イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

電車内での通話が他人にとって迷惑な日本ではあまり必要とも思えない車内アナウンスがひっきりなしに流れている印象...他

2020年03月06日 09時00分00秒 | 日本
日本で見かけた、「あまりかまわないでほしい!」と思わせる件、前回の続きです。



駅のプラットフォームでの立ち位置、階段の上がり降り、通行する右左を指し示すやじるしの洪水とともに....
日本では電車内のアナウンスの多さにまず圧倒されます。

他のお客様のご迷惑になりますので携帯電話はマナーモードにしてお使いください通話はご遠慮ください優先席の近くでは電源をお切りください/お体のご不自由なお客様お年を召したお客様のために座席をお譲りください/本日雨のため傘などのお忘れ物が多くなっております.../この先揺れますので手すりつり革などにおつかまりください/車内込み合ってまいりました1人でも多くのお客様が座席にお座りになれるよう..../ 扉付近でたちどまることなく.../お急ぎのところ大変ご迷惑をおかけいたしますただいま特急電車待ち合わせのため.../お出口は左側です左側開きまーす

駅のホームで電車を待っている時も...

1番線総武線快速上り列車が到着いたします。黄色い線の内側まで下がってお待ちください/降りる方がすんでからご乗車ください/扉が閉まります次の電車をご利用ください/扉閉まりまーす発車いたします

のアナウンスがひっきりなしに聞こえてきます。



15年前初めて日本に来た夫が「車掌が乗客に放送で言うようなことか?」と本気でいぶかっていました。
現在、首都圏の私たちがよく利用する路線では英語、中国語、韓国語で録音された同じ内容のアナウンスも流れるので、車内ではひっきりなしに放送を聞かされている印象です。

慣れてしまえば、普通です。
私もイギリスに住み始める前には普通だと思っていましたし。

だけど、久しぶりに帰国して聞かされる内容は「親や先生に言われるのならともかく...」な公共道徳(譲りあい、思いやり)や秩序を守る呼びかけだったり、たった3分程度の信号待ち停車の説明だったり、忘れ物、閉まるドア、揺れに注意、など子供を思う親心のような内容だったり....。

イギリスでは基本的にホームでは到着した電車の行き先も行ってもらえませんし、いつの間にか扉が閉まり静かに出発するのが普通です。
車内ではつぎの停車駅の名前すら言わないのが長い間普通でした。
最近は次に停まる駅名をアナウンスしてくれることが増えたように思います。
10年ぐらい前に登場した、各車両の両端の電光掲示に次の停車駅の名前が右から左へ流れ続ける「ハイテク車両」ではやはり停車駅のアナウンスはありません。

「お出口は右側です」とも言ってくれません。
電車が止まると乗客が下りる側の扉のボタンを押して開けることになっているので、短い停車時間中に降りられるかどうか(特に利用者の少ない駅など)不安です。

だけど、これすら慣れてしまえば普通なのです。

突発的な揺れに備えてつり革や手すりにつかまるのは立っている人にとって当たり前なのでわざわざ注意してもらうまでのこともないと思われています。

ところで、日本で携帯電話の車内通話がどこでも禁止されているのは、「うるさい(他人に迷惑だ)」からですよね。
最近の携帯電話は感度が良いので大きな声を張り上げなくても普通の話し声で通話の相手に通じるのに、そして電車内にいる人と会話しても問題はないようなのに「車内通話は周りに迷惑」という理由で禁止されているのが不思議です。

もちろん日本のほとんどの乗客が「他人が車内で通話しているのは耳障りだから自分もやらない」と納得しているので必要な決まりなのでしょう。

車内アナウンスが(しかも自分たち日本人にとって不要な英語、中国語、韓国語まで自動的に繰り返される)ひっきりなしに流れるのは「うるさい」とは思わず聞き過ごせるのに他人の通話は「うるさい」、「迷惑」だと思うらしい日本人の感覚には疑問が残ります。

イギリスでは車内の放送がほとんどなく、乗客の車内通話は許されています。
家族に帰宅予想時間や夕食の段取り、駅まで迎えに来てもらえるかどうか、など文字チャットでも済む内容の用件を親し気に手短に通話しているのがよく聞こえてきます。

そう言えば、スマートフォンが普及する以前、10年ほど前には通話時間ごとに料金がかかる契約が主流だったので、現在と違って無料の「テキスト(電話回線の文字チャット)」で静かに連絡を取り合うことが多かったように思います。

利用者の安全確保と他人の迷惑になる行為の根絶そして秩序の維持!
が日本の社会の目標だといって良いのでしょうか。




その目標のためにはうるさかったり、余計なお世話だったり、見苦しかったり...日本国内に住んでいて見慣れている人達以外には奇異に映ることが疑問も持たれずに目の前で進行しているのが日本、だという印象です。


駅や電車の中だけではありません。
エスカレーターにも...


安全のための親切な注意が、図案で、文字で、そしてあたたかい女性の肉声を録音したアナウンスで繰り返し通達されます。







イギリスでは片側のみに極端に単純化した禁止マークのスティッカーがはられていることが多いようです。
注意事項は世界共通のようですが、文字で書かれているのを見たことがありません。(探せばあるのかもしれませんが)

エスカレーターに一度でも乗ったことがある人ならわかっているような注意アナウンスは、流しません。

よく利用するストックポートのスーパーのエスカレーターでは女性の声を模した無機質な合成音声で終着点に近づいていることを告げる、盲人を対象にしたアナウンスがありますが。


イギリスでは注意や警告、呼びかけは利用者の自己責任、公共心にゆだねるために必要最小限度におさえているようです。
その最小限度の通達は当然、より重きを置いてとられるはずなのです。

日本では書いたもの、放送したものが目や耳にとまることが注意や自覚を促す効果を生むと期待しているようなのです。
あるいは利用者を信頼していない?

日本の行政や関係機関がそれらのマジメな通達に多用する子供や擬人化された動物のマンガっぽいイラストは「四角四面のお役所仕事」、ガミガミ説教する「上から目線」と受けとられないよう、あるいはとんがった空気を和らげる工夫(のつもり)の表現だと思うのですが違うでしょうか。

日本では受け入れられているようですが、イギリス人にはふまじめにうつるかもしれません。
私はなんかちょっとバカにされている気になります。
イギリスで注意書きや警告に使われる図像はあくまで記号化された無機質な表現を目指しているように思えます。

その方が個人の感情(好み)がさしはさまれる余地を許さず単刀直入に必要なことを訴えられるから...だと思います。

以前に、近所の渓谷の遊歩道の途中にある自然観測池について書いた記事をのせました。
その池には囲いがないことのみならず、雨のあと地面がぬかるんで沼沢地化して とても危険なのにもかかわらず、危険を知らせる立て札や、立ち入り禁止札などが一切ないことに驚いた、というコメントをいくつかいただきました。

その時、日本とイギリス両国の行政や管理機関の、市民やサービス利用者への対応の大きな違いに気がつきました。
イギリスの行政は、多くの人を楽しませる美観を損ねてまで少数の「不心得者」や「自己責任への自覚が足りない人」に訴えかける警告や注意書きを立てるには及ばないと判断しているようなのです。
イギリスの市民は「子供扱い」されることを好みませんし。

日本の行政は「何かあった時のため」警告はしておいた、という既成事実を作っておきたがっているように思います。
スタッフやまわりの人が注意すると「逆切れ」されることもあるといいますし、書いておいておけばトラブルも回避できるということかもしれません。

話がそれますが、疑問なのが「歩きスマホ」です。


「歩きスマホ」を戒める絵入りのポスターや看板を駅に限らずたくさんの場所で目にしたにもかかわらず、スマートフォンを見ながら歩いている人が日本にはとても多いのです。

イギリスにももちろん同じくらいたくさんいますよ、「歩きスマホ」!
イギリスではその場で「気をつけろ!」と注意されてすぐ止める人をたびたび目にしていますが、書かれているのを見たことはありません。

電車内での通話をしない日本人が「歩きスマホ」をやめないのは他の人もやっているから、他の人に迷惑だという自覚がないから...だと思うのですが。
標語やポスターが役に立っていない、という好例ではないでしょうか。

日本には注意する人がいるのでしょうか。

それと、酔っ払い!


スーツを着たホワイトカラーの会社員がプラットフォームを千鳥足で歩いていたり公園のベンチで酔っぱらって寝そべっていたりなんて、イギリスでは想像もできません!

まさかの欧米人向け英訳マナーポスター!!


「nice♡」、「 good!」って...
いくらかわいい東武鉄道の女性職員キャラクターに「〇」をもらったって、思いやりや他者への心遣いを持つように鉄道会社に言われて「余計なお世話!」と思わない欧米人はたぶんあまりいない...と思います。















 
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2 コメント

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浅井さんへ (江里)
2020-03-14 07:46:31
スペイン人がそういったんですか!
興味深いことを聞きました。
イギリスのレストランやカフェで音楽が流れているのはおもに若い従業員を喜ばせるためだと聞きました。うちの夫も、知り合いも年配の人が何人かそう言っていました。客は自分の好みの音楽以外別に聞きたくもないのですが、言い立てることもないので黙って聞いているとか。レストランの経営者も、若いスタッフが好きな音楽がかかっているだけで喜んで従順に熱心に働いてくれるんならお安いものだ、お金のかからない福利厚生だと思って音楽を選ばせることがあると言っているそうです。
日本では商店街どころか、チリ紙交換や選挙運動も住宅街で大音量です。
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夫婦喧嘩は存在しない (浅井洋)
2020-03-13 18:07:35
江里様

 日本は商店街を歩いてても 音楽が流れる

スペインは 街頭では 音楽は 流さない と

言われました 広島に来た スペインの人から
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