法隆寺に足を踏み入れるのは三度目です。最初は小学校の修学旅行でした。今年は遷都1300年の記念すべき年回りで奈良は観光ブームのようです。ん?そうなのか?法隆寺にやって来るとお昼時だというのに観光客はそれほど多くはいませんでした。法隆寺と言えば聖徳太子ですね。厩戸皇子(うまやどのおうじ)と呼ぶのがしっくりくるかな。コミックの「日出づる処の天子」を読破した僕にはこっちの方がイメージし易いです。厩戸皇子にはミステリアスなエピソードが多いのですけど、まさかエスパ-ではあるまいと思いながらも、この夢殿の前に立つとそれはそれで何とも不思議な感情が込み上げてきます。法隆寺は五重塔がある西院伽藍と夢殿がある東院伽藍に区分けされて敷地としては大きなお寺です。伽藍って「がらんとする。」言うくらいだから殺風景な空間をイメージします。仏教を広めようとしていた矢先の時代ですから、この法隆寺も大陸の面影を残す建築デザインのようです。伽藍はサンスクリット語ですし、ストゥーパ(これもサンスクリット語)である仏塔は紛れも無く五重塔です。そんなことを考えて歩いてみると、遠くシルクロードの終着点である日本のこの地に辿り着いた文化の伝播に対し不可思議な気持ちを抱いてしまいます。来れば太古の日本を感じることができるお寺です。大宝蔵院には美しい百済観音像が所蔵されていて、新しく建立した百済観音堂に収められていました。以前はこのような立派な建物はありませんでした。他にも聖徳太子像がいくつも展示されているので「日出づる処の天子」に触れたいならここに来るべし。僕が一番興味を惹くのは夢殿です。かつてここに斑鳩宮があり、厩戸皇子がそこに暮らしていたと思うだけで、日本の原形を描いたと言ってもよい人物が、歴史のうねりを体験しながら思慮し語ったであろう魂の声が聞こえてきそうです。夢殿は厩戸皇子が死後、建立されたもので、この八角円堂の屋根の下に寝泊まりしたわけではありません。それでもこの夢殿のそばに佇んでいると霊感が高まってくる。・・・のかなあ。そんなこと思ってたら、修学旅行らしい学生の団体客が大勢やってきました。






