2月21日カリフォルニアで、ある囚人の死刑執行が無期延期になった。理由は、死刑執行に使われる薬物に問題があることがわかったからである。カリフォルニアでは、死刑執行に際し、3つの薬物が使われる。最初に、バルビツール酸系催眠鎮静薬で眠らせて無意識にし、あとのふたつで、筋肉を麻痺させて心臓を停止させる。大体7分ほどで死にいたらしめる。
しかし世界で最も権威のある医学雑誌のひとつ、The Lancet(2005年4月号)に掲載された論文に、その最初の薬が機能しないことがあることが書かれ、その場合には当然死刑囚が苦痛を受ける。この苦痛がいけないということになって、刑の執行には、医学のプロフェッショナルがつくことになったわけだが、このプロフェッショナルをカリフォルニア州がみつけていないため、延期になった。
じゃみつければということだがそうもいかない。医師には、ヒッポクラテスの宣誓というのがある。これは医師の倫理綱領で、そのなかに、医師の仕事はひとの命を助けることが仕事なのだから、その逆の手助けはできない、というのがある。しかも、Dr. Priscilla Rayというthe American Medical Association's Council on Ethical and Judicial Affairsの長が、いかなる状況でもこれは守らなければならないといっているから、医師が執行に手を貸す可能性はなくなり、「無期」とみなされたわけだ。
確かに医者の言い分はわかるが、そうするとどんなに残虐な殺人事件でも殺人者は生きながらえることになるではないか。この手の事件を見聞きするたびにいつも思うが、声なき被害者は、生きている人間の改心および回心の可能性のために、無視されることが妥当なのか。僕は絶対にそうは思わない。何が悲しいといって、被害者に罪がない場合、被害者にはいかなるやりなおしのチャンスも与えられないのに、殺人者には与えられることだ(終身刑だとしても悔恨することが出来る、被害者はできない)。それに医者にもいいたい、Townhallのこの記事の著者もいうように、それじゃ堕胎手術はどうするんだ?
そしてもっと重要なことは、この死刑囚、Michael Morales は残虐な殺人事件の殺人者らしいことだ。上記記事とWikipediaを元に、ざっと事件の概要を説明しよう。事件は、1981年に起こった。被害者は、Terri Lynn Winchell という女の子で当時17際だった。
Moralesは、いとこのRick OrtegaとWinchellとドライブした。MoralesとWinchellは初対面だったが、Ortegaが、Winchellの彼の友人だったから、Winchellは応じたらしい。親友へのプレゼントを買うためとかなんとか説得したとのことだ。Ortegaが運転し、Winchellが助手席、Moralesが後部座席にいた。
しばらくの間おしゃべりをしていたが、突然Ortegaが車を田舎道に入れた。するとMoralesが後部座席からその前の席にいるWinchellのクビをしめはじめた。彼女はもがき、Ortegaに助けを求めたが、Ortegaは助けずそのまま運転した。もとよりOrtegaの依頼した悪事らしい。
15秒後ベルトが壊れ、MoralesはハンマーでWinchellの頭を23回叩いた。彼女が気を失うと、Ortegaに「あっちにいけ」といって、その間にレイプし、そのあとまたOrtegaと一緒になってから、4回胸を刺した。頭部とこの胸の傷の両方が致命傷になった。彼女は、胸にナイフを突き刺された状態でみつかった。そして1981年1月、Moralesは死刑を宣告され、Ortegaは終身刑となった。
Moralesが他人に与えたこの凶行より、長くて7分間の苦しみは釣り合うのだろうか?
※Moralesが「殺人者らしい」とつけたのは、Moralesを死刑とした判事が「気が変わった」といっているためです。
UPDATE on March 1, 2006
《追加》
Townhallに同趣旨の記事あり。
しかし世界で最も権威のある医学雑誌のひとつ、The Lancet(2005年4月号)に掲載された論文に、その最初の薬が機能しないことがあることが書かれ、その場合には当然死刑囚が苦痛を受ける。この苦痛がいけないということになって、刑の執行には、医学のプロフェッショナルがつくことになったわけだが、このプロフェッショナルをカリフォルニア州がみつけていないため、延期になった。
じゃみつければということだがそうもいかない。医師には、ヒッポクラテスの宣誓というのがある。これは医師の倫理綱領で、そのなかに、医師の仕事はひとの命を助けることが仕事なのだから、その逆の手助けはできない、というのがある。しかも、Dr. Priscilla Rayというthe American Medical Association's Council on Ethical and Judicial Affairsの長が、いかなる状況でもこれは守らなければならないといっているから、医師が執行に手を貸す可能性はなくなり、「無期」とみなされたわけだ。
確かに医者の言い分はわかるが、そうするとどんなに残虐な殺人事件でも殺人者は生きながらえることになるではないか。この手の事件を見聞きするたびにいつも思うが、声なき被害者は、生きている人間の改心および回心の可能性のために、無視されることが妥当なのか。僕は絶対にそうは思わない。何が悲しいといって、被害者に罪がない場合、被害者にはいかなるやりなおしのチャンスも与えられないのに、殺人者には与えられることだ(終身刑だとしても悔恨することが出来る、被害者はできない)。それに医者にもいいたい、Townhallのこの記事の著者もいうように、それじゃ堕胎手術はどうするんだ?
そしてもっと重要なことは、この死刑囚、Michael Morales は残虐な殺人事件の殺人者らしいことだ。上記記事とWikipediaを元に、ざっと事件の概要を説明しよう。事件は、1981年に起こった。被害者は、Terri Lynn Winchell という女の子で当時17際だった。
Moralesは、いとこのRick OrtegaとWinchellとドライブした。MoralesとWinchellは初対面だったが、Ortegaが、Winchellの彼の友人だったから、Winchellは応じたらしい。親友へのプレゼントを買うためとかなんとか説得したとのことだ。Ortegaが運転し、Winchellが助手席、Moralesが後部座席にいた。
しばらくの間おしゃべりをしていたが、突然Ortegaが車を田舎道に入れた。するとMoralesが後部座席からその前の席にいるWinchellのクビをしめはじめた。彼女はもがき、Ortegaに助けを求めたが、Ortegaは助けずそのまま運転した。もとよりOrtegaの依頼した悪事らしい。
15秒後ベルトが壊れ、MoralesはハンマーでWinchellの頭を23回叩いた。彼女が気を失うと、Ortegaに「あっちにいけ」といって、その間にレイプし、そのあとまたOrtegaと一緒になってから、4回胸を刺した。頭部とこの胸の傷の両方が致命傷になった。彼女は、胸にナイフを突き刺された状態でみつかった。そして1981年1月、Moralesは死刑を宣告され、Ortegaは終身刑となった。
Moralesが他人に与えたこの凶行より、長くて7分間の苦しみは釣り合うのだろうか?
※Moralesが「殺人者らしい」とつけたのは、Moralesを死刑とした判事が「気が変わった」といっているためです。
UPDATE on March 1, 2006
《追加》
Townhallに同趣旨の記事あり。