいいでしょう。

なお、見落としてはならないのは、一連の出来事により、ますますロシアを中国側に追いやったことです。バイデンの重大な戦略的失敗ということになります。

最後に付け加えますと、戦争を回避する道があるとすれば、それは、ウクライナのNATO加盟撤回、およびミンスク合意の遵守、この2つを約束することでしょうか。これなら、ウクライナの損失は最小限に抑えられ、プーチンは一定の成果を上げることができたことになります。戦争回避の可能性はまだ十分に残されています。