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小田博志研究室

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安保法案は氷山の一角

2015-07-21 | 平和

 安保法案は、その中身(海外で他国のために戦争ができるようにすること)だけでなく、採決のしかたも問題だ。言うまでもなく。

 これに対して「強行裁決せず、堂々と憲法を変えるべきだ」という意見がある。一見正論だ。

 しかしその先には大きな危険が待っている。「自民党憲法改正草案」という危険が。

 それでは憲法を変えたくてうずうずしている自民党の思うツボになる。

 その内容を知る(インターネットで検索すればいくらでも読める)と、安保法案は氷山の一角だとわかる。

 安保法案が、今の反対世論の高まりによって、もし廃案とか撤回になっても、「よかったよかった」で終わりではない。

 危機にさらされているのは、憲法9条の平和主義だけではない。

 自民党は憲法を変えて、市民の自由と権利を縛ろうとしている。

 これはただごとではない。政権の意向に沿わないことが取り締まれるようになるからだ。

 今のようなデモが禁止され、デモをしただけで逮捕されるかもしれない。

 今でもはびこっている報道の統制がますますひどくなる。

 学問の自由・表現の自由も制限されるだろう。

 現行憲法では「絶対に」禁止されている拷問が可能になるおそれがある。自民草案では「絶対に」が消えているからだ。

 この他にも、私たち市民の生活に対して考えられる悪影響は枚挙にいとまがない。

 憲法は、市民の国家に対する命令である。その柱は、国家権力から、市民(国民)の自由と権利を守ることにある。

 しかし自民党の憲法変更案は、まったく逆の内容になっている。その本質は、国家権力によって、市民の自由と権利を縛ることにある。立憲主義に逆行する、国家主義だ。

 だから自民党憲法草案は、もはや憲法ではない。むしろ憲法の破壊といえる。それ自体が憲法違反だ。

 自民党にはこの草案を撤回させる必要がある。

 もしその憲法草案が現実のものになれば、自民政権は今以上に好き勝手なことをするだろう。歯止めがなくなるからだ。

 安倍首相は、「戦後レジームからの脱却」と聞こえのいいことをいう。

 しかし自民党憲法草案をみればそれは、「戦前・戦中の軍国主義レジームへの回帰」と思えてならない。

 第三の道がある。

 それは自由と民主主義という価値を、そして国民主権、基本的人権、平和主義を、自らの手で獲得し直すことだ。

 それは、敗戦後、外から「押しつけられた」ものではない。明治の自由民権運動からの民衆の伝統だ。

 それをいま本当にわがものとすることだ。

 市民一人一人が「自分たちのものだ」と自信と誇りをもっていえる憲法とすることだ。

 その努力は今だけでなく、これからも永く続けられるべきだろう。

 政治への「無力感」が消えるまで。


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