独断偏見妄言録 China's Threat

中国は人類の命運を左右する21世紀最大の不安定要因

小説「第二次朝鮮動乱」

2017年03月12日 21時06分14秒 | 米国
プロローグ

2017年3月12日。場所はオーバルオフイス。二人の男が向き合ってヒソヒソ声で話し込んでいた。
口火を切ったのはトランプ大統領だった。
「今のところシリア問題が片付いていないから、新しい戦争を朝鮮半島で始めるわけにはいかない。だから、金正恩を殺すための斬首作戦を当面は見送る他ない。南の次期大統領は反米・親北の文在寅になりそうだから、韓国との関係は悪化するだろう。そうなると、斬首作戦の実行はますます困難になる。困ったもんだ」
「新大統領は中国からの圧力に屈服して、THAADの撤収を要求してくるかもしれません。大衆の反米感情が爆発する中での駐留は機能不全に陥り、意味を失います。我が方の陸上部隊も一緒に全面撤収する他ないでしょう。その場合、北がチャンス到来とばかりに南進を始める可能性が大きいと思われます」とマティス国防長官が憂鬱そうに答えた。
トランプ大統領はにやりと笑って言った。
「北が先に手を出すなら好都合じゃないか。南を助けるという大義名分のもとに北の核施設を爆撃すればいい。ついでに15トンのバンカーバスターを金正恩にプレゼントするのも悪くないな」
マティス長官は真剣な顔で答えた。
「おっしゃる通りです。金正恩が死んでも北の南進は止まらないでしょう。軍の高官も生き残りをかけていますからな。ソウルが北の砲撃で文字通り火の海になり、100万人の死者が出ると予想されています。第二次朝鮮動乱の始まりです」

トランプ大統領は真顔で断言した。
「それはそうだが、我が国の責任ということにはならない。内戦の結果だから、何百万人死のうが責任は100%朝鮮人にある。南の責任か北の責任かは知らんがね」
「なるほど、そうですな。我が方は南を支援するという名目で大手を振って北の核施設を爆撃できるわけですな」
トランプ大統領は笑いながら言った。
「我が国としては、北の核とミサイルを破壊し、当面は復活できないようにすることが最重要課題だ。我が軍の撤収をきっかけに北が奮い立って南進を決断するように誘導する必要がある。あまり北を追いつめない方がいいだろう。北にはしばらく元気でいてもらわんといかんからな。ともかく、南北が互いに叩き合って疲弊するのは好都合だよ。半島が北主導で統一されても、中国の思い通りには動かないだろう。内戦で荒廃するとしても、最新技術を持った7500万人の国家が誕生する意味は大きい。半島が中国による日本侵略の通り道になるとすればまずいが、どうだろうか」
マティス長官が思案顔で答えた。
「元寇では朝鮮人が軍船の建造や戦闘の前面に駆り出されたそうですが、今度も朝鮮人が動員される可能性はあるでしょう。我が国としては統一朝鮮を支援して中国の言いなりにならないように仕向ける必要があります。それと同時に、安倍総理を焚き付けて防衛予算の大幅増額を実現させ、自衛隊を強化させる必要があります。今後は、日本が対中国の最前線になりますからな」
トランプ大統領はいたずらっぽく言った。
「シンゾウは気のいい男だが頭はあまり良くない。貿易摩擦でちょっと脅せばこちらの要求を飲むだろう」
二人は声を上げて大笑いした。
真顔に戻ったトランプ大統領が質問した。
「ところで、マティス。君は南の新大統領はいつごろTHAADの撤収を要求してくると予想するかね」
「そうですな、選挙は5月初旬ですから、6月か7月には中国の圧力に耐えかねて、THAAD撤収を要求してくるんじゃないでしょうか。そういたしますと、我が陸上部隊の全面撤収が完了するのは年末頃といったところでしょうな」
「すると、北が動くのは、少し暖かくなった来年3月辺りかな。北を元気付けるために、制裁をすこし緩めたほうがいいな。中国が北向けの石油パイプラインを閉めないように中国への圧力も弱めたほうがいい」
マティス長官がきっぱりと断言した。
「了解いたしました。ところで大統領、動乱により漁船に乗った大量の難民が日本に逃げ込む可能性が大きいと思われます。安倍総理には難民をどう処理するのか、今から考えてもらう必要がありますな。日本が朝鮮難民の流入で混乱することは絶対に避けなければなりません」
トランプ大統領は渋い顔でうなずいた。
「わかった。今度シンゾウに会ったら言っておくよ」


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