ロンドンとイングランド北限の町カーライルを結ぶ国道 A6 沿いに、ゴシック風のなかなか立派な建物があります。
ストックポート・メイソニック・ギルドホール Stockport Masonic Guildhall 。
同じくA6 沿いのタウンホールから徒歩10分ぐらい、タウンセンターのちょっとはずれです。
和訳すれば「ストックポート石工組合」、(日本でいう)フリーメイソンのストックポート支部の集会所です。
英語でフリーメイソン(組織名)は「フリーメイソンリー freemasonry」といいます。
「フリーメイソン freemaison」は会員個人をさす言葉です。
右側の側面です。
明治維新の年1868年に建設されて以来60年ちょっとの間、学校だったそうです。
フリーメイソンリーに買い取られた1932年以後、フリーメイソンたちの集会所として使われています。
スペースを貸し出すイベント会場ビジネスも大成功しているようです。
実は、私は5,6年年前までフリーメイソンリーは陰謀をたくらむ闇の「秘密結社」だ!!と勝手に思っていました!
「メイソニック・ギルド」がフリーメイソンリーの別名だと理解したのもけっこう最近です。それまでは、文字通りこの建物は石工(メイソンリー)関係の由来があるのだろうとなんとなく思い込んでいました。
5,6年前に「陰謀とは全く無関係、秘密結社でもない」ということを日本の友達から聞きました。
フリーメイソンリーは、相互補助友愛クラブのような世界的組織みたいですね。日本にも支部があるとか。
会員になれば、政界、実業界など各界の強力なネットワークが後ろ盾になってくれて、すっごく得みたいですね。入会には支部会員全員の承認を要し、人格、仕事の実績、国家・地域への貢献度、などまで審査されるとかで、容易ではないようです。
今回、中に入る機会があって、秘密結社などではないフリーメイソンリーの持ちビルとしてちゃんと使われていることも知りました。
先週、このギルドホール内でうちの夫が胎児の成長確認でおなじみのエコー検査を受けました。NHS(国家保健サービス)が無料で対象者に連絡してやっている、その日限りの出張サービスです。
正面の花壇にたてられた公開イベントお知らせ看板には、検査対象の病名(夫が抱える持病)がドカドカと大書されていました。正面入り口は閉鎖で、裏へまわるようにとの案内とともに。
裏の駐車場サイドにはみっともないコンクリートの増築部分が突き出していました。
駐車場の管理人に予約手紙を見せて、裏口から入りました。
「病名」が大文字で書かれた矢印つきの案内表示をたどり、リネン倉庫を通って、駐車場に突き出していたみっともないコンクリートの増築部分らしい上階につきました。
矢印が示している青いドアの奥が検査会場です。
それより...
壁に展示されているフリーメイソンリー遺物に目が釘付けです。
上の2点は「寄贈;Mrs. 誰々」と書かれたシルクの...スカーフですよね...?
Mrs.誰々はフリーメイソンの奥さんでしょうか。女性はフリーメイソンになれないはずです。スカーフサイズの正方形にびっちりと描き込まれたフリーメイソンリーの象徴の数々...1980年代のイタリアのテキスタイルっぽいデザインでなかなかオシャレですが、大胆すぎて身につけるのは勇気がいるような...
刺繍の施された旗や、タペストリーも展示されていました。
私が「フリーメイソンリーは秘密結社」と思い込んでいた理由の一つは、謎めいた入会の儀式の手順を他言するのが許されないらしい!という神秘性です。
ズラッと額装されてかかっていた、一連のリージェンシー時代らしい版画のプリントがそのおかしな儀式の一部始終をイラストで解説してくれています。
上の版画の左側の床に寝かされて布をかぶせられたのが新規入会者のようです。
検査の順番を待つ間、大喜びで版画に見入る夫です。
新規入会者を床に転がして先輩会員が剣で突き刺す真似をして終了、ぜんぜん秘密ではなさそうです!
壁には立派なV字型のたすきのようなものを着けた歴代の会長、幹部らしい人の肖像額入り写真がズラッとかかっていました。メイソンの名前は公表されないとも聞いていたのですがそれもウソだったみたいです。
家に帰ってから検索してみたら、活動内容を知らせるウェッブサイトまでありました!(神秘性なし!)
だだっ広い検査会場には衝立で囲った小さな検査ブースが2個ありました。付き添いの私は夫が検査を受けるブースから出るのを許されませんでした。他の患者のプライバシーへの当然の配慮でしょう。
廊下に並んだドアの一つに取り付けられた BENEVOLENCE (慈愛)と記された真鍮のドアノッカー!
石工(メイソン)の仕事道具である金づち、鑿(のみ)、コンパスにフリーメイソナリーの象徴である定規(右)。で、左側は何でしょうか?
古代からの宗教や神話などに由来する、メイソナリ―の象徴 / シンボルは実にたくさんあるらしく奥が深いです。たしかに「神秘性」はこういうところに感じられます。
検査終了後、裏階段ではなく正面ホールにある表側階段を下りました。
正面入り口上部の美しいステンド・グラスを狭い階段踊り場から撮りました。
A6 に面した正面入り口の上のステンドグラス窓です。本当にしょっちゅう前を通るのですが、建物内部は暗いため、外からは何が描かれているのか全然わかりませんでした。
週央下に、直角定規とコンパスが組み合わされたフリーメーソンリーのトレードマーク、両側に球体(地球)をのせた柱、真ん中にはギラギラ太陽、そしててっぺんまんなかには何でも見抜く全能の(神の)目!
一階フォイエ(入り口付近ロビー)にもギラギラ太陽とコンパスと直定規の比較的新しそうなステンドグラスが一対。
セルフサービスのカフェにあるような旧式なコーヒーの自動販売機がありました。(柱時計のとなりの黒い機械)
エイリアンのような顔立ちのCCTV(防犯カメラ)があったのは写真を見るまで気が付きませんでした。
奥の閉まっていた扉の奥は大ホールです。
10年ほど前に開催された、入場料をとるアンティークマーケットに入ってみたことがありました!ガラスのビーズのネックレスを買いました。
オリジナルなゴシック風の装飾が豪華~な印象でした。結婚式のレセプション(披露宴)に人気な理由がよくわかります。
アート作品の売り立てや求職者向けの合同会社説明会をやっていたこともあります。外の立て看板で知りました。
正面と側面の角の部屋では講習会か講演にでも貸し出すためかイスと机が並んでいました。ドアがあけっぱなしだったので、夫が勝手に案内してくれました。
夫はこの部屋で開催されたチェスの選手権に何度か出場したことがあるのです。
表扉は閉鎖されていたので入った時と同じ、クルマがとめてある駐車場に出る裏口から外に出ました。
今回私がわざわざ夫の検診にくっついて行ったのは、メイソニック・ギルド・ホールの内部を見物するためでも、夫が心配だったからでもありません。
万が一、駐車場がいっぱいでクルマがとめられなかった場合、私がクルマで近くの大きな駐車場のあるマクドナルドに行って夫の検診がおわるまでコーヒーでも飲んで時間をつぶすつもりだったのです。読みかけの本まで持参しました。
幸い、驚くほど大きかった裏の駐車場はガラッガラ、楽に駐車できたので用のない私も付き添って中に入ったわけです。
ゴメンナサイ
こんな 楽しい 記事を 読んでませんでした
今 見て 凄い 凄い と おもいました