このプログラムは、学生に“起業家”としてのスキルを提供することで、地球規模で突きつけられている深刻な課題の革新的な解決策を生み出すことを目指している。
【イントロダクション】
既に、私たちはブレインストーミングで発想の転換を図って、革新的なアイデアを生み出す事を学びました。つまり、これまでの教育の中では教えられて来た授業は、これまでそこにある物を発見する力・改良する力を養う事から、新たなものを生み出す力に主眼を置く事です。
そして、講義の中でティナ先生は、創造力・発想の転換力はトレーニングによって鍛えられると説いています。
【授業の目的】
今、学生たちのチームは、このコースの最終の第八回で発表しなければならない課題;「新しいコーヒの飲み方」に、必死になって取り組み、知恵を絞っている事でしょう。
今回は、その成果をより良く、より効果的にプレゼンするにはどうすれば良いかを考えて行きます。その為には二つの事に焦点を当てます。
一つは、アイデアを効果的に伝える為のストーリーテリング。もう一つは、プレシャーの下で、どうすれば創造性を発揮できるか?です。
【ウォーミングアップ】
助手のスージーによって「一言諺」のゲームが説明される。
内容は瞬間的に言葉を作る遊びで、順番に右隣の人から一人ずつ言葉を言って行き、ある所で言葉が繋がり一つの諺に成ったと思ったら「yes,yes」と言って小さく手を叩く。
スタート⇒一つの/青い/空/猫/弾んだ/上で/木の/yes,yes⇒昨日/私の/娘が/帽子を/一つの/青い/そして/彼は/下へ/行った/はしゃいだ/yes,yes⇒高速/道路は/いつも/意味する/人生を/yes,yes⇒象たち/とても/シャツ/yes,yes⇒屈強な/男が/りんご/食べた/その/運命だった/yes,yes,yes,yes。
【ストーリーテリング】
ティナ先生は学生たちに次の様に述べた。
⇒最終課題の成果を第8回の講義でプレゼンする時に、すばらしいストーリにして語る事が重要です。なぜなら、人生にはストーリーを語る場面が実に多からです。
そして、誰かにものを伝えると言う事はストーリーを語ると言う事です。だから、上手にストーリーを語る事はとても大切な事です。例えば、ビジネスで物を売る時も、子供にものを考えさす時も、給料を上げてもらう時も、相手にとって説得力がある事が必要なんです。
これから見てもらうのはストーリーテリングの重要性について、私自身が皆さんと同じ年齢に知って置きたかった事をまとめたものです。テーマは「ストーリーテリング」です。
まず、ストーリーには”つかみ”が必要です。
”つかみ”とは⇒”人を引き付けるもの”です。それには、驚き・恐怖・不可能な事・悲しい事など感情に訴えるものが、とても重要です。
これを見て下さい。
①「それは明るく、寒い四月の一日だった。時計の鐘は13回鳴った。」
②「私は見えない人間」
③「私は今、これを台所の流しの中に座って書いている」
④「お金儲けをするのに、たった5ドルと2時間しか無かったら何をしますか?」
これらはネットで見つけた本の冒頭の部分を取り上げたもので、これが”つかみ”です。この”つかみ”によって人をぐっと引き込んで先に進む様に動機付けさせるものです。
自分のプロジェクトのストーリーを語る時は、出だしに最高のつかみを持って来て下さい。その後でストーリーを展開していて下さい。大体、良いストーリーとは次の様な構成です。
【良いストーリーとは】
初めに、人を引き込む所から始まり、どんどん話を繰り広げ、最後に安心できる結末に導く事です。
皆さんの場合は、デザインする製品や体験した事が結末で、プレゼンしている時は最後に「あっ、そうだったのか」と思わせる事が必要です。
次に、話の中で問題に触れている時は、人に緊張させて、最後にそれについて解決策を提示するんです。
最後に、もう一つ言える事は単なるリサーチのレポートをエッセイ風に書くのでは無く、ストーリーを書く事です。そうする事で、素敵な絵が浮かぶし、素晴らしい音楽が聞こえて来ます。
そうした点がストーリーの面白い所です。例えば、映画や音の付いたプレゼンを見ると、音楽が物語を彩る重要な個性の一つに成っていますね。
自分のプレゼン用の音楽には十分に気を付けて下さい。また、予想外の驚きにも十分に必要です。そうすれば、人も集中して話を聞いてくれます。
それでは、皆さんに「掴み」「驚き」「説得力」とは、何かを深く考えてもらう為に、三本のビデオを見てもらいます。題材として”イノベーション大会”の優秀作品で、テーマは「輪ゴム」です。
・イノベーション大会
数年前からスタンフォード大学で開かれた大会で、輪ゴムやペットボトルなど、と言った一般的な物の中から一つの物を課題に選び、五日間の期限内で、その一般的な物に出来る限り付加価値を与える事がテーマです。
≪輪ゴム;ドゥーバンド≫
どうでしたか?素晴らしいストーリーだったでしょう。何が効果的だった。?
⇒学生;自分たちの哲学に根拠を与えて論理的に展開していった。/自分たちの固有の価値を与え、広く再定義していった。/短いストーリーを輪ゴムと言うアイテムで沢山繋いだ。/輪ゴムを通して物の見方を具体的に問いかけている。/初めの音楽が”掴み”と思った。/結論の所が上手いと思った。最初の部分で”自分の考えは人に押し付ける事は出来ない。”と述べ、最後にそれが理解出来る様になっている。/コンセプトが最高。いつか話題なったチャリティーのリストバンドの様に他人に広めて行くかと思っていたら、自分が自分に責任を負わす為のリストバンドにした。
⇒ティナ先生;そうですね。皆さんが言った様に、最初は”ジムに行ったか?”とか、”お母さんに電話した”とか、まるでサスペンスが始まるかと思い、ドキドキしましたね。でも、最後には、輪ゴムを目的達成のアイテムとしてリストバンドの様に使ったのは面白い視点でしたよね。
≪輪ゴム;シューバンド≫
これは、パロディー風に作ったものです。何か意見ありますか。?
⇒学生;上手く行かないのが気になりました。
⇒ティナ先生;そうですね。あちら、こちらで靴が引っ掛かる場面を見せて”靴紐いじめ”と言っていましたね。そして、”靴紐いじめ”って何だろうと興味を抱かせ、ある時点で”あぁ、なるほど”と分からせました。
それから、中に複数の話を組み込んでいましたよね。熊に襲われる場面・ボディービルダーや陸上選手がその効果を語る場面・科学者に科学的根拠を示す場面などを入れ、商品を売る為のメッセージを強化していましたよね。
≪輪ゴム;チーム輪ゴム3乗≫
最後の一本です。このチームは、最初の狙いがすべて外れてしまったチームです。彼らは、何も出さないと言う判断が出来たにも関らず、逆に、その事をストーリーにして成功したチームです。私が一番好きな作品でもあります。どう感じましたか?
⇒学生;不可能な挑戦から始め、それが掴みで、次にその挑戦が成功したかどうかを語り、最後に前提条件が過酷であったかを語っています。
⇒ティナ先生;そうですね。大学内の願いの木に自分の写真に願い事を書いて、絵馬の様に輪ゴムで木に括り付け、最後は木に願い事する人が居なくなると言う簡単なストーリですよね。ここで二つほど、指摘したいと思います。
一つは、誰もが使うプレゼンソフトで作った物に途中でビデオを入れたシンプルなものです。後は写真にメッセージを貼っただけの簡単な作りに成っています。それはストーリーその物に説得力があるからです。
もう一つ重要な点は、バイオデザイン課程の学生たちであった事です。医学・工学・ビジネススクールにまたがっていたチームでした。その後、大学全体のビジネスプラン大会で自分たちが開発した医療機器で優勝しました。
なぜなら、試作品を簡単に素早く作って失敗から学ぶ事を理解していたから出すね。
最後に、私が好きな言葉を言いましょう。
【教授の好きな言葉】
『宇宙はストーリーで出来ている。原子で出来ているのではない』。
つまり、説得力のあるものだけが人の記憶に残り、それ以外のものは忘れ去られる。
助手のレティシャからストーリーテリングを体験する為の課題が、最終問題を解決する各チームに出された。
【課題;背景】
各チームはグリーティングカード会社の一つの部門だと思って下さい。この会社は、未だどこの会社も売ってない記念日を見付けました。それは皆で祝うべき記念日なのですが、なぜかカードが売られて来なかった。そこで、皆さんのアイデアが必要になりました。
【課題;条件】
4/22を、皆で地球の事を考えて行動する「アースデー」と決め、アースデーカードを売る事に成ったとします。
皆さんは、制限時間の30分でグリーティングカードをデザインしてもらって、売り出す為の4枚セットの試作品を提出した後、更にアイデアをまとめた30秒のストーリー作り、私たちに売り込ん出下さい。
【投票方法】
その試作品を机の上のマーケットに出品します。その後、皆さんに渡したアイスの棒を気に入った作品の上に置いて投票してもらいます。
≪1.感謝するカード≫
グリーティングカードを捨てる事から始めリ、次に”アースデーを目の前にして、こんなにゴミをだすな”と言う人が現れ、次にもう人あらわれて、このカードには「○○してくれて、有難う地球」と言うメッセージと種が付いてあった。
≪2.4分割するカード≫
人・地球などとの接し方を見直させるきっかけ作りが出来るカード。商品名はリ・カードと言い、一枚は家族(再成長)、もう一枚は友達(再生)、更にもう一枚は知らない人(再創造)、最後は地球に渡す(再利用)。それぞれには写真の花の種が付いていて、それを巻く事で5年後に再会出来る。
≪3.水火土風のカード≫
古代昔から地球には四つの要素の水火土風があった。それらは地球と人間を繋ぐ象徴であった。現在では地球とのつながりを各要素のエネルギーを再生する事で感じている。その為、それらの要素に関っている友達に、このカードを送って環境を改善する地球パーティーの参加を促す。
≪4.省エネのカード≫
ドラマ仕立てにして、一人の学生が”今日は地球を救いたい日だな”と言う。もう一人が現れて”あなたなら出来る”と言いながら、カードを渡す。そこには省エネ、節水などの方法が書いてあり、それをやる度にポイントが増える仕組みに成っている。最後のカードは友達に送るように成っていた。ポイントを貯めると男子学生とデート出来るとアピールして終わる。
≪5.汚れを剥がすカード≫
”僕は緑がある所が好き””私はビーチに家が欲しい”など、と各々が言いながら、山や川の絵の描いてある所のゴミや油の貼紙のピースを剥がして行く。また、その所には自分がするべき事が書いてあり、それを他の人に渡す事で地球を良くなり、自分が自分で変化できる事が体感できる様にしてあった。
【結果】
汚れを剥がすカードが優勝した。要因はゴミのピースと、自分も他人に与えた影響を体感できる点でしょうか?
皆さん、プレシャーの中で創造する事はどうでしたか?以外に時間がある時よりも悩まず、すぐにアイデアがまとまったと思いませんか?つまり、”あでもない””こうでもないと”と悩んでいるだけの無駄な時間が無くなり、「ダメならダメ」とアクションを起こして、素早く確認できる点ですね。
試作品についでは、なるだけ少ない材料で、一つ作るのでは無く、コンセプトが三つあったら三つ試作品を手早く作って下さい。なぜなら、人の反応は分からないからです。
企業の様に金を掛けて試作品を作ると中々改良が難しく、気軽に相手に合わせる事や、いいアイデアが出難いです。製品を出すタイミングはアイデアが洗練されて来てからで良いでしょう。
ストーリーはどうでしたか?問題やコンセプトからストーリーを始めませんでしたか?プレゼンをする時、ストーリーを考える事で全体が見え、話がまとまり易くなったと思います。もし、ストーリーを考えなかったら、デザインとか、キャッチフレーズなどの細かな所に拘ったのではないでしょうか。
ストーリーの意味とは絵の額縁の様に全体の方向性を決めるものです。よって、ストーリーから試作品を作る事です。
最後に
『人に何かをやってもらうには、絶対に良いストーリーが必要です』