イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

ベリックの見どころその5、河があるから橋もある!

2023年07月22日 09時00分08秒 | イングランド北部

スコットランドとの国境の町、ベリック・アポン・トゥイード Berwick Upon Tweed(以下ベリック)、続きです。

 

トゥイード河 River Tweed に架かる3本の有名な橋 について中途半端なところまで書いた前回の続きです。

 

オールド・ブリッジ Berwick Old Bridge から見た、夕暮れの ロイヤル・トゥイード・ブリッジ Royal Tweed Bridge です。

1928年に完成した近代様式のコンクリート造りの立派な橋です。

 

オールド・ブリッジ(川底の一番深い場所から14m の高さだそうです、今調べました)よりずっと高い38m のこのロイヤル・トゥイード・ブリッジ、渡ってみなかったのが悔やまれます。

向こう岸まで歩いて渡り切る案はどうせ夫に却下されたでしょうが、たった200mほど河の真ん中に向かって歩けば、すてきな眺望が楽しめたはずです。

河口と北海の水平線、それに上流の遠くの山並みと...有名な ロイヤル・ボーダー・レイルウェイ・ブリッジ Royal Border Railway Bridge の!

丘の上にあるベリック・アポン・トゥイード駅からのびる現役の鉄道橋です。

「ボーダー」は国境の意味ですが、この鉄道橋は国境線を超えません。スコットランドの国境は町の反対側です。

 

完成は1850年。

英国の建築史のみならず、全世界の鉄道エンジニア史上(言わずと知れた英国は鉄道発祥の国ですから)、とても重要な橋だそうです。

蒸気機関車の発明者、ジョージ・スティーブンソンの息子、ロバート・スティーブンソンの設計です。

第一級(保存)指定建築 Grade I Listed Building です。

ちなみに、わがストックポートの名物鉄道橋、公称世界で2番目に大きいレンガ建築(使われたレンガの数による)ストックポート・ヴァイアダクトは半級下の「特二級指定 Grade II *(グレード2 スター)」。負けた!

ストックポート・ヴァイアダクトは建設年代(1840年)では勝っています。10年も早いのに!

 

 

アーチの数は28(ストックポート・ヴァイアダクトは27です、くどいですが)。できるだけ多くのアーチを写真におさめようと多くの人が構図に工夫を凝らしているようです。

古城を目指して、川岸の遊歩道を歩いている時に撮った私の写真もいい線いっているでしょう?

向こう岸に見えているのはトゥイードマウスの町です。

 

この橋を通すために、貴重な史蹟である中世の古城を半壊させちゃった件は以前、古城 の項に書いた通りです。

 

ところで、宿泊したホテルの、階下の食堂を飾る額装されたポスターの一枚に目が釘付けになりました。

このポスター、ずいぶん前にたしかにどこかで見たことがありました。「交通博物館」だったかデザイン史の授業でだったか思い出せませんが、「この場所に行ってみたい!」とと強烈に思ったことを思いだしました。ベリック・アポン・トゥイードという長い地名はもちろん、こんなポスターを見たことすら、忘れていました!

1920年代から開戦までの間、英国各地の観光地に誘致する質の高いイラストの観光ポスターが各鉄道会社によって、とてもたくさん作られたのです。

宿泊したホテル(というかB&B)は伝統的な鉄道旅客が利用する駅前パブだけあって、たくさんの種類のベリックの鉄道観光ポスターを壁に飾っていました。

ゴルフ、海水浴風景、ヴァイアダクトの上を走る蒸気機関車、新築のベリック城と中世のイメージ、時計塔のあるマーケット風景のポスターがありました。☝の写真を勝手に借りたアートポスターの販売ウェッブサイトを見るとベリック版、もっと他にもありました。

一般庶民が鉄道を利用して気軽に国内観光旅行に出かけ始めたのが鉄道ポスターの黄金期1930年代です。自家用車を持っている人なんてごく稀だった当時、人気の観光地は鉄道の便のいい場所に限定されていたはずです。

その頃、海水浴やゴルフができる歴史の町ベリックは大賑わいの観光地だったのだろうと推測できます。

ベリックの鉄道の便は今もたしかに抜群なのですが...。

ベリックに限らず、英国内の海岸地の人気はがた落ちです。

バカ高い鉄道運賃をはらって、雨降り続きの肌寒い夏の英国で冷たい海水に浸かるために、国内の海岸地まで足を運ぶ人の数が激減しているのも納得です。1970年代以降、航空旅行が手軽で身近になった今、夏の休暇はスペイン、ポルトガル、やギリシャなど陽光降り注ぐ南欧の海岸地で過ごすのが一般化してきています.

話がずいぶんそれましたが...!

鉄道ポスターの「ヴァイアダクトの股のぞき」構図、秀逸です。

でも、3つの橋全てがいっぺんにフレームにおさまる、そんな場所がほんとうにあるのでしょうか?

うーん、ヴァイアダクトの上までフレームにおさめると、オールド・ブリッジが遠すぎておさまりが悪いのです。

 

かなり苦しいのですが、下流の河口近く、波止場で撮ったこの写真はどうでしょう。

右側のオールド・ブリッジの少し低くなった右上にトゥイード・ブリッジの右端が、アーチの下にヴァイアダクトの橋脚がかすかにのぞいています!

もうちょっと高い位置に立てばすべての橋がもっとちゃんとながめられたはずです!

 

ベリック滞在中に、ホテルのすぐ前のベリック・アポン・トゥイード駅から急行で40分、国境を越えて日帰りでエジンバラまで行ってきました。

前回までのベリック記事のリンクです。

城壁に囲まれたスコットランドとの国境の町、ベリック・アポン・トゥイードその1;

国境の町ベリック、その2;日本人に好かれそうなポイント列挙(観光案内)

ベリックその3;夏の休暇になくてはならない1シーン、海辺とその周辺

浅い大河が大洋に流れ込む河口の町ベリックその5;河とセットの橋が景観のアクセント

 

 

 

 

コメント (3)    この記事についてブログを書く
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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
犬と暮らせば (浅井洋)
2023-07-23 17:51:45
凄い 凄い
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Unknown (江里)
2023-07-27 08:03:39
浅井さんへ
すごいでしょ
返信する
Unknown (江里)
2023-07-27 08:04:05
浅井さんへ
すごいでしょ
返信する

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