イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

パリその2; 美術愛好家の夢の場所、ルーブル美術館は観光名所

2017年09月02日 09時00分00秒 | ヨーロッパ
昨日の続きです。
先週、パリに6日滞在しました。

パリ観光の定番、ルーブル美術館 Musee du Louvre を訪ねました。

パリに着いた翌日、朝から雨が降ったりやんだり、屋内でのアクティビティにぴったりの どんよりした お天気です。

セーヌ川沿いに少し歩いて、ルーブル宮の壮大な建物が見えてきました。






中庭に入って、有名なガラスのピラミッド前の、長い長い列に加わります。




くねくね折れる行列の先はピラミッドの中に入っていますが、何のための行列かわかりませんでした。
切符売り場が混んでいるのか!?

雨の中を40分ほど並んで、ピラミッド内に入って、判明!



持ち物検査でした!

空港にあるような、荷物のX線検査機(?)を操作する係員は、たったの1人!!

手荷物が透視機の検査を受けている間に、金属探知機で身体検査もうけます。その係員もたったの一人!

荷物を受け取ったら、がら~んとした空間のガラスのピラミッド内でぶらぶらすることを許さないつもりなのか、数人の係員が地階の大ホールに降りるように エスカレーターのほうへ誘導しています。

世界的に物騒なこの時期、国際的な観光地でのセキュリティー対策は重要です。が、しかし・・・なんという段取りの悪さ!

傘なしで小雨の中、40分も外で待たされて、ぷりぷり!だだっ広いピラミッド内部で行列させるわけにはいかなかったのか!?

いやいや、観光シーズンのこの時期、手荷物検査機を3~4台ぐらいは用意して、もっとテキパキ入場をすすめるべきです。
空港仕様の器械なんかつかわず、職員数人が手分けして、マニュアルで手荷物をチェックすることも可能なはずでは?

いやはや失望、パリで最も高名な観光地の無能ぶり。

地下の大ホールは、それなりの込み具合でしたが、たくさんある券売機で入場券は、並ばずに買えました。
案内所、売店、トイレ、レストラン、入場券売り場などがある地下の大ホール には自由にはいれます。(手荷物検査で並ばされるけど・・・)

買ったチケットは、大ホールから延びる、各館共通で、何度でも出入りに使えます。

12歳の甥(夫の妹の息子)と、15歳のうちの息子は、18歳以下なので、入場料が無料でした。観光地なのに、さすが文化大国、フランス!

国防省所属でパリの英国大使館駐在になって1年たつ夫の妹と、イギリスからついてきたそのパートナーも甥もルーブルに行ったことがないそうです。

甥と息子は「裸の大理石像なんて見たくない・・・」とルーブル行きを渋っていたのですが、無理やり連れてきました。

モナリザは知っていても、レオナルド・ダ・ヴィンチもルネッサンスも知らないなんて・・・イギリスの学校教育の貧しさ!

甥の通う、パリの外交官の子弟のためのインターナショナル・スクールでは、ルーブルでの美術鑑賞会なんてやらないのかな?
・・・今のところ、そういう活動はないそうです。地元なのに・・・

妹も、妹のパートナーも混むところはごめんだといっています。

世界最大規模の美術館ルーブルに、その気になれば毎日でも無料で入場できる地元パリの少年少女をほとんど見かけませんてした。夏休みなのに。

観光地化があまりにも進み、地元住人には敬遠対象?
手荷物検査行列、混雑など、煩わしいことがいっぱい。気持ちはわかります。

とりあえず、リシュリュー館に行ってみました。

中庭の屋外空間に屋根のかかった、フランスの17,18世紀のアカデミックな彫刻展示がおしゃれで、作品鑑賞より雰囲気を堪能。


上階から。




たくさんの中国人観光客が、いちいち彫刻と並んで記念撮影をしているのを苦笑して見ていた私ですが この作品は気に入ったので、一緒に並んで撮ってもらいました。


ヤギの睾丸が正面を向いているので。
息子はもちろん恥ずかしいと怒りました。

私の好みで通りがかりに入った、フランス中世の宗教建築物の付属装飾展示部門。





素朴で力強くて、私こういうの、大好きです。



中世らしくて気に入ったグロい木彫り。


嫌がる息子に同じポーズをつけさせて一緒に写真を撮りました。

がらっがら。
この部門のほとんどの展示物の解説はフランス語のみ。国際観光スポットのルーブル、やる気あるのか?

こんな場所を見学する外国人観光客などいない、とたかをくくっているのでしょうか。

日本人の年配男性がプロ仕様のすごいカメラで小走りに展示場内をめぐり、ほとんど作品を見もせずに、片っ端から写真を撮りまくって疾風のように全室駆け抜けていきましたよ。

ルーブル全館を制覇するつもりだけど時間がないので写真に撮って、後でゆっくり写真で鑑賞するつもりなのかしら・・・?


次はこれも私の好みで北部ヨーロッパ17世紀。
フランス中世の宗教建築物の付属装飾展示ほど景気が悪くはありませんでしたが、けっこう空いていて、快適に鑑賞できました。

うちの息子の唯一のお気に入り作品。作家名も作品名も忘れましたが、17世紀のブラジル、サンパウロの河岸風景にとってつけたような、カピバラ。



さてと、館内の軽食堂でぼったくりランチを食べた後、うんざりしている少年2人(息子と甥)の美術鑑賞の目を開かせる目的もあって、本命の、イタリア・ルネッサンス展示部に向かいます。

デノン館の階段踊り場にある、ニケ像、本物が見られて、感激です。


日本の私の出身校(美大です)のマスコットキャラクターでした。

なんとなく、ここらあたりから、「ルーブルは国際観光地である」実感がしてきました。どこからともなく、人がわさわさと群れ集まってモナ・リザ室を目指す動きがみられます。

長い廊下ギャラリーに私の好きな初期ルネッサンスの名品がずらあっとかかっています。


だけど、この混み方!

「おっぱいが出てる!」と夫が息子と甥にささやいた聖母子像。


「目つきが悪い!」と息子たちにウけたイコン。


「人間ロケット、壁抜け!」と夫にウケた聖人伝。


とにかくすごい人で、暑くて・・・実はこの時点でかなり疲れていました。こんな鑑賞の仕方でいいのか・・・?というようなルーブル訪問。
ところどころ茶化しをいれながらぐずる少年2人を引き連れて3時間半。美術の神髄を見た!というより、観光客気分で気楽に美術作品を堪能できました。

ただ、私も混んでる場所は苦手です。暑いのはもっとイヤ。

で、かんじんのモナリザ。


並んで、そばによって見なかったのかって?

見ませんでした!
見るなら、落ち着いてちゃんと見たいです。

ルーブルに来てモナリザを見て帰らなかったって?

小雨が降ったりやんだりの屋外で朝、40分待つのはあまり苦にならないのですが、人がいっぱいの暑苦しい一酸化炭素が充満した小部屋で、疲れてきた午後に40分並ぶのは、めまいがするほどの嫌悪感を催します。

イギリスに帰国した翌日、ボランティア先で、60代の女性にこの話をしました。

彼女は、実はバルセローナで、炎天下に2時間並ぶと聞いて、有名なサグラダ・ファミーリア教会に入場するのをあっさりあきらめた、という私と全く同じ経験をしています。

(私がバルセローナに行った時は、確か3時間行列と言われました)

「バルセローナ/ルーブルに行って、サグラダ・ファミーリア教会/モナ・リザを見ずに帰るなんて一生後悔する」と思う人は確かにたくさんいるでしょう。でもサグラダ・ファミーリア教会/モナ・リザ以外にもバルセローナ/ルーブルには見るべきところがたくさんある。それを堪能して帰ったのだから後悔はしない・・・というのが私たち共通の意見です。

その人も私も、実はただ億劫なだけかもしれません。

「サグラダ・ファミーリア教会/モナ・リザを見るために世界中から集まったすごい数の人」を見た記憶が、なぜか旅の思い出として残っています。
「それでよし」と思える私たちは旅を気楽に楽しめる、得な性分なのかもしれない、と意見が一致しました。

バルセローナはともかく、パリに住む義妹のいる私はもう一回ぐらい願わくば今度は観光シーズンではない時期にルーブルを訪れる機会があるかもしれません。

その時は、ぜひ・・・。




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コメント (4)
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