イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

ヴィクトリア時代の産業、交通史、体験アトラクション、エンジニア・オタクもアウトドア派も楽しめる、アンダートン・ボートリフト

2017年08月06日 09時00分00秒 | ストックポートとその周辺
アンダートン・ボート・リフト Anderton Boat Lift 。久しぶりに、地元の観光案内です。


ストックポートの私の家から車で45分、チェシャ―の田舎、アンダートンの村はずれにあります。

下を流れるウィーヴァ河と、15.2メートル上を流れるトレント&マージィー運河を結ぶ、ボートのエレベーター。
1875完成。


上の写真の、横に長く伸びた部分が、ボートを運河へ通す、渡り廊下式の水路です。


ボートに乗って、エレベーターの上がり下がりを体験できる、歴史アトラクションです。



動力オタクのうちの夫は、このアンダーソン・ボートリフトにずうっと来たがっていたのですが、家族のメンバーがあまり乗り気じゃなかったこともあって、(別に嫌がっていたわけじゃないんですけど・・・)なかなか実現しませんでした。

夏休みに入って、息子がコンピューターゲームばかりしているので、「外に引っ張りだす!」のを口実にみんなで出かけることになりました。
息子にとっては、罰ですね・・・。


真ん中の鉄管に入った水が上下する水圧で、ボートを載せた巨大な箱二つが上下する仕掛けです。
ややこしい説明をボランティアのボート操縦士のおじいさんがしてくれましたが、よくわかりませんでした!

一艘が上の運河から下の河に降りてくるとると同時に、下の河にいるもう一層が上の運河に上がります。






19世紀末には鉄管が錆びたり水漏れしたりで水圧パワーが不備に。
上に滑車が加えられたあとは約80年間、電力で作動していたそうです。

(本当はもっと込み入った話だったのですが、私が理解した通り適当に省略します。ウェッブサイトには丁寧な科学的な説明がありましたが、それでも理解してまとめるのは私には困難です!)

夫は説明と実演に興奮していましたが、静止した箱に乗ったボートに30分も閉じ込められた息子は不機嫌に・・・

工業製品や材料を積んだボートが行き来する運河は1930年代ごろにトラックが普及して陸上運輸が主流になるまで、イギリス交通網のかなめでした。

アンダートン・ボートリフトの産業利用は1950年代まで。
1983年に故障して閉鎖されるまでは、レジャー用ボートの上げ下げに夏の間だけ、細々と利用されていたそうです。

閉鎖直後から、今は亡き、マーガレット・サッチャー首相(当時)を巻き込んだ、署名、寄付金集め運動が地元から広まり、全国的な反響を呼んで保存修復が実現。

操業開始当時と同じ、水力での運行を再現しました!

2002年に観光、教育施設として、運行が再開。
草の根運動が文化遺産を守った輝かしい例として記録に残っている、このアンダートン・ボートリフト、なぜかお年寄りに大人気。

イギリス中どこの観光地にも大量にいる中国人観光客が一人もいない、稀有な観光地!

河岸の公園はこの時整備中でした。


↑ 左下の黒っぽいブロックは、アレンジ中の巨大迷路。

自然豊かな川沿いを散歩しながら自然観測もできるようです。
この場所で観測できる魚や水中生物や、野生動物に関する情報がビジターセンターで得られます。



観光地なのにもかかわらず、ヴィクトリア時代と変わらない工場地帯なのもウソがなくていいですね。
まわりの工場設備はもちろん近代化されていますが。



公園になっている敷地内を散歩した後、15・2メートル上の、ビジターセンターわきの、見学者用ボート乗り場に上がって、ボートが上がってくるのを待ちます。




この橋の向こう側は運河です。


ボートの中。


復元された水圧パイプ。


もう一艘のボートの乗った箱を押し上げているところです。

15・2メートル下の河に降りて、水門が開きリフトから出て、河をほんの5分ちょっとぐらいですが、運行します。







この場所で見学者を下ろしたボートは、またリフトでトレント&マージィ運河まで上がり、次の見学者を乗せて解説付きでゆっくりこの河まで下りてくるのです。


8月中と週末は、一日、6回運行します。大人8ポンド、子供6ポンド。
収益はすべて設備の維持基金に回されます!

実演のために、見学者を乗せたボートが上がる、あるいは下がる際に、もう一つの箱には実際に運河と川を行き来する、本物のボートを無料で載せて運河から川へ、川から運河へ上下して通行させてるんです。

今でも立派に使われている、生きた装置!

といっても、ボートは今や産業用ではなく、レジャー目的。数日から何か月もかけて、ボートに寝泊まりして運河をめぐりイギリス中旅してまわる人がたくさんいるんです。



多くの小学校ではまだ夏休みが始まっていないせいもあって、子供はあまり見かけませんでした。

エンジニアリング史に興味のある人には見逃せないアトラクションです!
ヴィジタ―センタ―のカフェと売店はなかなか充実していました!

橋の左側が、リフトが上がり切って、「渡り廊下の水路」を出たところです。見学者がボートに乗り込むのはここ。


右側、橋が架かっているのが、運河。


運河沿いの散歩道・・・


育ちすぎのヒナたちを連れた白鳥夫婦が通行人に食べ物をねだりに来ます。



ボートが来ると、方向転換、一家そろってボートに突進。
いつもボートにたかって食べ物にありついているようです。


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コメント (3)
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