イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

たった1日で家人も本人もたぶん母親も思うところが大ありの、うちのネコ、ティブの行方不明事件

2021年03月13日 09時00分00秒 | うちのネコ、よそのネコ


生後8か月のティブが水曜日の午後11時ごろ(推定)から木曜日の午後8時頃まで行方不明になり.....見つかりました。

水曜日、翌朝がゴミの収集日だったことに深夜になってから気づき、夫がゴミ箱を通りに出しに行きました。
家に戻ったらドアが大きく開いていたとか、母ネコ、リヴィーが開いたドアから暗くて寒いおもてをうかがうように戸口に立っていたそうです。
夫はそのまま家に入ってドアを閉めて寝てしまいました。(すべて後になって聞きました)

翌朝、朝ご飯を要求しに私たちの寝室に入ってこないティブのことが心懸かりで早めに起きてリヴィーにエサをやりました。
ティブが食べに来ません。

心配して起きだした夫に前の晩のことを聞き出しました。
どうやら表のドアから外に出るのが大好きなティブが夫の見ていないうちにこっそり抜け出したのがたしかだとわかりました。

家に入ろうと思ったら無情にもドアは固く閉ざされていたはずです。

木曜日はいつティブが帰って来てもいいように一日中ドアを開けっぱなしにしておきました。



締め出した晩は風が強く夜通しヒューヒュー音がしていました。
その日は朝から3月とは思えない冷え込みで、雨が降ったりやんだりです。

いつもはいたずら盛りでかまってほしがる息子を煩わしく思って避けがちのリヴィーの落ち着きがありません。
何回も暖かい上階から下りてきて、風の吹き込む寒い戸口で息子の帰りを待つ素振りを見せます。



息子と私が別々に名前を呼びながら探し回りましたが出てきません。
夫は近所の人たちに聞き込みにまわりました。

その日は地域のゴミの収集日です。
前夜の強風で倒れた車輪付きの大きなゴミ箱をいくつも起こしながら、ティブが隠れていないかどうか確認してまわりました。
ゴミの収集がすっかり終わったころに、ゴミ箱に入ったまま回収車に落とし込まれていたらどうしよう、と改めて悪寒が走りました。手おくれです。

昼過ぎにヒョウかアラレが降りだして、夫がめそめそ泣き出しました。

近所の人にも手分けして気をつけていてくれるよう頼みました。
まだ、1日たっていないのに、大げさだと思われたかもしれません。

おもてのドアからは私と一緒にしか出たことがない、まだイヌも走っているクルマも見たことがない子ネコです。
通りの終わりには一日に2往復だけ貨物車が通過する線路があり、恐ろしいキツネやアナグマが住んでいます。
寒い深夜に1人で締め出され、強風、雨、アラレ、それにゴミの収集.....心配する理由は充分ありました。

夕食後、息子と「ネコ探し協力お願いポスター」を作ろうと相談している時にティブがすました顔で帰ってきました。

水とキャットフードをやると一心不乱に食べだしました。


キャットフードのカラカラいう音にひかれて下りてきたダイエット中のリヴィーにもお相伴で余分の夜食をふるまいました。
心配していた息子の帰宅より余分にもらえる夜食のほうが嬉しかったようです。

まだ食べ足りないそぶりを見せるティブには小分けにしてもう一食分やりました。

最初にティブを見つけて「ティーブ」と大声をあげた夫は安堵してインターネットゲームをやりに上に上がってしまいました。
ポスターを作りかけていた息子もおりてきて「もうポスターいらないね」と念を押した後同じくゲームをしに上に消えました。



ケガはありません。
雨にも全く濡れていません。
顔がうっすらとすすけた色になっていました。
胸に泥がついていました。

いつもは雪のように純白の足のうらの肉球のあいだが茶色く汚れているのをはじめてみました。

怖い目にあったはずです。
何があったか聞いてみたのですが何も話してくれません。

その夜は少しビクビクしていましたが自分で体をきれいになめあげて落ち着いたところを撮ったのが一番最初の写真です。
「次に行方不明になったら捜索ご協力お願いポスターに使えるな」と思って撮りました。

私の膝に載って頭や鼻先を私のからだ中に押し付けて甘えるしぐさが戻ってきました。
甘えだしたのはほんの2,3週間前なのです。

ティブが帰って来て本当に良かった、と心から思ったとともに、実は帰ってくるのは何となくわかっていたはずだ、とはっきりと気がつきました。

寝る前に夫が「今日は本当に怖ろしい日だった」と心底げんなりした声で言いました。
私はハッとした思いでそれを聞きました。
私は、「いなくなったティブが帰ってくるなんて本当に素晴らしい一日だった」と思っていたところだったのですから。

終わり良ければ総て良し。

昨日の写真です。





前日の深夜の締め出されに続く災難などなかったことのように落ち着いています。

無事でいて、それでも1日帰れない何か困った状況が起こったはずです。

忘れないうちに私に打ち明けてもらいたいのですが、よっぽど話したくない怖ろしい体験だったのかもしれません。
深夜、あいたドアからスルリと抜けでる楽しいスリルの代償が大きかったことを肝に銘じて賢いネコになって帰ってきたことを期待します。

それにしてもネコの帰巣本能、捨てたものではありません。

「おかげさまで帰ってきました」報告をしに行った、心配してくれた向かいの家の女性は、「たぶんどこにも行っていないと思う。パニックでこの通りのどこか雨に濡れない隅っこにでもずうっと隠れていたはずだ」と主張します。
.....それはどうでしょうか?

リヴィーの後ろでサボテン2本の花がもう満開です。



コメント (4)
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